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「岩佐又兵衛展」

福井県立美術館で開催中の
福井移住400年記念「岩佐又兵衛展―この夏、謎の天才絵師、福井に帰る―」に行って来ました。


岩佐又兵衛展特設サイト

岩佐又兵衛(1578〜1650)は本阿弥光悦(1558〜1637)や俵屋宗達とほぼ同時代に活躍した絵師で、あの伊藤若冲(1716〜1800)よりもだいぶ先輩にあたります。

又兵衛が日本美術史に遺した功績は数値化こそ出来ないものの、計り知れないものがあると言えます。又兵衛なくして宗達や若冲、光琳らの作品は生まれなかったかもしれません。

そんな巨星である岩佐又兵衛を紹介する展覧会はこれまでごく僅かしか開催されていません。美術史上での知名度と世間一般のそれがはなはだ乖離しているのも要因のひとつでしょうが、やはり作品を一度にまとめて見せるのが非常に難しいという点が最大の理由と言えましょう。

これまで開催された又兵衛を中心とする展覧会は以下の3展だけです。

1984年「岩佐又兵衛展」福井県立美術館
1998年「岩佐派のゆくえ展」福井県立美術館
2004年「伝説の浮世絵開祖 岩佐又兵衛展」千葉市美術館

そして今回の「岩佐又兵衛展」は、京都・福井・江戸と活躍した又兵衛が円熟期を過ごし多くの名品を遺した福井の地で開催される三度目の展覧会となります。

千葉市美術館は当時館長であり、『奇想の系譜』で又兵衛に再び光をあてた辻惟雄先生が尽力し開催に漕ぎつけた展覧会でした。


因みに「伝説の浮世絵開祖 岩佐又兵衛展」の図録は現在1万円以上の値が付けられているプレミア本となっています。

日本美術の人気が高まってきている昨今ですが、又兵衛の魅力までは中々まだ目が向いていないようです。きっとあと10年、20年後に「又兵衛っていう凄い絵師がいるらしいよ」と人口に膾炙することでしょう。

展覧会の構成は以下の通りです。

序章:岩佐又兵衛現る
第1章:金谷屏風 流転の名画
第2章:絵巻 華麗なる色彩と造形
第3章:物語・歌仙図 伝統と創造
第4章:風俗画 前人、未だ図せざる所を描く


又兵衛の画業を紹介するためには、できるだけ構成はシンプルにした方がよいと常々思っていました。理由は簡単で、作品一点一点が「濃い」からです。

「濃い」を「くどい」と言い換えても良いかもしれません。ネチネチと繰り返し繰り返し同じような場面をしかも高濃度で描き上げているのが又兵衛作品(特に絵巻)の特徴です。

第2章の絵巻は、いずれもその要素を満たして余りある内容。一点だけでも十分お腹いっぱいになるのですが、今回はそれらを比較対象することが出来るのが贅沢なとこです。

「堀江物語絵巻」「山中常盤物語絵巻」などの残虐な殺戮場面と、豪華絢爛過ぎて目がチカチカする「浄瑠璃物語絵巻」が混在する展示室。想像しただけでも凄いことになっているのがお分かりになるかと。



又兵衛の描く独特の顔の人物表現を豊頬長頤(ほうきょうちょうい)と呼ぶそうです。顔だけ観ればその絵師が誰なのかが分かるというのもユニークです。

「美人は三日で飽きる」と言いいますが、又兵衛の豊頬長頤も2,3点観れば十分なのです。それにも関わらず会場内にこの特徴ある顔があふれかえっています。何度何度も何度でも繰り返して描いているのです。あきれ返るほどに…

しかし顔こそ同じようでありながら、みな個性豊かに描かれ源氏物語や伊勢物語の主人公たちも又兵衛風にアレンジされているのは、非常に面白い点です。

こういう描き方が出来るのは、又兵衛自身が相当古典に精通していた証でもあります。「血みどろ又兵衛」のイメージとはまた別の側面、深い教養を携えた又兵衛に出会える展覧会でもあります。

今回福井まで足を運んだ甲斐が一番あったと感じたのが「第3章:物語・歌仙図」でした。「旧樽屋屏風」に「和漢故事説話図」を存分に時間をかけて観られたこと。これは本当に幸せなことでした。

一番良かった作品は?と聞かれたら第4章風俗画のセクションに出ていた「花見遊楽図屏風」と即答します。小さな屏風絵ですが、又兵衛の全てが詰まっているそれこそ濃密な一枚です。


「花見遊楽図屏風」は今回の図録の表紙を飾っています。

同時開催の『へうげもの』生原画展(協力:山田芳裕、講談社モーニング編集部)


会場内に『へうげもの』生原画展が同時開催で展開されていたのには驚きましたが、図録を読んでみるとなるほど納得。今回の担当学芸員さんの岩佐又兵衛に対する想いと、新たな展開を期待させるものが内包されています。

「岩佐又兵衛展」は8月28日までです。
次に開催されるのは10年後、はたまた20年後…


福井移住400年記念
「岩佐又兵衛展―この夏、謎の天才絵師、福井に帰る―」


会期:2016年7月22日(金)〜8月28日(日)
休館日:8月1日(月)、8日(月)、17日(水)、22日(月)
開館時間:午前9時〜午後5時(入場は午後4時30分まで)
※7月22日(金)のみ、午前11時開館
会場:福井県立美術館
http://info.pref.fukui.jp/bunka/bijutukan/bunka1.html
主催:福井県立美術館


福井県立美術館


岩佐又兵衛―浮世絵をつくった男の謎
辻惟雄(著)

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 戦国武将荒木村重の子でありながら絵師として生き、桃山末から江戸時代の初めに活躍した一人の人物がいました。その名は岩佐又兵衛(1578〜1650)。「浮世又兵衛」の異名を持ち、鋭い観察眼と超絶テクニックで人物画にすぐれた作品を残しました。
 又兵衛は京都・福井・江戸で活躍しましたが、そのうち39歳から60歳までの福井時代は、多くの傑作が描かれた極めて重要な時代です。しかしなぜ福井に?どのような日々を送ったのか?作品の素晴らしさとは裏腹に、その活動は謎に満ちています。
 今年は又兵衛が京都から福井に移住して400年になります。これを記念して開催する本展では、福井時代の代表作を中心とする全40件(うち国宝1件・重要文化財9件)を展示します。近世絵画に大きな足跡を残し、「奇想の絵師」としても知られる、又兵衛の魅力あふれる世界をお楽しみください。
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