青い日記帳 

  
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「メアリー・カサット展」
横浜美術館で開催中の
「メアリー・カサット展」に行って来ました。


http://cassatt2016.jp/

さまざまな困難を乗り越えて画家となる意志を貫いた印象派を代表する女性画家、メアリー・カサットの初期から晩年にいたる画業の全貌に焦点をあてた35年ぶりの回顧展が横浜美術館で開催されています。

2007年に、新宿の損保美術館で拝見した、ベルト・モリゾの回顧展とは、同時代の“印象派の女性画家”というくくりで観るとちょっと印象が異なるかもしません。

“印象派の女性画家”以外の側面が、今回の「メアリー・カサット展」で多く知ることが出来たのが一番の収穫でした。たとえばこの作品。


メアリー・カサット《母の愛撫》 1896年頃 油

公式サイトで、事前に目にした際に、印象派らしくないと感じました。カッチリと描かれた母子、そして独特の背景表現などなど。

展覧会に行くとその謎も解けます。印象派の画家という狭い枠組みには収まらない、彼女の幅広い才能が随所に見てとれるのです。


メアリー・カサット「刺繍するメアリ・エリソン」1977年
フィラデルフィア美術館蔵
メアリー・カサット「赤い帽子の女性」1974/75年
ジェラルド&キャサリン・ピーターズ夫妻協力

子供のころ6年間フランスとドイツに滞在したことが絵に触れるきっかけとなったカサット。「娘が画家になるなら、死んだ姿を見る方がましだ。」と実業家の父親の反対も聞かず、ヨーロッパへ。

パリで印象派の画家たちと出会う前に、スペイン、プラド美術館で模写をしたりと、古典絵画のイロハをしっかりと自分で身に付けた実にバイタリティー溢れる女性なのです。

カサットが描く子どもたちの姿が、ムリーリョのそれと通底する要素が散見できることも、プラドでの経験が物語っているように思えます。

刺繍するメアリ・エリソン」でも、単なる肖像画に終わらせずに、風俗画の要素(縫物をしている)を取り入れるなど、独自性を発揮しています。


《沐浴する女》1890-91年、 ドライポイント、アクアチント
ブリンマー・カレッジ蔵

また、印象派に参加したのちも、ドガやピサロらとともに銅版画の技法を研究し、新しい表現に取り組みました。(腐蝕銅版画の一種であるアクアチントによる光の表現や、ドライポイントの素早い線で捉えた人物の一瞬の表情が見どころだそうです。)

カサットが優れた版画家だったことは、ほとんど知られていませんが、今回の展覧会では版画も紹介されています。中でも近代版画の傑作と言われる10点組の多色刷り銅版画のシリーズ(通称「The Ten」)が全点揃っての公開は、非常に貴重な機会です。


「The Ten」展示風景。

描かれているモチーフに注目です。そしてドガも嫉妬した素描の巧さにも!

ここまでの紹介でも随分とカサットに対するイメージに広がりが出来たのではないでしょうか。印象派の絵はもういいや…と思っていた方も、これは観に行かねばなりません。かく言う自分自身がそうでしたので。

メアリー・カサット展の構成は以下の通りです。

1:画家としての出発
2:印象派との出会い
・風景の中の人物
・近代都市の女性たち
・身づくろいする女性たち
・家族と親しい人々
3:新しい表現、新しい女性
・ジャポニズム
・カサットが影響を受けた日本の美術品
・シカゴ万国博覧会と新しい女性像
4:母と子、身近な人々



メアリー・カサット《桟敷席にて》1878年、油彩・カンヴァス
ボストン美術館蔵

ボストン美術館から初来日を果たした、名作「桟敷席にて」。桟敷席奥からひとりの男性が、この女性のことを見ています。女性はその視線に気づいているのでしょうが、気にも留めず一心不乱に今自分が観たい舞台に目をやっています。

男性に振り回されるのではなく、主体的に自ら行動する女性を見事に表現したチャレンジングな一枚であり、ポスターを飾るに相応しい作品です。


メアリー・カサット「果実の収穫」1893年頃
アメリカ議会図書館
メアリー・カサット「果実をとろうとする子ども」1893年
ヴァージニア美術館

「『果実』をもぎとる」この場面を多く描いたカサット。キリスト教で果実ほど特別の意味を持っているものもありません。

カサットは、「アダムとエバの頃とは違うのよ、今は。」と強いメッセージ性を込め描いたのでしょう。実際に白内障を患った晩年は社会運動にも熱心だったそうです。

近代的女性の象徴としての「果実」


「メアリー・カサット展」展示風景

自ら作品を描くだけでなく、メトロポリタン美術館の印象派コレクションの橋渡し役をするなど、積極的な活動を行ったカサット。生涯独身で子供もいませんでしたが、母子像を繰り返し描いたのは、女性たちの支援をする思いがあったのではないでしょうか。

「画家になりたいなら、自立してやりなさい!」と若い頃父親から叱責されたことをバネとし、女性画家としての地位を見事に築き上げたカサット。観ていて清々し気持ちになれる夏向きの展覧会です。

「私は過去の巨匠より、もっともっと上手く描きたくなりたいの。」

「メアリー・カサット展」は9月11日までです。是非!


メアリー・カサット展

会期:2016年6月25日(土)〜9月11日(日)
開館時間:10:00〜18:00(入館は17:30まで)
※2016年9月2日(金)は20:30まで(入館は20:00まで)
休館日:木曜日 ※ただし2016年8月11日(木・祝)は開館
会場:横浜美術館
http://yokohama.art.museum/
主催:横浜美術館、NHK、NHKプロモーション、読売新聞社
後援:横浜市
助成:駐日アメリカ合衆国大使館、テラ・アメリカ美術基金
協賛:大日本印刷
協力:全日本空輸、日本貨物航空、横浜高速鉄道株式会社、横浜ケーブルビジョン、FMヨコハマ、首都高速道路株式会社

「メアリー・カサット展」公式サイト 
http://cassatt2016.jp/

カサット展に合わせ、横浜美術館常設展示室では女性画家に焦点をあてたコレクション展が開催されています。こちらも是非!


しなやかさとたくましさ―横浜美術館コレクションに見る女性の眼差し

会期:2016年4月23日(土)〜9月11日(日)
出品作家:渡辺幽香、ガブリエーレ・ミュンター、ヘレン・ハイド、バーサ・ラム、遠藤彰子、福田美蘭、江見絹子、田中敦子、桂ゆき、篠田桃紅、吉田千鶴子、川麻児、常盤とよ子、辰野登恵子、内田あぐり、松井冬子、小西真奈、熊井恭子、石内都、上村松園、荘司福、片岡球子、小倉遊亀、水谷愛子、など

詳しくはこちらから

女性の活躍が話題となっている昨今ですが、男性中心の画壇で勇敢に道を切り拓いてきた女性作家たち、またカサットのように故郷をはなれ、外国で画家として活躍した女性が存在しました。彼女たちの姿は、現代の私たちにも勇気を与えてくれます。女性作家たちが残した素晴らしい軌跡を、ぜひ横浜美術館でご覧ください。

《横浜美術館次回展》

BODY/PLAY/POLITICS

会期:2016年10月1日(土)〜12月14日(水)
主な出品作家:インカ・ショニバレ MBE、イー・イラン、アピチャッポン・ウィーラセタクン、
ウダム・チャン・グエン、石川竜一(いしかわ・りゅういち)、田村友一郎(たむら・ゆういちろう)

Twitterやってます。
@taktwi

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http://bluediary2.jugem.jp/?eid=4401

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注:展示室の画像は主催者の許可を得て撮影したものです。
印象派を代表する米国人女性画家、メアリー・カサット(1844-1926)の回顧展を35年ぶりに日本で開催いたします。米国ペンシルヴェニア州ピッツバーグ郊外に生まれたカサットは、画家を志して21歳のときにパリに渡りました。古典絵画の研究から出発し、新しい絵画表現を模索するなかでエドガー・ドガと出会い、印象派展に参加するようになります。そして、軽やかな筆づかいと明るい色彩で身近な女性たちの日常を描き、独自の画風を確立しました。特に温かい眼差しで捉えた母子の姿は多くの共感を呼び、「母子像の画家」と呼ばれるようになりました。女性の職業画家がまだ少なかった時代に、さまざまな困難を乗り越えて画家となる意志を貫いたカサットの生き方は、現代の我々にも勇気を与えてくれます。
本展では、カサットの油彩画やパステル画、版画の代表作に加え、エドガー・ドガ、ベルト・モリゾなど交流のあった画家たちの作品、画家が愛した日本の浮世絵版画や屏風絵なども併せて合計約100点を展観し、初期から晩年にいたる画業の全貌を紹介します。愛にあふれるカサット芸術の真髄をどうぞお楽しみください。

| 展覧会 | 23:35 | comments(1) | trackbacks(1) |
Takさん、お久し振りです。私もメアリー・カサット展行ってきました。今回の展覧会では「印象派の女性画家」にとどまらない幅広い活動をした画家というのをあらためて感じました。私も応援してます。
| ostundwest | 2016/07/09 9:19 AM |










http://bluediary2.jugem.jp/trackback/4401
「メアリー・カサット展」夜間特別鑑賞会@横浜美術館
 横浜美術館で開催中の「メアリー・カサット展」。その夜間特別鑑賞会に参加しました...
| Life with Art | 2016/07/11 12:31 AM |
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