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「初期浮世絵展」

千葉市美術館で開催中の
「初期浮世絵展−版の力・筆の力−」に行って来ました。


http://www.ccma-net.jp/

一般的に「浮世絵」と云うと、北斎、広重、国芳といった面々の作品が頭に浮かびます。ミュージアムショップや書籍にもアイコン的にそれらの作品が繰り返し使われています。

1603年〜1868年まで続いた江戸時代。彼らはそのいわば晩年を飾った浮世絵氏たちです。→葛飾北斎(1760〜1849)、歌川広重(1797〜1858)、歌川国芳(1798〜1861)

今回千葉市美術館で開催されている日本初の初期浮世絵展に出ている浮世絵師たちとは、およそ200年の開きがあります。

100年違っても琳派の例を出すまでもなく、かなり作風や技法は変化するものです。ましてや新しい技術を導入していき、「浮世絵」を作り上げた初期段階と成熟期ではまるで別物。

「初期浮世絵展」に出ている作品は、ベロ藍の美しい作品や喜多川歌麿の描いた端整な美人は登場しません。多色摺りといってもせいぜい2色が限度です。


鳥居清倍「市川団十郎の虎退治」1713年
千葉市美術館蔵

しかし、よくよく考えるとそれだけ古い作品です。摺られた数も少ないのは勿論、何百年も経過し現存する作品が非常に少数となってしまっているのは想像に難くありません。

日本国内では存在が確認されていない初期浮世絵も多くあります。それらを出来る限り海外の美術館や個人コレクターから集めに集めている点がまず第一の驚きです。

これは、東大の佐藤康宏先生から教えて頂いたことですが、これまで原本の所在が確認されていないとされていた菱川師宣『伽羅枕』が何と「初期浮世絵展」に出ています。

まさかアメリカの個人コレクターの元にあったとは!専門家でも目にしたことのない幻の浮世絵が今、千葉まで行けばこの目で見られるのです。


杉村治兵衞「遊歩美人図」貞享期(1684-88)頃 
シカゴ美術館蔵

↑こちらも世界に1点しか存在が確認されていない杉村治兵衞の美人図です。着物の柄を見ると『伊勢物語』「芥川」と「武蔵野」が描かれており、『伊勢物語』が既に広く読まれていたことが解ります。

展覧会の構成は以下の通りです。

プロローグ:浮世の楽しみ −近世初期風俗画
1:菱川師宣と浮世絵の誕生 −江戸自慢の時代
2:荒事の躍動と継承 −初期鳥居派の活躍
3:床の間のヴィーナス −懐月堂派と立美人図
4:浮世絵界のトリックスター −奥村政信の発信力
5:紅色のロマンス −紅摺絵から錦絵へ


展示構成もばっちりで、浮世絵の祖とされる菱川師宣の作品をたっぷりと見せてから、その後の展開を浮世絵師ごとに丁寧に紹介しています。

歴史は流れがつかめると理解度が格段にアップしますが、初期浮世絵そしてその後の「浮世絵」にどのように関わっていったのかが、自分のような素人にも大変分かり易い構成となっているのです。

一般的な浮世絵展では最初に出てくる鈴木春信が、この展覧会では最後の最後に出てくるのですから、それまでのほぼ全ての作品は未見のものと思って間違いありません。

美術館単独でよくぞまぁこれだけの内容の展覧会を開催できたものかと、感動すら覚えます。日本で最初の初期浮世絵展ですが、この内容で次に開催するのはまず不可能でしょう。最初で最後の初期浮世絵展です。

眼福眼福。一月最初にして、今年の年間ベスト展覧会のひとつが決定しました!「初期浮世絵展」は2月28日までです。見逃すと激しく後悔しますよ〜


初期浮世絵展−版の力・筆の力−

会期:2016年1月9日(土)〜2月28日(日)
開館時間:日〜木曜日 10:00〜18:00
金・土曜日 10:00〜20:00
※入場受付は閉館の30分前まで
休館日:2月1日(月)、2月15日(月)
会場:千葉市美術館
http://www.ccma-net.jp/
主催:千葉市美術館
協力:日本航空、高久国際奨学財団

同時開催 「新寄贈寄託作品展−花づくし」


菱川師宣と浮世絵の黎明

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 新興都市江戸に暮らす人々が、太平の世に自信と愛着を深めていく17世紀後半、浮世絵の始祖と位置付けられる菱川師宣(?-1694)が活躍を始めます。流行の衣裳に身を包む美人たち、人々を熱狂させた歌舞伎、そして江戸における日々の愛すべき暮らしなど、今に生きる楽しみを積極的に肯定する浮世絵は、時代を謳歌する気分とも相俟って、高い人気を得ることになりました。
 浮世絵は、木版画として広く人々に普及しましたが、量産による値段の安さ、また当世の流行を即時に取り入れた木版画制作の速さという特徴が、庶民に至るまで気軽に絵を楽しむことができるという世界でも稀な文化状況を育んだのです。一方で肉筆画、すなわち日本絵画の伝統的な技法で描く屏風や掛軸、絵巻物などの形式でも制作され、富裕層の需要も満たしていたのです。
 どのように浮世絵は生まれ、発展し、なぜ近代に至るまでの高い人気と需要を継承できたのでしょうか。本展覧会では、大英博物館、シカゴ美術館、ホノルル美術館をはじめ海外からの里帰り品を含めた版画・肉筆画の名品約200点により、浮世絵草創期の世界を紹介、版と筆それぞれの表現の魅力を探ります。新しい都市の活況を伝え、時代のダイナミックな動きに呼応して、素朴ながらも力強い存在感を発揮した初期浮世絵の美を十分ご堪能いただけることでしょう。
 近世初期風俗画から菱川師宣前後の浮世絵誕生の状況、鳥居清信(1664-1729)や鳥居清倍(生没年不詳)が歌舞伎絵界に圧倒的な地位を築く初期の鳥居派、浮世絵界のトリック・スター奥村政信(1686-1764)や石川豊信(1711-85)の多様な活躍、そして高度な多色摺木版画技法、すなわち錦絵が誕生する鈴木春信(1725?-70)の登場までを通観する、日本初の総合的な初期浮世絵の展覧会です。
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