青い日記帳 

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「舟越保武彫刻展」

練馬区立美術館で開催中の
開館30周年記念「舟越保武彫刻展 まなざしの向こうに」に行って来ました。


http://www.neribun.or.jp/museum.html

ロダンやミケランジェロに憧れ故郷岩手から東京美術学校へ。

順風満帆とはいかないまでも、ひとつひつと彫刻家としてのポジションを確立しつつあった矢先、最愛の息子を幼くして肺炎で亡くし、同じくして盟友の松本俊介も他界と立て続けに不幸が舟越を襲います。

舟越保武は家族そろって1950年のクリスマス・イヴにカトリックの洗礼を受けました。


白鳥」1948年 大理石
東京国立近代美術館蔵
一馬と水仙」1948年4月 パステル
個人蔵

舟越作品にある種の崇高な美しさや世俗に染まらぬ美を感じるのは、若くして、はからずして身の回りに起きた不幸により、観照した眼を有したことが大きく作用しています。

平面よりも立体物の方が、得てして「おのれ」が表出してしまうものですが、舟越作品には俗っぽさを交えない普遍的な美しさがあります。


聖ベロニカ」1986年 砂石
岩手県立美術館蔵

今回の展覧会では。舟越保武の生涯にわたる彫刻作品を時系列に紹介。

年代順に並べることが、彫刻家・舟越の生の姿を知る上で一番であり、また何故この時代にこの作品が誕生したのかもスッと理解出来ます。


長崎26殉教者記念像」1962年 FRP
岩手県立美術館蔵

展覧会の構成は以下の通りです。

第1章:彫刻への憧れ−東京美術学校受験の頃から1933年〜1943年ころまで
第2章:模索と拡充−戦後 1945年〜1958年頃まで
第3章:《長崎26殉教者記念像》
第4章:信仰と彫刻−《原の城》・《ダミアン神父》の頃 1962年〜1975年頃まで
第5章:静謐な美−聖女たち 1975年〜1986年頃まで
第6章:左手による彫刻−最後の出品作品まで 1987年〜1998年
特集展示:練馬時代の舟越保武とその仲間たち


3章から5章にかけてはまさに圧巻の展示。


聖マリア・マグダレナ」1984年 ブロンズ
岩手県立美術館蔵

舟越は「静かなもの」と向き合って来た。モデルを使えばモデルの顔と自身のなかにある顔とが重なって騒々しいものになるような気がしてモデルを前に制作はしなかった。
舟越保武―まなざしの向こうに』より。

展覧会会場には多数の彫刻作品の他に、初公開となるものも含めた多くのドローイングも展示されています。下絵の段階からして既に気高さが漂っているから驚きです。


LOLA」1974年 大理石
岩手県立美術館蔵

舟越の生きた時代は大きな戦争があり、糊口を凌ぐような生活を送っていたはずです。それにも関わらず、作品には一切そうした苦しみは見られません。

それどころか、どこまでも静謐で高純度の美しさを有しています。

生き馬の目を抜くいまの世に生きる我々には、あまりにも崇高な精神世界を現出した作品故に、もしかして刺激が強過ぎるかもしれません。または信じられないかもしれません。目の前にあるものを。


マグダラ」1990年 ブロンズ
岩手県立美術館蔵

1987年に脳梗塞で倒れ入院、一命を取りとめるもその後、右半身が麻痺し、以降左手で制作を続けることに。勿論デッサンから左手です。

神が与えた最後の試練により、舟越作品は更に大きく飛躍することに。最後の章は必見中の必見です。

「舟越保武彫刻展 まなざしの向こうに」は9月6日までです。久々に展覧会で心大きく動かされました。


開館30周年記念
「舟越保武彫刻展 まなざしの向こうに」

会期:2015年7月12日(日)〜9月6日(日)
休館日:月曜日(ただし、7月20日(月曜・祝日)は開館、翌21日(火曜)休館)
開館時間:午前10時〜午後6時 
※入館は午後5時30分まで
会場:練馬区立美術館
http://www.neribun.or.jp/museum.html
主催:練馬区立美術館(公益財団法人 練馬区文化振興協会)、読売新聞社、美術館連絡協議会
協賛:ライオン、清水建設、大日本印刷、損保ジャパン日本興亜、日本テレビ放送網
協力:ギャラリーせいほう

2015年7月19日に練馬区立美術館の若林館長をお招きし、Web座談会を開催します。参加者募集中です。参加ご希望の方は↓から。勿論無料です。
https://admin.prius-pro.jp/m/win/form.php?f=1

練馬区立美術館次回展は待望の「シスレー展」です!


「アルフレッド・シスレー展−印象派、空と水辺の風景画家−」
会期:2015年9月20日(日)〜11月15日(日)

展覧会の図録は求龍堂さんから一般書籍としても販売されています。


舟越保武―まなざしの向こうに

※会場内の画像は主催者の許可を得て撮影したものです。

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舟越保武は1912年(大正元)に岩手県に生まれ、盛岡中学時代にロダンに憧れて彫刻家を志しました。大理石や砂岩などの石による清楚な女性像で知られる舟越がはじめて石彫に取り組んだのは練馬に在住していた1940年(昭和15)のことであり、舟越は練馬ゆかりの作家でもあります。
1950年(昭和25)以降は自らのカトリック信仰に裏付けられた宗教的主題の作品で独自のスタイルを確立しました。それらは崇高な美しさをたたえており、他の具象彫刻作品とは一線を画するものです。とりわけ、長崎市に設置された《長崎26殉教者記念像》や《原の城》、《ダミアン神父》は、彼の代表作というだけでなく、戦後日本の彫刻を代表する重要な作品の一つといえるでしょう。 1987年(昭和62)に病気のために右半身不随となりましたが、その後10余年にわたり左手で制作を続け、それまでとは異なる迫力を持つ作品を生み出しました。
本展では、代表的な彫刻作品約60点に加え、初公開を含む多数のドローイングを展示し、舟越保武の生涯にわたる彫刻の仕事を回顧いたします。

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この記事に対するコメント

崇高な静謐さ、まなざしの向こうにあるものは、作品にある精神の堅牢さ 。松本竣介の絵画とも共通するそんな気高さに圧倒された。(ダミアン神父)は埼玉県立近代美術館に常設されているが、圧巻!苦難を経ての晩年の彫刻はロダン、ミジェランジェロに迫っていくようなー。
PineWood | 2015/08/20 9:22 AM
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