青い日記帳 

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2015年 展覧会ベスト10

年末にその年に観た展覧会の中から恣意的にベスト10を決め、発表し始めてから今年で11回目となります。11年も続けて来れたのは、支えてくれた家族と駄文を読んで下さる皆さんあってのこと。あらためまして感謝申し上げます。

ここ数年、公私ともに身の回りが慌ただしく、中々思うように展覧会に足を運ぶことが叶いません(Ingressにハマったという説も…)。見逃してしまった展覧会も沢山ありますが、総括として「2015年 展覧会ベスト10」をあげておきたいと思います。

池上秀畝

今年から始めた、「あなたが選ぶ展覧会 2015」や「プロが選ぶ展覧会」「かみさんが選ぶ展覧会」と合わせてお楽しみ下さい。

同様にブログにまとめられた方いらっしゃいましたら、是非TB(トラックバック)送って頂ければ幸いです。(コメントでも結構です) Facebookページ「青い日記帳」でも大歓迎です。

「ベスト10」と称し、展覧会に順位を付けるのはどうかと思いつつも、これも毎年恒例の「縁起もの」です。発表しないと無事に年を越せないので僭越ながら発表させて頂きます。

素人の分際ではなはだ恐縮では御座いますが、何卒お付き合い頂ければ幸いです。

王冠22015年 私が観た展覧会ベスト10王冠2

アート1位:「グエルチーノ展 よみがえるバロックの画家

国立西洋美術館
http://www.nmwa.go.jp/
開催期間:2015年3月3日 〜 5月31日

昨年(2014年)年間ベスト1に選出した「東山御物の美」同様に、今年はぶっちぎり文句なしで「グエルチーノ展」が1位です。この規模のイタリア・バロック絵画、しかもひとりの画家の作品(油彩のみ、エッチングなど無し)をまとめて観られる機会は、後にも先にもう無いでしょう。

震災でズタボロになってしまったチェント市立絵画館(チェントはグエルチーノの故郷です)の壁や教会の天井から外され、遠く離れた日本まで、はるばるやって来たまさに奇蹟の展覧会。距離を置いて観ても何が描かれてあるのか一目でわかるようなコントラストと発色の良い青色。画面の中に陰影が複雑に入り組み、あたかもそれが斑点のように見える「グラン・マッキア(偉大な斑点)」と称される、グエルチーノ芸術の特質をこの目でしかと観ることが出来ました。

以前のように海外へ気軽に行けなくなってしまったので、日本に居ながらにしてこうした展覧会が観られるのは、本当にありがたいことです。

「グエルチーノ展」が国立西洋美術館で開催されます。
「グエルチーノ展」おススメ3作品。
「グエルチーノ展」5月31日(日)までです。


アート2位:「水 神秘のかたち

サントリー美術館
http://suntory.jp/SMA/
開催期間:2015年12月16日〜2016年2月7日

生き物にとって無くてなならない水。命の水は古来より世界各地で崇められてきましたが、とりわけ日本では特に水に対する信仰が強く、神仏のみならず、文学、芸能、絵画などにも大きな影響を与えています。しかし、形の無いものをテーマに展覧会を形成するのは並大抵のことではありません。ともすれば風呂敷を広げ過ぎてまとまりのないものになりかねません。「水 神秘のかたち」展では水にかかわる神仏を中心に、その説話や儀礼を紹介することに的を絞りまとまりのあるものに仕上げています。来年2月まで開催しているので是非一度。


アート3位:「スサノヲの到来

DIC川村記念美術館
http://kawamura-museum.dic.co.jp/
開催期間:2015年1月24日〜3月22日


渋谷区立松濤美術館
http://www.shoto-museum.jp/
2015年8月8日〜9月21日

「水」よりももっともっと目に見えない存在である「スサノヲ」。『古事記』『日本書紀』に登場するこの男神をどのように我々のご先祖さまは形としていったのでしょう。また2000年以上もひとりの神様のイメージをどのように共有してきたのかも見ごたえがありました。川村記念美術館と渋谷区立松濤美術館と巡回したので二回も楽しめてしまった嬉しい展覧会でもありました。古いものから現代アートまでひとつひとつ心の琴線に触れる作品(展示物)ばかりでした。図録は宝物です。


アート4位:「大ニセモノ博覧会

国立歴史民俗博物館
https://www.rekihaku.ac.jp/
開催期間:2015年3月10日〜5月6日

お葬式に飾られる造花から江戸時代の偽物小判、はたまた人魚のミイラまで、古今東西本物あるところに必ず偽物は存在するものです。しかし、その偽物が作られる動機は様々。人をだますために作られるわけではなく権力を誇示するために無くてなならぬアイテムでもあったのです。地方の大地主となると、関係者を自宅に招き宴会を開くことも大事な仕事のひとつ。その宴会場は同時に財力を誇示する絶好の場所でもあります。そこには狩野派や雪舟の掛軸、誰しもが知るメジャーな絵師の屏風が欠かせません。派手なチラシに惹かれて足を運びましたが期待以上の大きな収穫のあった展覧会でした。

ニセモノ ゾクゾク!!「大ニセモノ博覧会」


アート5位:「岡崎京子展

世田谷文学館
http://www.setabun.or.jp/
開催期間:2015年1月24日〜3月31日

大大大好きな岡崎京子さんの展覧会をベスト10に入れないわけにはいきません。漫画やアニメの展覧会がここ数年多くなってきましたが、イベント的なものも勿論楽しく必ず観に行ってしまいますが、こうしたある時代をフォーカスするように構成された展覧会は、下手な絵画展よりも何十倍も価値があります。自分のような「岡崎京子世代」に熱く信奉・支持された展覧会ではなく、20代の若い世代の来館者も多かった点がその理由を如実に物語っています。岡村ちゃんの曲をウォークマンで聴きながら岡崎京子の漫画を読み耽る。あんな幸せで贅沢な時代はもう二度と来ないのでしょうね。

「岡崎京子展」開催!


アート6位:特別展「白鳳」

奈良国立博物館
http://www.narahaku.go.jp/
開催期間:2015年7月18日〜9月23日

聞きしに勝る素晴らしさ。トーハク以来の博物館での対面を果たせた薬師寺の月光菩薩像や、驚きの法隆寺の夢違観音の露出展示などなど地元奈良でしか開催不可能な夢の仏像展。「白鳳時代」というくくり方について様々な意見があるようですが、なにはともあれ7世紀後半の日本でどんな仏像や仏教彫刻が生み出されたのかがこの展覧会で全て解るラインナップ。教科書以上に内容の濃い展覧会はこれが初めて。旅先で展覧会観るとどうしても贔屓目に見えてしまうのですが、この「白鳳展」だけは別格でした。奈良博の本気を見ました。(でも空いていたんですよね…)


アート7位:「ヘレン・シャルフベック展

東京藝術大学美術館
http://www.geidai.ac.jp/museum/
開催期間:2015年6月2日〜7月26日

今年は女性アーティストの展覧会が多かった一年でもありました。その中でも群を抜いてこの「シャルフベック展」は心に深く残るものがありました。シャルフベックの日本での知名度はほぼゼロですが、故郷フィンランドでは国民的画家であると共に、2012年にシャルフベック生誕150周年を記念する大回顧展がフィンランド国立アテネウム美術館で開催されるなど近年、世界的に注目される画家の一人。そもそものきっかけは、「ハンマースホイ展」(2008年)の準備中に、日本でシャルフベックをやらないかとタニネン館長(現在ヘルシンキ市立美術館長)から声をかけられたのが始まりだったそうです。

フィンランドを代表する女性画家ヘレン・シャルフベックの日本で初めての回顧展が開催されます。

「ヘレン・シャルフベック展」は、2016年1月10日〜 3月27日の日程で、神奈川県立近代美術館 葉山へ巡回し開催されます。お見逃しなきように!


アート8位:「レオナルド・ダ・ヴィンチと「アンギアーリの戦い」展

東京富士美術館
http://www.fujibi.or.jp/
開催期間:2015年5月26日〜8月9日

観に行く前は、レオナルドの《アンギアーリの戦い(タヴォラ・ドーリア)》一点豪華主義の展覧会かとばかり思っていましたが、豈図らんや、考え抜かれた素晴らしい構成の展覧会でした。レオナルド以前の合戦図は、緊迫した戦いの様子というよりも、日本の絵巻物のように出来事を羅列するだけの、おとなしい感じの作品ばかりだったものが一変。レオナルドの従軍し目の前で合戦を観て来たかのような、緊迫した臨場感あふれる作品を描いたことが大きなターニングポイントになったことが一目で解る展覧会でした。感動し過ぎて6次元でこんなイベントまで開催したほどです。

レオナルド・ダ・ヴィンチと「アンギアーリの戦い」ナイト開催!


アート9位:「春画展

永青文庫
http://www.eiseibunko.com/
開催期間:2015年9月19日〜12月23日

開催前から外野がうるさいのでちょっと辟易していたのですが、やはり行って見るとその美しさにまず驚き感動しました。春画が全く美術館で観られないわけではありません。浮世絵展でも一部18禁コーナーを設け展示していたりします。ただし全部が全部美術館まるごと(ショップまで)18禁となるのは今回が初めてのこと。春画の世界は単に男女の「いとなみ」を描いただけでなく、もう何でもありで、今のコミケのルーツは春画なんだな〜と。それと江戸時代の人々の性に対するおおらかさが素敵過ぎました。

ただのセクシーグッズじゃない!「春画展」グッズのこだわりがすごい


アート10位:「村上隆の五百羅漢図展

森美術館
http://www.mori.art.museum/
開催期間:2015年10月31日〜2016年3月6日

好き嫌いは別として(嫌いな人ほど)観に行かれると良い展覧会です。日本国内では2001年以来、実に14年ぶりとなる村上隆氏の大規模個展。毎年星の数ほど多くの展覧会が開催されていますが、間違いなく歴史にその名を記す展覧会です。それにしても高さ3メートル、全長100メートルもの超大作を一体どのようにして仕上げたのでしょう。その秘密も包み隠さず公開されています。膨大な資料の山はまるで一つの巨大な建造物を建てる為の計画書のようです。村上隆氏にインスピレーションを与えた長沢芦雪や狩野一信の「五百羅漢図」も出品されています。

「村上隆の五百羅漢図展」
海洋堂制作 オフィシャルカプセルフィギュア




以上、独断と偏った嗜好により選んだベスト10です。ギャラリーでの個展やイベント系の展覧会はランキングから除外しました。またグッズ制作など個人的に関わりを持った展覧会もベスト10から除外しました。

みんなが欲しいチケットホルダープロジェクト×ボッティチェリ
「ボッティチェリとルネサンス フィレンツェの富と美」
Bunkamura ザ・ミュージアム

展覧会以外では、2015年3月25日に小学館より『美術展の手帖』を上梓できたことが、個人的には今年一番の嬉しい事でした。


美術展の手帖』青い日記帳 (編集)

『美術展の手帖』を上梓しました。

【バックナンバー】
2004年 展覧会ベスト10
2005年 展覧会ベスト10
2006年 展覧会ベスト10
2007年 展覧会ベスト10
2008年 展覧会ベスト10

2009年 展覧会ベスト10
2010年 展覧会ベスト10
2011年 展覧会ベスト10
2012年 展覧会ベスト10
2013年 展覧会ベスト10
2014年 展覧会ベスト10

こちらもご参考までに。
プロが選ぶ「2015年 ベスト展覧会」
かみさんが選ぶ「2015年 展覧会ベスト10」

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この記事に対するコメント

Takさん、こんにちは。

早速、TBさせていただきました。
北海道在住なので、見ることのできる展覧会には限界があるのですが、「白鳳」展は見たかったです。
SH | 2015/12/31 7:13 AM
Tak様 初めまして(と申しましても、ブロガー内覧会ではお姿をこっそり後列の方から拝見しております)。

週一ペースでまとめ読みしているので、このタイミングなのですが、「春画展」はコミケのルーツというコメントに共感いたしました。
栄之描く源氏五十三帖、平安公達と江戸娘の絡みに、恋愛シミュレーションゲームを連想してしまいました…。
茜 | 2016/01/04 8:48 PM
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2015年 ミュージアムで心惹かれたベスト15作品 | B サイエンス・テクノロジー・アートコミュニケーション | 2015/12/30 11:50 PM
今年の展覧会で印象に残ったものは以下となる。 札幌市資料館「RYOTA KUWAKUBO LOST#13」 Hue Universal Gallery「舩岳紘行展」 新国立美術館「ニキ・ド・サンファル展」!! ギャラリー門馬「久野志野個展 発光する島」 北海道立近代美術館「高橋三太郎展 放浪する
2015年のアート | 散歩日記X | 2015/12/31 7:05 AM
今年は、「戦争と画家」、「春画
観てきた展覧会ベストテン2015 | 雑感ノート | 2015/12/31 1:07 PM
年末恒例、独断と偏見による私的ベスト企画です。私が今年観た展覧会のベスト10をあげてみました。 2015年 私が観た展覧会 ベスト10 1.「ヴォルフガング・ティルマンス Your Body is Yours」 国立国際美術館 国内の美術館では11年ぶりとなるティルマンスの個展
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