青い日記帳 

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「三井家伝世の名宝展」

三井記念美術館で開催中の
開館記念特別展機嵌の伝統 三井家伝世の名宝」展に行ってきました。



初めて伺うお宅に行く心境で出向いて来ました。
一度時間を勘違いして閉館してから行ってしまったことがあったので
今回が出向くのは2度目。そんなヘマはしないよう早起きしました。

真新しいビルの日本橋三井タワー1階アトリウムが美術館の入口です。
ところが、この美術館このビルの中には存在しません。
では、何処にあるかというと・・・隣の三井本館ビルの7階にあります。

ややこしいですね。
入口だけが千疋屋やマンダリンオリエンタル東京が入っているビルにあり、
美術館自体は隣の中央三井信託銀行の上に存在しているわけです。

 
 左側が美術館自体がある「三井本館」(重要文化財)
 左側が美術館入口がある「日本橋三井タワー」

入口から少しエレベーターホールまで歩くのですが
知らぬ間に隣のビルに移動していることになります。
美術館を出た後、この仕組みに気がついたのですが
瞬間移動マジックにかけられているような気分です。

真新しい「日本橋三井タワー」の中にある美術館にしては
内装や所々にある歴史ある建造物の名残があったこともこれで納得。

庶民には一筋縄では理解できないのが三井たる所以でしょうか。

さて、さて展覧会。
良かったですよ。今まで観たくても中々チャンスが無くて観られないものが
沢山、しかも一気に観られましたので。

最初の展示室の陶磁器・茶碗から結構時間かけてしまいました。
国宝曜変天目茶碗は中国で作られたものですが、
国内で作られた茶碗で国宝指定されているただ二つの茶碗のうちの
一つが展示してありました。その名は「志野茶碗 銘卯花墻
(もう一つは「サンリツ服部美術館」所蔵の本阿弥光悦作 白楽茶碗 銘不二山)

志野茶碗」は桃山時代に作られた茶碗だそうですが
そのいびつなデザイン性がひときわ目を惹きます。
黒楽の茶碗を観るとお茶もいいけど、白米もこれでいただいてみたいな〜
なんてとんでもないこと思うのですが、この志野茶碗の前ではそれはなし。
背伸びしながら上から覗きこむように観てきました。
それにしても歪んでいるな〜

黒楽茶碗は二つ。どちらも重要文化財。
銘俊寛」と「銘雨雲
「開館記念に一個好きな方持って行っていいよ!」と幻聴が聞こえたので
必死で?どちらがいいか選んで、結果、楽長次郎作の「俊寛」に決めました。

すっきりした形の天目茶碗もありました。
玳玻盞 鸞天目

これ、拙サイト内に解説あるので載せておきますね。
 天目の中で建盞と並んで室町時代から賞美されているものに玳玻盞があります。この名は釉調が鼈甲に似ているので付いたものです。一名鼈盞(べっさん)とも言われています。中国江西省吉安県の永和鎮の吉州窯で南宋から元の時代にかけて盛んに量産されたもので、吉安天目または吉州天目ともいわれています。
 玳玻盞の特色であります鼈甲釉は、黒飴釉をかけた上に、ワラ白釉(失透性のワラ灰釉)を斑にふりかけたもので、さながら鼈甲のような釉調をして大変美しいものです。また両釉の二重がけで種々の文様をこの地方で行われた剪紙細工(きりがみざいく)−紙を種々の 文様の型に切り抜いた切り紙−を 陶器の文様装飾に応用したものです。この切り紙には、梅花・唐 花・鸞(らん・尾長鳥)・竜・吉 祥文字(富貴長命・金玉満堂・福寿康寧等)などがあります。「木の葉天目」もこれの一種です。


思いがけず初めの展示室から時間をかけてしまいましたが
それだけ、それぞれ見応えのある作品だという証です。

お茶を嗜まれている方がいらしたらもっともっと楽しめる展覧会かもしれません。
お茶室の一部も再現してあり「利休竹茶杓」なんかも展示してありました。

さて、お目当だった円山応挙の作品は展示室4にありました。

国宝「雪松図屏風」です。

解説文を読むと没骨技法(没骨法)を使って描かれたとあります。
確かに輪郭線がありません。頭の中で構図を練りに練って一気に
松の木の形を描き込んでいったのでしょうね。
(応挙がはじめたこの技法を「立て付け」とも呼ぶそうです)

雪の部分は色が塗られていません。地の色のままです。
雪の色=屏風の地の色です。
そこだけ塗り残して描いたのがこの作品だそうです。
近くに行って観て初めてそれが分かりました。

描いている過程を是非観察してみたいです。

根津美術館の「燕子花図」もそうでしたが
(まだ感想をupしていません汗汗
左隻と右隻では異なるラインで描いているのが特徴的です。

左隻は斜め上に伸るライン。
右隻は横一列に並ぶライン。

左隻は年老いた松。
右隻は若々しい松。

甲乙つけがたくどちらだけ一隻だけあっても駄目なのでしょうね。
二隻揃ってはじめて「雪松図屏風
だからこのメトロカードが何処と無く寂しく見えたのはその所為かもしれません。
メトロミュージアム
金雲からにょきっと松が生えているようにこれ一枚だと見えてしまいますね。

応挙の作品は他にも2点ありました。「水仙図」が良かったです。

これで、満足したと思っていたら、、、「雪松図屏風」の先にとんでもない
お宝が展示してありました。国宝「熊野御幸記
藤原定家の日記です。『建仁元年(1201)10月、後鳥羽上皇(1180〜1239)の熊野への御幸に随行した藤原定家が記した23日間の記録』です。

定家の日記=明月記です。以前五島美術館で開催された京都冷泉家「国宝 明月記」展に行ってじっくり定家の文字を見、読んできたので見慣れた筆跡に日本橋の地で出会え感激。
定家40歳の時の日記だそうですが、相変わらずのなぐり書きのような文字と
箇条書き、覚書のような日記のスタイルにはある種懐かしささえ感じます。
10代の頃から亡くなる80歳までほぼ毎日鎌倉時代にあって日記を書いていたなんて驚き以外の何ものでもありません。

折りしも、昨日ダ・ヴィンチのレスター手稿を見てきました。
連日のように東西の「文字」に感動している自分がいます。

しかも今回「熊野御幸記」巻物状になっている全てが展示してあったのも涙涙涙。
「新古今和歌集」成立800年の今年、
定家の直筆に今日また逢えるなんて思いもよりませんでした。

ゆきかへるはてはわが身のとし月を涙も秋もけふはとまらず

  

完全に満足のいく展覧会でした。

後期:11月17日〜12月25日
三井記念美術館の開館を記念して、館蔵品約3,700点の中から、国宝、重要文化財を中心とする名宝の名にふさわしい美術工芸品約120点を厳選して、紹介します。江戸時代以来300年余りにわたる三井家の歴史の中で収集され、大切に伝えられてきた文化財−茶道具、絵画、書跡、能面、蒔絵、刀剣、切手など−を通じて、豪商から財閥へと発展した三井家の文化の伝統、さらに日本、東洋の美の伝統をご鑑賞いただきます。
展覧会 | permalink | comments(15) | trackbacks(8)

この記事に対するコメント

Takさま
こんばんは。
拙ブログへのコメント&TBありがとうございます。
前期最終日の鑑賞、お疲れ様です。
いきなり最初の展示室から茶碗・茶器の名品揃いで時間を忘れて鑑賞してしまいますよね。
また、熊野御幸記は間違った部分を墨で消したり、天候を記したりと定家を身近に感じる事ができました。
三井、恐るべしです。
アイレ | 2005/11/13 11:48 PM
@アレイさん
こんばんは。

最初の展示室にはやられました。
正直、応挙だけ観ればいいと思っていたので余計です。
でもこうしたいい意味でのハプニングは大歓迎です。
定家さんは、まめですよね〜○○日 天晴・・・なんて
毎日書いているのですから。
しかし字は雑。それが日記らしくてとても魅力的でした。
Tak管理人 | 2005/11/14 12:19 AM
こんばんは
TBありがとうございます。

応挙はよかったですよね。私は特に『水仙図』が気に
いりました。書の方はスルーしてしまったのですが、
Takさんの感想を読んで、もう少しよく観てくればよ
かったと思いました。後期の展示では真面目に観賞し
てこようと思います。
lysander | 2005/11/14 12:52 AM
こんにちは!TB&コメントありがとうございます。
この秋は素晴らしい展覧会がひしめいて
うれしいことです。時間を作って余すことなく
見たい!と思いますが、でも全部見るのは大変…
それも嬉しいひめいというものですが(^^ゞ
tenana | 2005/11/14 6:11 PM
@lysanderさん
こんばんは。

さすが!lysanderさん!!
やっぱり水仙良かったですよねーー
あれで一気にテンション高まりました
それまでは美術館の構造ばかり気にして
作品にあまり集中していませんでした
(^_^;)

@tenanaさん
こんばんは。

秋は本当に忙しいですよね〜
嬉いことですが結構しんどいです。
休めば?と言われますが
休んだらそのまま休み続けてしまいそうで
恐くてとてもそんなことできません!
Tak管理人 | 2005/11/14 10:39 PM
Takさん

三井記念美術館に行ってきた家内が、Takさんの説明ではじめて新しいビルにレトロな空間というトリックが分かったといっています。
とら | 2005/11/14 10:49 PM
@とらさん
こんばんは。

あれは見事なトリックです。
越後屋マジックです。
気がつかれない方たくさんいらっしゃるはずです。
Tak管理人 | 2005/11/14 10:59 PM
Tak様
先日は別の記事にTBありがとうございました。
建物の構造説明、とてもわかりやすいです。
私もどうなってるんだろか??と思いながら見物していました。
美術館内の雰囲気が、外の近代さとは別世界で逆に良かったです。
kumakuma | 2005/11/17 2:12 PM
@kumakumaさん
こんばんは。

コメントありがとうございます。
建物キツネに化かされているのかと思いました。
あれはないです。。。
ほとんどの方あのビルだと思っていらっしゃるはずです。
お宝は実は隣にあるなんて・・・
美術館は。。。混雑していました。
次回はあまり混んでいない時間狙っていきます。
Tak管理人 | 2005/11/17 10:31 PM
コメントしようとして、おそくなりました。
本阿弥光悦作 白楽茶碗 銘不二山は、現在は、所有者が移ったのですね。
ak96 | 2005/11/20 10:33 PM
@ak96さん
こんばんは。

コメントありがとうございます。
所有者が移るってどういう理由からなのでしょうね。
私たちが知らない世界の出来事なのでしょうが。。。
Tak管理人 | 2005/11/21 12:26 AM
こんばんは。

>「銘俊寛」と「銘雨雲」
「開館記念に一個好きな方持って行っていいよ!」と幻聴が聞こえたので
必死で?どちらがいいか選んで、結果、楽長次郎作の「俊寛」

良い幻聴です!私も聞きたかったです。
「でも一個だけなんて…。」と思うのは欲張り過ぎですよね。

それにしても三井は、
本館の重々しいビルの中に良い空間を作りました。
昔のビルの中にあのような場を作ることは素晴らしいです。
日本にもそうして残して欲しい遺産的な建物、まだたくさんありますよね。
三井は日本橋界隈の再開発をこれで終らせないそうです。
まだまだ化けそうですね。楽しみです。
はろるど | 2005/12/07 1:18 AM
@はろるどさん
こんばんは。

最近とみに「幻聴」を聴きます。
年のせいでしょうか。
煩悩断ち切れないでいます。
無理ですけどね。

三井のビルには騙されそうになりました。
窓の外から景色見れば
すぐにわかりそうなものですが
あの空間は「異次元」のようです。
日本橋の復活もない話ではないそうです。
Tak管理人 | 2005/12/07 10:01 PM
こんばんは。
後期の終わりになってもう一度行ってまいりました。

〉「開館記念に一個好きな方持って行っていいよ!」と幻聴が聞こえたので
必死で?どちらがいいか選んで、結果、楽長次郎作の「俊寛」に決めました。

以前、同じようなことを年配の教授(大御所)がおっしゃっておられたのを思い出しました。
鑑定をする際には、自分が購入するつもりで見なければいけない。展覧会ならどれを持ち帰るか考えなさい。とのこと。

お茶碗ならやはり持ってみたいですね。屏風は…持ち帰るのは難しそうです。これがつらいです。
TBお許しくださいませ。
Ruihui | 2005/12/21 10:08 PM
@Ruihuiさん
こんばんは。
TBありがとうございます。

「一枚くれるとしたら」
「一枚偽物があるとしたら」
なんてつまらないこと考えながら
いつも展覧会観ています。

偽物探しは結構面白いですよ。
次回やってみて下さい。(^.^)

この展覧会の二つの茶碗。
観てこられた方に伺うと
意見が二つに分かれます。
それぞれ甲乙付けがたい名作ですね。

自分も次にまた見たら
どちらがいいか迷うかもしれません。
Tak管理人 | 2005/12/27 1:03 AM
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