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プロが選ぶ「2015年 ベスト展覧会」
新聞各紙に掲載された、“プロが選んだ「今年のベスト展覧会」”をまとめてご紹介するのも今年で8回目となりました。各紙掲載日順にご紹介します。果たして、どんな展覧会が美術の専門家の心を捉えたのでしょう。

歌川広重

讀賣新聞 2015年(平成27年)12月10日(木曜日)朝刊

回顧2015 文化(アート)
戦争の記憶 見る者に訴え
国内初の「春画展」異例の人気
新国立、エンブレム出直し

3氏が選ぶ展覧会ベスト4

☆建畠晢(多摩美大学長、埼玉県立近代美術館館長)
・「石田尚志 渦まく光」(横浜美術館)
・「堂島リバービエンナーレ2015」における池田亮司の作品(大阪・堂島リバーフォーラム)
・「琳派 京(みやこ)を彩る」(京都国立博物館)
・「九州派展」(福岡市美術館)

石田尚志と池田亮司は対極的な方法で映像と音楽、音響との直接的な関係を探究する作品を発表し、瞠目すべき成果を上げていた。

☆椹木野衣(美術批評家、多摩美術大学教授)
・「山口小夜子 未来を着る人」(東京都現代美術館)
・高橋伸行「旅地蔵ー阿賀をゆく」「同、浜松の家」(新潟市の「水と土の芸術祭2015」)
・「特集 藤田嗣治、全作品展示。」(東京国立近代美術館)
・「武蔵美×朝鮮大 突然、目の前がひらけて」(東京都小平市の武蔵野美大、朝鮮大)

戦後70年、新潟水俣病公式確認50年、「在日」という不透明な存在を喚起するそれぞれの手法が見事。山口展は美術館展の未来を示唆。

☆蔦谷典子(島根県立美術館学芸課長)
・「グエルチーノ展」(国立西洋美術館)
・「レオナルド・ダ・ヴィンチと『アンギアーリの戦い』展」(東京富士美術館など)
・「スペインの彫刻家 フリオ・ゴンザレス展」(長崎県美術館)
・「浮世絵から写真へ」(江戸東京博物館)

日本初のグエルチーノ展。2012年、画家の故郷チェントを大地震が襲い、市立絵画館の震災復興事業として開催。画家の本領を示す大作群は圧巻。




続いて同日に掲載された朝日新聞と毎日新聞をそれぞれ紹介。

朝日新聞2015年(平成27年)12月16日(水曜日)夕刊

回顧2015 美術
「境界」の存在を問い直す
専門家から非専門家へ
既成の枠組みを越える

私の3点

☆北澤憲昭(美術評論家)
・「高松次郎 制作の軌跡」(国立国際美術館)1
・「近代日本彫刻展」(武蔵野美術大学美術館)2
・Re:play 1972/2015−『映像表現'72」展、再演」(東京国立近代美術館)3

1は美術展の啓蒙主義的臭気を脱したミニマルな展示センスにおいて、2は大胆な切り口で小規模展ゆえの大きな可能性を示してみせた点において、3は過去の展覧会を、その痕跡や記録から出来事として再現する発想において、それぞれ注目すべき展覧会であった。

☆高階秀爾(美術史家・美術評論家)
・「天才陶工 仁阿弥道八」(サントリー美術館)
・「戦争と平和展」(広島県立美術館)
・「スサノヲの到来ーいのち、いかり、いのり」(渋谷区立松濤美術館)

いずれの社会背景、美意識、思想史などとの関連・検証に基づいて多くの珍しい作品を揃えた企画展。充実した論文、解説が印象に残る。

☆山下裕二(美術史家)
・「没後100年 五姓田義松ー最後の天才ー」展(神奈川県立歴史博物館)
・「村上隆の五百羅漢図展」(森美術館)
・「春画展」(永青文庫)

1は周到な調査・研究が、素晴らしいかたちで結実。2は日本美術の伝統と現代美術の最先端が実質的な親和性を示した。3は特に肉筆画作品が充実し、社会的にも大きな問題を提起した。




同じ日に発売となった毎日新聞では…

毎日新聞2015年(平成27年)12月16日(水曜日)夕刊

この1年 美術
「盗作」問題、深まらなかった議論
戦争との関係見直す企画、各地で

2015年の3選

☆高階秀爾(大原美術館館長・美術評論家)
・「夜の画家たちー蝋燭の光とテネブリスム」(ふくやま美術館ほか)1
・「グエルチーノ展 よみがえるバロックの画家(国立西洋美術館)2
・「没後100年 五姓田義松ー最後の天才ー」展(神奈川県立歴史博物館)3

いずれも珍しい優品をそろえて見応えの十分。特に1は卓抜な発想と充実した図録、2はバロック絵画を効果的に見せる展示構成、3は史料集も含めて、多年の調査研究が光る。

☆三田晴夫(美術ジャーナリスト)
・「中村宏展」(浜松市美術館)1
・「小池隆英展」(アキライケダギャラリーと上野の森美術館)2
・「名和晃平展」(スカイ・ザ・バスハウス)3

戦後70年、東京国立近代美術館の保管する戦争画の公開点数は過去最高に。絵画における主題と表現を考える上で、戦争画は避けては通れない重要なテクストである。




最後は産経新聞。2015年12月24日(木曜日)

【回顧 平成27年】
美術 春画、戦争画、障害者アート…壁を乗り越えて

1ページ目 http://www.peeep.us/835976f4
2ページ目 http://www.peeep.us/4ce16ce6
3ページ目 http://www.peeep.us/efaa674d






いかがでしたでしょうか。毎年思うところそれぞれありますが、展覧会の存在すら知らなかったものから、大型展まで今年はかなりバラエティーに富んだ選出だったのではないでしょうか。

今年から始めた美術の専門家ではなく、一般の方々に選んで頂く「あなたが選ぶ展覧会 2015」をはじめて設けました。こちらのランキングとの比較も是非してみて下さい。

【バックナンバー】
プロが選ぶ「2014年 ベスト展覧会」
プロが選ぶ「2013年 ベスト展覧会」
プロが選ぶ「2012年 ベスト展覧会」
プロが選ぶ「2011年 ベスト展覧会」
プロが選ぶ「2010年 ベスト展覧会」
プロが選ぶ「2009年 ベスト展覧会」
プロが選ぶ「2008年 ベスト展覧会」

ところで、何故日本で開催される展覧会には新聞社(大手メディア)が主催者となっているのでしょう。それには日本特有の展覧会の成り立ちに理由があります。

美術館の舞台裏: 魅せる展覧会を作るにはでは、「日本独自の海外美術展の作り方ー美術館と新聞社の深い関係」と題し、その仕組みや歴史はたまた弊害について言及されています。


美術館の舞台裏: 魅せる展覧会を作るには』 (ちくま新書)
高橋明也(著)

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【展覧会レビュー】
「2018年 展覧会ベスト10」
かみさんが選ぶ「2018年 展覧会ベスト10」
プロが選ぶ「2018年 ベスト展覧会」
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『AERA』に載りました。

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「美連協ニュース」寄稿

『アートコレクター』で紹介されました

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