弐代目・青い日記帳 

  
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「拝啓 ルノワール先生」
三菱一号館美術館で開催中の
「拝啓 ルノワール先生 ― 梅原龍三郎に息づく師の教え」展に行って来ました。


公式サイト:http://mimt.jp/renoirumehara/

梅原龍三郎がルノワールの影響を大きく受けたことは何度か美術館に足を運べばすぐに覚える基礎中の基礎的知識ですが、それより深く調べたり探ったりしないパターンがほとんどかと。

かく言う自分もそのひとり。梅原龍三郎やルノワールの作品に魅力をさほど感じないせいか、これまで「師弟関係があったのね〜」「パリへ出むきルノワールの影響受けたんだ〜」程度のことしか知ろうとしませんでした。

ごめんね、二人とも。


二人が初めて出会った頃のルノワールと梅原龍三郎の写真

そもそも、40歳以上の開きがあるルノワールと梅原。梅原がルノワールの自宅を初めて訪れたのが1909年のこと。このころルノワールは病を患い杖なくしては歩行も困難な状態だったそうです。

ルノワール:1841年〜1919年
梅原龍三郎:1888年〜1986年


ルノワールが亡くなる10年前に初めて出会った梅原は当時まだ20歳そこそこ。ルノワールから直接絵画の手ほどきを受けたわけではないそうです。これにはかなり驚きました。

ただ会っただけだなんて…

でも、それが分かるとこの2点の「パリスの審判」も呑み込めます。作風が似ていなくて当然なのです。


ピエール=オーギュスト・ルノワール《パリスの審判》1913-14年
油彩/カンヴァス
公益財団法人ひろしま美術館蔵


梅原龍三郎《パリスの審判》1978年
油彩/カンヴァス
個人蔵

お互い切磋琢磨しイーゼルを並べ同じ対象を描いたルノワールとモネまたはセザンヌらとの関係性とは違うわけです。制作年代からして明らかです。

どうもその辺を勘違いというか勝手に思い込んでしまっている節があり、ルノワールと梅原の関係性をこれまできちんと見て来ませんでした。多いに反省してます。

観に行くまでは全然魅力を感じなかった展覧会でしたが、観に行けばあらビックリ!面白いではありませんか。このおかしな師弟関係から始まり、思いもかけない作品が出ていたりと満足度と質の高い内容となっていました。先日伺った川村記念美術館の「藤田嗣治展」同様に。

やっぱり、展覧会って観に行かないといけませんね。いくら仕事が忙しくても。時間はいくらでも作ればとれるものです。


梅原が所蔵していたルノワール作品(会場では梅の花のマークがキャプションに付いています)

展覧会の構成は以下の通りです。

1章:ルノワールとの出会い
2章:梅原龍三郎 掌の小品
3章:私蔵品から公的コレクションへ
4章:交友と共鳴 梅原と時代、梅原の時代
5章:ルノワールの死
6章:ルノワールの遺産


若干20歳にしてヨーロッパへ絵画を学びに行ける環境にあった梅原とはそもそもどんな人物だったのか。まず真っ先にそれが気になります。

簡単に言ってしまえば、京都のお金持ちのボンボン。そうでなければ船で何か月もかかる旅費工面できません。そして改めて梅原の生没年を見てみると…

梅原龍三郎:1888年〜1986年

つまり、ルノワールやモネ、セザンヌ、ドガといった印象派の画家たちよりもひと世代後の存在と言えます。実際にルノワールの息子であるジャン・ルノワール(1894年〜1979年)や、印象派以降に活躍した画家たちと同じ時代に生きたことになります。

ピカソ:1881年〜1973年
マティス:1869年〜1954年
ヴォラール:1866年〜1939年
ルオー:1871年〜1958年



梅原龍三郎《パリスの審判》1978年
油彩/カンヴァス 個人蔵

あらためて、先ほどの梅原作品を観てみると、ルノワールの作品をベースにはしていますが、作風はピカソ、マティスらに近いものがあります。

梅原にとってルノワールはまさに「先生」であり、ある意味で聖域だったのではないでしょうか。

もしくは、常に心の支えとなる活力源のような存在であったのかと。

だからこそ、1919年にルノワールがこの世を去ったことを知るや否や、渡航費用に充てるべく絵画その他を売り払い再びパリを目指したのでしょう。



梅原がかつて所蔵していたルノワール「勝利のヴィーナス」(現在は国立西洋美術館へ寄贈されています)とそれを元にして描かれた梅原作品が邂逅を果たしている部屋はちょっと胸熱になります。

こちらのルノワール作品と梅原とのちょっとユニークな逸話もこの展覧会で初めて知りました。


ピエール=オーギュスト・ルノワール「ピクニック」1912年頃
三菱一号館美術館寄託

画題が不明確なこともあり、作品名を「洗濯女たち」または「風景の中の7人の人物によるコンポジション」とされていたそうですが、この作品が購入され日本に持ち込まれた際に、画商が梅原に見せたところ「ピクニック」と命名し箱書きまでしたそうです。

でも、どう見てもピクニックではないですよね…年老いた梅原が心の師であるルノワールとの愉しい思い出を夢想してそう名付けたのかもしれません。「先生とピクニック行きたかったです」


ポール・セザンヌ「リンゴとテーブルクロス」1879-80年
三菱一号館美術館寄託

梅原が影響を受けた作品や梅原の言葉なども会場に数多く紹介されています。中でも大津絵に強い関心を示していたことは梅原作品の理解を深める上でとても重要なことではないでしょうか。

梅原作品のあの独特のデフォルメは、ピカソと大津絵を足して2で割ったように見えます。

などなど、良い意味で期待を裏切る内容の展覧会でした。これは観に行って損ないどころか、この秋行かねばならぬ展覧会のひとつです。

来年の1月9日まで開催していますが、なるべくお早めにどうぞ!


拝啓 ルノワール先生 ― 梅原龍三郎に息づく師の教え

会期:2016年10月19日(水)〜2017年1月9日(月・祝)
休館日:月曜日(但し、祝日の場合は開館)、年末年始休館 12月29日(木)〜2017年1月1日(日)
開館時間:10:00〜18:00(祝日を除く金曜、第2水曜、 10月27日(木)、1月4日(水)〜6日(金)は20:00まで)
会場:三菱一号館美術館(東京都千代田区丸の内2-6-2) h
ttp://mimt.jp/
主催:三菱一号館美術館、朝日新聞社
協賛:大日本印刷
企画協力:キュレーターズ

公式サイト:http://mimt.jp/renoirumehara/



《三菱一号館美術館次回展》

オルセーのナビ派展

2017年2月4日(土)〜 5月21日(日)
公式サイト:http://mimt.jp/nabis/


ARTBOX ルノワールの犬と猫 印象派の動物たち

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注:会場内の画像は主催者の許可を得て撮影したものです。
日本の洋画界を牽引し、その豪快な性格から『画壇のライオン』と呼ばれた梅原龍三郎 (1888-1986年)。近代化が進み、油彩画が日本に定着した頃の1908(明治41)年、20歳の梅原は渡仏し、翌年ルノワール(1841-1919年)に会いました。梅原はルノワールを師と仰ぎ、その制作現場を見、師との対話から多くを学び、親密な関係を築きました。
梅原は後に、ヨーロッパで学んだ油彩画に、桃山美術・琳派・南画といった日本の伝統的な美術を取り入れ、個性あふれる豪華絢爛な画風を展開し、日本の洋画を確立した巨匠として高く評価されます。本展はルノワールと梅原の作品だけでなく、梅原が蒐集した作品、梅原と親交のあったピカソやルオーらの作品約80点により、近代絵画における東西の交流をご紹介します。
| 展覧会 | 23:13 | comments(1) | trackbacks(0) |
交流と師弟愛とその影響力が伺えるいい展示でしたね。息子のジャン・ルノワール監督の幻の名作にピクニックという中篇劇映画が有りますが、梅原の命名にもそんな想いも込められていたのかも知れないですね…。大津絵とアンリ・マチスの絵画を比べて見たりと梅原の視座の広さも感じられます。演劇に通じていて画家よりも演劇人志望だったという…。今で言うマルチアーチストだったのでしょうかー。
| PineWood | 2016/12/30 4:21 PM |










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