弐代目・青い日記帳 

  
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「伝説の洋画家たち 二科100年展」
東京都美術館で開催中の
「伝説の洋画家たち 二科100年展」に行って来ました。


公式サイト:http://www.nika100th.com/

乃木坂46の若月佑美が入選したり、工藤静香が常連であったりと絵心のある芸能人が賞をもらうことでしか現在では二科展は話題になりませんが、今年で100年を迎えた長い歴史の中には、日本を代表する洋画家たちがずらりと顔を揃えています。

有島生馬、坂本繁二郎、梅原龍三郎らの創成期のメンバーから太平洋戦争の戦局が厳しくなり解散せざるを得なくなる戦時中に活躍をした藤田嗣治、東郷青児などまさに名だたる日本人洋画家の活躍の場が二科展でした。


古賀春江「素朴な月夜」1929年 第16回展
石橋財団石橋美術館蔵

日本国内の70にも及ぶ美術館・博物館そしてギャラリーが所蔵する作品を一堂に会した展覧会が「伝説の洋画家たち 二科100年展」です。
“戦争による焼失、行方不明などにより、出品作を探し出す作業は困難を極めましたが、本展では二科展出品作にこだわり、100年間続く二科展の気風を再現しました。”
これら作品の所蔵先を全て観て回るとなると、フェルメール作品をコンプリートするよりも難しいかもしれません。1914年の第1回展から戦後の再結成されるまでの流れを眺望できる内容となっています。

100年の歴史の中には意外な作品やレア作品も出ています。


アンリ・マティス「青い胴着の女」1935年 第23回展
石橋財団ブリヂストン美術館蔵

てっきり日本人作家の作品だけかと思いきや、外国人作家も二科展に出品していること始めて知りました。中でもブリヂストン美術館所蔵のこのマティスの名品が、上野で開催された二科展に並んでいたとは何だか信じられません。

硲伊之助がマティスのアトリエを訪問した際に、製作中の「青い胴着の女」を目にし出品を依頼したそうです。硲が帰国後マティスから作品と製作過程を写した写真が届き晴れて出品。現在では億単位で売買されているマティスの作品がそんな簡単に…

新築工事に伴い現在閉館中のブリヂストン美術館の作品が、都美館で観られただけでも満足な上にまさかそんなエピソードを知れるとは。やっぱり展覧会って足を運んでみないと良さが分からないものですね。


淀井敏夫「聖マントヒヒ」1966年 第51回展
東京藝術大学蔵

古代エジプトの月の神トトのイメージが投影されているとのことですが、それよりも何よりもこの独特のポーズにプロポーションがとても愛らしく感じます。

しかし、顔に注目してみると虚空を見据えたような目をしており、その愛嬌あるポーズとのギャップにまた惹かれます。後方に展示されている岡本太郎「重工業」とのコントラストも見ものです。

展覧会の構成は以下の通りです。

1:草創期 1914〜1919
2:揺籃期 1920〜1933
3:発展そして解散 1934〜1944
4:再興期 1945〜2015



松本竣介「画家の像」1941年 第28回展
宮城県美術館蔵

戦時中に描かれたとは思えぬほど威風堂々と自分の立像を描いている松本らしい作品です。神奈川県立近代美術館所蔵の「立てる像」もかなりの大作ですが、こちらも負けず劣らずの迫力です。

ついつい顔や隣りに松本とは対照的に不安げな面持ちで座る女性(妻)や子どもに目が行ってしまいますが、是非見て欲しいのは松本の足の合間に描かれた人々です。


松本竣介「画家の像」(部分)

過酷な労働に強いられる人々が黒一色でまるで働き蟻のように描かれています。描かれた時代性が現れた大事なポイントです。単眼鏡を用いずとも確認出来ますので、これから展覧会に行かれる方は要チェックです!

紹介したい作品はまだまだあるのですが、この辺で。

そうそう、展示室と展示室の合間に「写真で見る二科展」と題し何点かパネルで紹介してあります。


第50回展、名物の仮装行列。東京都美術館前で(1965年)
東京都美術館に並ぶ行列、第53回展(1968年)

他にも、東京都美術館で入場を待つ人々に日傘を渡して歩く東郷青児(1974年)など、今では信じられないような光景が紹介されています。

現在は、会場を国立新美術館へ移してしまった二科展。公募展に興味関心のない方でも、古巣である東京都美術館で開催中の「伝説の洋画家たち 二科100年展」は日本の洋画の歴史、流れを知る上でも大変貴重な機会です。

「掘り出し物」的な作品に出会える展覧会でもあります。二科展を通じて日本の洋画の歴史を振り返ってみると色々と考えさせられるものがあり、これまでスルーしがちだった作家に対しても新鮮な気持ちで向かい合うことが出来そうです。

「伝説の洋画家たち 二科100年展」は9月6日までです。


「伝説の洋画家たち 二科100年展」

会期:2015年7月18日(土) 〜 9月6日(日)
休館日:月曜日
開館時間:9:30〜17:30 (入室は閉室の30分前まで)
夜間開館:金曜日は9:30〜21:00 (入室は閉室の30分前まで)
会場:東京都美術館 企画棟 企画展示室
http://www.tobikan.jp/

主催:東京都美術館(公益社団法人東京都歴史文化財団)、公益社団法人二科会、産経新聞社、フジテレビジョン
協賛:大伸社、アートネイチャー、アイセイ、文明堂東京
協力:BSフジ

公式サイト:http://www.nika100th.com/


岸田劉生「男の首(柏木氏の像)」1918年 第5回展
個人蔵

二科展に初めて展示された彫刻作品であり、岸田劉生が生涯2点しか作っていない貴重な彫刻作品。こんな激レアな作品も観られます!

注:会場内の画像は主催者の許可を得て撮影したものです。

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青い絵具の匂い - 松本竣介と私 (中公文庫)

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当館創設の機をもたらした美術団体展の中でも在野の雄であった二科会。岸田劉生、佐伯祐三、小出楢重、関根正二、古賀春江、藤田嗣治、松本竣介、岡本太郎、東郷青児など、実に様々な作家たちが発表し、海外からはマティスらも参加した二科会の100年の歴史から、20世紀の日本美術史を展観します。

 文部省美術展覧会(文展)の監査に不満を抱いた一部の洋画家たちが、新旧二科制度を文部省に願い出ますが聞き入れられず、ついに文展を離れ在野の公募展を立ち上げました。そうして結成された「二科会」は、1914年10月1日に上野竹之台陳列館で第1回展を開催します。以来、はじまった二科展は、サロン・ドートンヌとの交換展、在外作家制度など、海外の新しい美術動向に積極的な姿勢を打ち出し、文展とは異なる路線を歩み始めます。アカデミズムと対極の場で、二科会が果たしたその役割は大きく、アクションや独立美術協会をはじめ、二科会から数多くの運動や分派がうまれました。1935年帝展改組により一部の創立メンバーが帝国美術院会員となった際には退会を促されるなど、二科会の画家たちは在野であることにこだわります。
その後、戦争へとむかう時代の流れのなかで、二科会はついに1944(昭和19)年解散を余儀なくされたものの、再結成後はパリ、メキシコ、ロシアなど海外での展覧会開催や、社団法人化(現在は公益社団法人)、絵画、彫刻以外のデザイン、写真の分野への拡大を図るなど、更なる発展を目指して今日に至ります。100年もの長い期間、美術家たちの切磋琢磨する研鑽の場として続いた二科展について語られる作品やエピソードは尽きません。在野公募展の雄として、二科展は今もなお、その一貫した歩みを続けているのです。
今回の二科100年展では、常に時代を先取りしてきた二科展の100年の歩みを草創期、揺籃期、発展そして解散、再興期の4期に分け、あらためて明らかにします。それはまた、日本近現代美術史における二科展の意義を浮き彫りにすることにもつながるでしょう。
| 展覧会 | 23:02 | comments(0) | trackbacks(1) |









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伝説の洋画家たち 二科100年展
東京都美術館で開催中の『伝説の洋画家たち 二科100年展』に行ってきました。二科展というと昔は文展から分離した由緒ある展覧会で、洋画家の登竜門としてそれなりの位置づけだったわけですが、近年は芸能人が入選したりすることで話題になるぐらいですから、名もあるけ
| the Salon of Vertigo | 2015/08/24 11:12 PM |
編集・執筆を務めた『カフェのある美術館 素敵な時間を楽しむ』(世界文化社)が2月18日に発売になります。


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