青い日記帳 

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「カラヴァッジョ展」

国立西洋美術館で開催中の
「日伊国交樹立150周年記念 カラヴァッジョ展」に行って来ました。


http://caravaggio.jp

もし、今年(2016年)に開催される西洋美術館の展覧会に一つだけしか行けない(そんな悲しいことあったら困るのですが…)としたら、迷うことなくこの「カラヴァッジョ展」一択でしょう。

西洋絵画に少しでも興味があるなら、どうしても観ておかねばならぬ唯一無二の画家がカラヴァッジョです。彼が西洋絵画に与えた影響の大きさをここで改めて説明するまでもありません。

カラヴァッジョは、西洋美術史上最大の革新をもたらしました。


カラヴァッジョ「エマオの晩餐」1606年
ミラノ、ブレラ絵画館

この展覧会を観に行かない理由が見つからないどころか、最低でも5回は足を運ぶべきでしょう。あまり人様に行動を強いるようなことは控えていますが、「カラヴァッジョ展」に関してはそれに当たりません。

何が何でも観に行かないと10年は泣きます。実際に前回(2001年)日本で開催された「カラヴァッジョ展」(東京都庭園美術館)を観に行けず15年間悔やみ続けた人が、身の回りだけでも何人もいます。


カラヴァッジョ「メドゥーサ」1597-98年頃
個人蔵

カラヴァッジョの現存する真筆は約60点強。その中には祭壇画など移動不可能なものも多く含まれます。日本より本国イタリアはじめ海外でのカラヴァッジョの人気は非常に高く、ヨーロッパでも5点集まれば「カラヴァッジョ展」として多くの鑑賞者が列をなすそうです。

そんなカラヴァッジョ作品が今回はなんと11点も日本にやって来ています(「法悦のマグダラのマリア」は世界初公開です)。わざわざ海外から取材に来たメディアもいたほどの「奇蹟」が上野で起こっているのです。


(右)カラヴァッジョ「マッフェオ・バルベリーニの肖像」1596年頃
個人蔵
(左)作者不詳「カラヴァッジョの肖像」1671年頃
ローマ、サン・ルカ国立アカデミー

展覧会の構成は以下の通りです。

1:風俗画:占い、酒場、音楽
2:風俗画:五感
3:静物
4:肖像
5:光
6:斬首
7:聖母と聖人の新たな図像
ミニ・セクション:エッケ・ホモ
史料


展覧会はカラヴァッジョを愛してやまないコアな美術ファン、専門家から初めてカラヴァッジョ作品とじっくり対峙する方まで満足のいく構成となっています。

11点のカラヴァッジョ作品を年代順ではなく、「風俗画」「静物」「肖像」などテーマ別に紹介しています。これら設けられた7つ(ミニセクションを含めると8つ)の章のまずはじめにカラヴァッジョ作品を展示。


(右)カラヴァッジョ「女占い師」1597年頃
ローマ、カピトリーノ絵画館
(左)シモン・ヴーエ「女占い師」1618-20年
フィレンツェ、ピッティ宮パラティーナ美術館

そして同テーマのカラヴァジェスキ(カラヴァッジョの影響を受けた画家たち)作品を並べて見せています。その中にはあのジョルジュ・ド・ラ・トゥールの作品も含まれています。

カラヴァッジョと追随者であるカラヴァジェスキの同テーマの作品を比べて観ることで、何故、カラヴァッジョが西洋美術史上最大の革新者であったのかが解説無しでも解ってきます。

カラヴァッジョ「トカゲに噛まれる少年」とピエトロ・パオリーニに帰属「カニに指を挟まれる少年」などは、キャプションがなくてもどちらがカラヴァッジョの作品なのか素人目にも一目瞭然でした。


カラヴァッジョ「ナルキッソス」1599年頃
ローマ、バルベリーニ宮国立古典美術館
per concessione del Ministero dei Beni e delle Attività Culturali e del Turismo

イタリア語で「明暗」を意味するキアロスクーロを劇的、効果的に用いているのがカラヴァッジョの真骨頂ですが、単にドラマティックな陰影法を駆使しただけでないことは、この作品からも明らかです。そう、カラヴァッジョ作品は超写実的なのです。

これを下書き無しに(彼はドローイングを描かず直接描いたそうです)描いたと言われても一向に信じられません。衣服の模様から襞、そして何と言ってもナルキッソスの情感あふれる表情!

水面にうつった姿との間の黒い闇のような水の部分にだまし絵のように描き込まれた髑髏が観えたのは自分の目の錯覚だったのでしょうか。。。


カラヴァッジョ「バッカス」1597-98年頃
フィレンツェ、ウフィツィ美術館

静物のセクションにあるこちらの有名過ぎる一枚の見所はなんと言ってもバッカスが鑑賞者に向け差し出しているかのようなワイングラスです。「さぁ、一杯どうぞ」とばかりにこちらにグラスを動かしているそのまさに最中を描いています。

作り話ではありません。グラスに注がれた赤ワインに是非注目して観て下さい。動かしている証拠にワイン表面に幾重かの波紋が描かれているのが目視できます。時間をも絵画の中に取り込んでしまったカラヴァッジョ。

38歳という若さでこの世を去ってしまいましたが、今なお西洋美術に大きな影響を与え続けている巨星であることに間違いはありません。

どんなことがあってもこの展覧会だけは足を運ぶようにしましょう。好き嫌いとか関係ありません。ルーベンスもレンブラントもカラヴァッジョが革新的な絵画を描かなければ存在していなかったのですから。西洋絵画のひとつの大きなルーツがここにあります。

「カラヴァッジョ展」は6月12日までです。是が非でも!


「日伊国交樹立150周年記念 カラヴァッジョ展」

会期:2016年3月1日(火)〜6月12日(日)
開館時間:午前9時30分〜午後5時30分
毎週金曜日:午前9時30分〜午後8時
※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(ただし、3月21日、3月28日、5月2日は開館)、3月22日(火)
会場:国立西洋美術館
http://www.nmwa.go.jp/
主催:国立西洋美術館、NHK、NHKプロモーション、読売新聞社
後援:外務省、イタリア大使館
協賛:損保ジャパン日本興亜、凸版印刷
協力:アリタリア-イタリア航空、日本貨物航空、日本航空、西洋美術振興財団

「カラヴァッジョ展」公式サイト:http://caravaggio.jp


日本初輸入となるマルタ・マルソヴィン社製カラヴァッジョワインが特設ショップで販売されています。


カラヴァッジョ巡礼 (とんぼの本)
宮下規久朗

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この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=4273

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注:展示室の画像は主催者の許可を得て撮影したものです。
ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ(1571-1610 年)は、西洋美術史上最も偉大な巨匠の1人であり、イタリアが誇る天才画家です。彼の劇的な明暗法によって浮かび出る人物表現とその写実性は、バロックという新時代の美術を開花させる原動力となりました。とりわけ17世紀前半、彼の画法はイタリアのみならずヨーロッパ中の画家たちによって継承され、カラヴァジズムという一大芸術運動に発展し、ラ・トゥールやレンブラントを含む数多くの画家たちに大きな影響を与えました。
本展は、イタリアの代表的な美術館が所蔵するカラヴァッジョの名品と、その影響を受けたカラヴァジズムの作品約50点、その他関連伝記資料などにより構成し、カラヴァッジョの劇的な人生と作品、そして彼の芸術が美術史に与えた影響を紹介します。
展覧会 | permalink | comments(1) | trackbacks(0)

この記事に対するコメント

見事な展示ですね。ただ、カラバジョが作品の多くを下書き無しに描いたというのは俄に信じられない点。あのレオナルドダ・ヴィンチですら入念な素描や下絵で構想して描いたのだからー。只、ダ・ヴィンチの手記を読むと素描に対して恥じていた面があり、当時、それは一般に見せるものではなかったし、工房での創作の秘密に関わる部分だったので隠されて封印されたり、焼却されたりした可能性があるのではないのかー、と。
まあ、そんな印象はどうあれ此だけの規模でバッカスやナルキッソスや正に3Dのメデイアなどカラバジョの世界に浸りたい…。
PineWood | 2016/04/11 2:16 AM
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