弐代目・青い日記帳 

  
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「ディン・Q・レ展:明日への記憶」
森美術館で開催中の
「ディン・Q・レ展:明日への記憶」に行って来ました。


http://www.mori.art.museum/

ベトナムと言えば、映画「地獄の黙示録」が真っ先に頭に浮かびます。とりわけヘリコプターが良くも悪くも印象に強く残っています。

教科書の活字で知識として覚えただけのベトナム戦争が、役者が演じているとはいえ、スクリーンで展開される恐ろしさ。あれ以上の恐怖を映画館で味わったことは未だありません。

ベトナム人アーティスト、ディン・Q・レのアジア初個展が森美術館で開催されています。チラシには「ヘリコプター」もしっかりと掲載されています。

期待半分怖さ半分。恐る恐る森タワーのエレベーターで上階へ(「下かご乗降中」のアナウンスが、悍ましげに感じたのは初めてのことです。)


農民とヘリコプター」2006年

会場構成は以下の通りです。

紡がれた記憶
ヘリコプターをめぐる物語
戦争の影
運命のヘリコプター
ベトナム戦争の変容
ようこそベトナムへ
抵抗のための連帯
アーティストと戦争



南シナ海ピシュクン」2009年

このような「ヘリコプター」を扱った作品に、ディン・Q・レが、最も力を入れているのも当然と言えば当然のことです。

しかし、ハリウッド映画で繰り返しベトナム戦争のアイコンとして登場する「ヘリコプター」とは異なり、そこに恐怖を感じることはありません。

やろうと思えばいくらでも手段はあるはずですが、それでは何もベトナム人が作る意味が見出せなくなってしまいます。では、彼はどうしたか?

南シナ海ピシュクン」では、アメリカ軍とおぼしきヘリコプターが次々と海へ落下していくCG映像作品です。恐ろしいどころか、見ていて笑わずにはいられません。

ヨコハマトリエンナーレ2014で拝見した際は、ディン・Q・レのことを知らずにただ映像だけを観ただけでしたが、今回は違います。それでも笑えてしまうのです。


傷ついた遺伝子」1998年

アメリカ軍のヘリコプターが散布した枯葉剤に含まれていたダイオキシンの影響で、先天異常の結合双生児が生まれたことは、ご存じの通りかと。

一見、可愛らしい人形を作り、ホーチミン市内で販売するプロジェクトを行うことで、未だ解決していない深い問題に光をあてる手法はお見事。

悲惨なものを悲惨に伝えることは誰でもできても、アイロニカルに(同時にスマートに)訴え欠けることの出来る作家が、ディン・Q・レなのです。


末梢」2011年

ベトナム戦争の混乱で大量の難民(ボートピープル)を生んだことを表した作品には、更にひとひねり加えられています。海に見立てられた会場に敷き詰められた写真を一枚拾いあげてみてください。そして……

悲壮感を漂わせることなく、被害者であることを一本調子に声高に叫ぶのでもなく、皮肉やユーモアすら交え訴えかけるレの作品には、これまで観たこと感じたことのない説得力があります。

戦争被害者的視点や、ポストコロニアル的視点を絶妙な匙加減でアート作品として表現しているディン・Q・レ。これは必ず観ておかねばならぬ、後世語り継がれる展覧会です。

「ディン・Q・レ展:明日への記憶」は10月12日までです。是非。


ディン・Q・レ展:明日への記憶

会期:2015年7月25日(土)〜10月12日(月・祝)
開館時間:10:00–22:00(火曜日のみ、17:00まで)
※ただし9/22(火・祝)は22:00まで
(いずれも入館は閉館時間の30分前まで)
会期中無休
会場:森美術館(六本木ヒルズ森タワー53階)
http://www.mori.art.museum/
主催:森美術館
企画:荒木夏実(森美術館キュレーター)
協力:日本貨物航空株式会社、シャンパーニュ ポメリー、ボンベイ・サファイア

「ディン・Q・レ展」担当の森美術館キュレーター荒木夏実氏が、昨年開催された「ゴー・ビトゥイーンズ展:こどもを通して見る世界」において、第10回西洋美術振興財団学術賞を受賞されました。おめでとうございます!


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森美術館は、2015年7月25日(土)から10月12日(月・祝)まで、ベトナム人アーティスト、ディン・Q・レのアジアにおける初の大規模個展となる「ディン・Q・レ展:明日への記憶」を開催します。
ディン・Q・レはカンボジアとの国境付近のハーティエンに生まれ、10歳の時、ポル・ポト派の侵攻を逃れるため、家族とともに渡米しました。写真とメディアアートを学んだ後、ベトナムの伝統的なゴザ編みから着想を得た、写真を裁断してタペストリー状に編む「フォト・ウィービング」シリーズ(1989年〜)を発表し、一躍注目されることになります。また、レは綿密なリサーチとインタビューに基づき、人々が実体験として語る記憶に光を当てます。国際舞台への出世作となった映像インスタレーション作品《農民とヘリコプター》(2006年)では、自作のヘリコプターの開発に挑むベトナム人男性を中心に、ベトナム人と戦争との複雑な関係を巧みに描き出しました。
ベトナム戦争終結から40年、日本にとっては戦後70年の節目を迎えたいま、国家や社会の「公式な」歴史の陰で語られることのなかった市井の人々の名もなき物語を読み直しつつ、アートと社会のより密接な関わりを探ることはきわめて重要な課題ではないでしょうか。本展ではディン・Q・レの作品とユニークな活動を通して、私たちの過去と現在、そして未来について考えます。
| 展覧会 | 23:49 | comments(1) | trackbacks(0) |
アメリカの映画(地獄の黙示録)と(プラトーン)に前者は父マーチン・シーン、後者は息子のマイケルが主演している事に着目したフッテージ。親子二代に渡ってベトナム戦争に駆り立てられたアメリカ人が多いというリサーチから二面のスクリーンで同時上映のスタイルで比較したユニークな作品。アメリカ映画には登場しない声なきベトナム農民たちの証言で描く(農民とヘリコプター)など刺激的な作品が多いのも今回の特色。日本もそうだが、先の戦争の記憶が薄れ忘れられている中で記憶をリサーチして史実としての掘り起こし過去の過ちと向き合うことが未来を創る上で欠かせないだけに貴重な展示だ。ベトナム戦争を描いた画家の証言ビデオなども鮮烈!!
| PineWood | 2015/10/12 1:56 AM |










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