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「ジョルジョ・モランディ」展

東京ステーションギャラリーで開催中の
「ジョルジョ・モランディ―終わりなき変奏」展に行って来ました。


http://www.ejrcf.or.jp/gallery/

「20世紀最高の画家」と称されるイタリア人画家ジョルジョ・モランディ(Giorgio Morandi 1890〜1964)の日本で17年ぶりとなる回顧展が東京ステーションギャラリーで開催中です。

生まれ故郷のボローニャの自宅兼アトリエで描かれた作品のほとんどは静物画です。瑞々しい果物を描いたカラヴァッジョやオランダフランドル絵画の静物画とは、全く別物です。

Googleの画像検索をかけてみると、ご覧の通り。似たようなどこか埃を被ったような瓶を描いた静物画が現れます。



展覧会会場もこれと同じように、故郷ボローニャにあるモランディ美術館やイタリア各地から集められた100点以上の作品が坦々と展示されています。

最近の展覧会は展示方法にもかなりこだわりをみせるものが多く見られますが、今回のモランディ展はいたってシンプルです。モランディの作品を観るのに過剰な演出は逆効果です。


ジョルジュ・モランディ「静物」1946年
国立近代美術館(ローマ)

12も設けられた展覧会セクションからは、かなり変化のある展示かと思わせなくもありませんが、微妙に描かれている静物が変わっていたりするだけで、ここにも大きな変化は見受けられません。

展覧会の構成は以下の通りです。
1:変奏のはじまり
2:溝に差す影
3:ひしめく器ー都市のように
4:逆さじょうご
5:矩形の構成
6:多様なハッチング
7:ペルシャの扁壺
8:縞模様の効果
10:終わりなき変奏
11:風景の量感
12:ふるえる花弁


モランディは大学で版画の先生(ボローニャ美術アカデミー銅版画科教授)を務めていたそうで、絵を描きそれを売って日々の糧にするつもりは毛頭なかったそうです。自分の描きたいものを好きなだけ描く。

そうしているうちに彼の名はイタリア国内のみならず、いつしか世界中に知れ渡ることに。一体モランディ作品のどこに誰がそれほど惹きつけられたのでしょう。


ジョルジュ・モランディ「静物」1946年
20世紀美術館(ミラノ)、ボスキ・ディ・ステファノ・コレクション

モランディの作品に注目したのは、画家だけでなく、思想家や哲学者そして音楽家など多岐に渡りました。哲学者に好まれたというのも確かに納得がいきます。

作品の前で腕を組んで日がな一日思索に耽る。

そんなことを可能にする画家は意外なほど少ないのではないでしょうか。モランディがその役目を一手に引き受けた感があります。

しかし、前述した通り、そんなことを意図して描いたわけではありません。静物を通して彼が描きたかったのは「時間」や「感覚」といった目に見えない、本来絵画に表すことの出来ないものだったように思えます。

同じ年にほぼ同じ物を描いた以下の2枚の作品。一見するとどこに違いがあるのか解らないほどそっくりです。まるでサイゼリアのキッズメニュー間違い探しのようです。


ジョルジュ・モランディ「静物」1951年
モランディ美術館(ボローニャ)


ジョルジュ・モランディ「静物」1951年
モランディ美術館(ボローニャ)

瓶が一本多いとか、位置が違うとかが分かった後は、「その他」の違いを見つけてみましょう。ここからがモランディ鑑賞の真髄です。

色合いはどですか?筆あと、タッチは?そして光の表現も違うのです。これは残念ながらweb上の画像でがその差異を見出し心動かされるには、限界があります。

売るために同じモチーフを描いていたのではなく、あくまでも己の探究心に突き動かされてのこと。こうしたある種孤高の行為に人は魅力を感じるものです。

限られた狭い領域から豊かなもんを創り出す。そんなミラクルな芸当をやってみせてしまったからこそ、「20世紀最高の画家」と讃えられるのでしょう。

しかし他人の評価や歴史がどうこうよりも、モランディの絵に多く触れることで自分自身の中で何かが蠢くものを感じるからこそ、絵画ファンにとどまらず多くの人を惹きつけてやまないのでしょう。

展覧会最後の方にあった風景画やこうした花の絵もまた独特の魅力を湛えていました。


ジョルジュ・モランディ「」1952年
ミラノ市立ボスキ・ディ・ステファノ邸美術館

「モランディ展」は東日本大震災のあった年、2011年に開催される予定でしたが、震災後の影響で反故になってしまいました。

あれから5年。内容をよりパワーアップさせ展示作品も新たに組み直し2016年ヴァージョンの「モランディ展」として開催されています。


ジョルジョ・モランディ
岡田温司 (監修), 岡崎乾二郎 (その他), 堀江敏幸 (その他)

2011年の幻に終わった「モランディ展」はのちに一般書籍として発売となりました。今回の2016年「モランディ展」図録と見比べてみたいと思います。

モランディ作品のようにどこがどう違うのか楽しみながら。

日本国内には10点未満しかないモランディ作品。今回イタリアから100点も日本にやって来ています。これは見逃してはなりません。「ボッティチェリ展」「カラヴァッジョ展」そしてこの「モランディ展」イタリア人が本気を出しているそれぞれ良質な展覧会です。イタリア年ありがとう〜

「ジョルジョ・モランディ―終わりなき変奏」展は4月10日までです。是非是非!

ジョルジョ・モランディ―終わりなき変奏

会期:2016年2月20日(土)〜4月10日(日)
休館日:月曜日(ただし3月21日は開館)、3月22日(火)
開館時間:10:00 − 18:00
※金曜日は20:00まで開館
※入館は閉館30分前まで
会場:東京ステーションギャラリー
http://www.ejrcf.or.jp/gallery/

主催:東京ステーションギャラリー(公益財団法人東日本鉄道文化財団)、東京新聞
学術協力:ボローニャ市立美術博物館機構 モランディ美術館
後援:イタリア大使館、イタリア文化会館、ボローニャ市
協力:アリタリア-イタリア航空
協賛:大日本印刷


ジョルジョ・モランディの手紙

「ほっといてくれ、仕事をするから」が口癖。アトリエにこもり壜、缶、器を配した静物画をくり返し描きつづけた。この特異な画家の遺した手紙と資料から、“密やかな抵抗者”の人と芸術に接近する。第2部では、同時代人によるモランディ評はじめ、今日のモランディ論の礎となっている重要な論文、短文ながら興味深い「自伝」、稀少なインタヴュー、ヴェネツィア・ビエンナーレとの隠れた関係に迫る論考など、謎めいた画家モランディに多方向から接近する。

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20世紀最高の画家の一人、ジョルジョ・モランディ(1890〜1964)。世界中の絵画ファンが熱烈に愛するこの画家の、日本では3度目、17年ぶりとなる待望の本格的な個展を開催します。
 若い頃から高い評価を受けながらも、人生のほとんどの時間を生まれ故郷のボローニャの自宅兼アトリエで過ごしたモランディは、静物画という主題に専心したことで知られます。淡い色彩でまとめられた慎ましい画面に動きのある要素は登場せず、誇張もなく、一見して簡素そのもの。にもかかわらずモランディが「20世紀最高の画家」の称号を与えられているのは、描かれた事物が画面の中に織り成す複雑な空間をコントロールする、その巧みな手腕のゆえに他なりません。一点一点の作品において、色と形が緊密に対話し合い、スリリングなほどの均衡を保っています。絵画というもののあらゆる魅力を凝縮したといっていい画面は圧倒的な説得力を持ち、私たちの目をつかんで離すことがありません。
 本展は、「終わりなき変奏」のサブタイトルの通り、モランディに特徴的な手法である「ヴァリエーション=変奏」に焦点を当てます。モランディの作品には、しばしば同一の瓶や箱、壺、水差しなどが登場します。いったん完成した組合せを崩し、要素を入れ替えて別の完成形を見出すことは、思えば困難な方法でもありますが、モランディは嬉々として果てしない組み替えの作業に徹し、色調や構図を変化させつつ無数の傑作を生みだしました。モランディにとって卓上の瓶や容器は、作品のモティーフであるとともに、絵画の潜在力を試す恰好の相手でもあったのです。
 今回はボローニャのモランディ美術館の全面的な学術協力のもと、イタリア各地および国内から集まった油彩画約50点、水彩、素描、版画約50 点が彩る贅沢な空間が実現します。うっとりするほどの気品と絵画のエッセンスを間近に堪能できる、まさに眼福の語がふさわしい至高の体験の機会を、ぜひともごゆっくりお楽しみください。
展覧会 | permalink | comments(1) | trackbacks(0)

この記事に対するコメント

変奏曲のバリエーションを味わうように時の移ろいの形象。その基礎に、銅版画という版表現でのバリエーション豊かなそして間接的な、複製芸術の手法があったのだろう。モノタイプの絵画表現に応用してなされた!ダイレクトでは無い、その秘められた覚醒されたパッションが、モランデイの静物画の抑えられた色調の、容器群像などから感じられた…。
PineWood | 2016/04/09 8:59 AM
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