青い日記帳 

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『写真をアートにした男』

小学館より刊行された『写真をアートにした男』を読んでみました。


写真をアートにした男: 石原悦郎とツァイト・フォト・サロン
粟生田 弓 (著)
小学館

植田正治、荒木経惟、森山大道といった世界的な写真家が今あるのは、1978年に日本で最初に誕生した写真のコマーシャル・ギャラリーであるツァイト・フォトの創始者、石原悦郎の存在があってこそ。

芸術的に認められなかった写真を今ある姿にするまでにどのような格闘があったのか。壮絶な戦いが描かれた読み応え満点です。

【目次】
第1章:日本で最初の写真画廊
第2章:パリで出会った巨匠たち
第3章:オリジナル・プリントの夜明け
第4章:荒木・森山の時代
第5章:つくば写真美術館の夢と現実
第6章:写真家とつくる新しい写真
第7章:コレクションに託された未来

追悼・石原悦郎さんーあとがきにかえて
巻末資料


目次を見てお分かりのように、この本は「写真をアートにした男」石原悦郎氏の半生を綴ったドキュメンタリー映画のような仕立てとなっています。

第1章は、1978年4月22日に日本橋室町に日本で初めてオープンした写真ギャラリー「ツァイト・フォト・サロン」と創始者である石原悦郎氏が36歳で写真画廊開設に至るまでに道程を描いています。

銀座の画廊事情や画商としての立ち振る舞いなど、普段知ることのできない要素も書かれています。

第2章では、パリへ渡りアンリ・カルティエ=ブレッソンやロベルト・ドアノーといった今では伝説化している写真界の世界的巨匠たちと直に合い、交流を重ねていく姿を紹介。

何と、驚くことにフランスでも70年代半ばまで写真専門のギャラリーはなかったそうです。


写真をアートにした男

第3章に入ると画商としての石原悦郎の手腕が光り出します。最初の展示からしばらく写真が売れず、自己資金を切り崩しながら展覧会を続けていた石原。

苦しい中転機が訪れたのは「モホリ=ナギ」展に展示した作品が、福岡市美術館に売れたことでした。この後の快進撃は読んでいてスカッとするものがあります。

第4章はタイトルが示す通り、今では世界的な写真家である森山大道と荒木経惟について語られています。今でこそ名前を知らぬものはいない二人ですが、当時は…

何ゆえ、石原は彼ら二人に目を付けたのでしょうか。そしてどのようにして世界的写真家に伸し上げて行ったのでしょうか。

第5章では「つくば写真美術館」の失敗とその後についてが綴られていますが、石原という男はなんと運が強いのかと感心せざる得ない、どんでん返しの展開が繰り広げられます。

時代のパイオニアを神様は決して見捨てないのです。

第6章・第7章ではバブル崩壊後の石原の活躍が紹介されています。いち早く中国市場へ目を向けるなど最期の最後まで時代の流れを肌で感じ取り、実行していく姿は実に爽快です。

写真ファン、アートファン以外にも強くお勧めできる一冊です!


写真をアートにした男: 石原悦郎とツァイト・フォト・サロン
粟生田 弓 (著)
小学館

『写真をアートにした男:石原悦郎とツァイト・フォト・サロン』(小学館) 刊行記念トークイベント

印刷原稿からオリジナル・プリントの時代へ
森山大道×粟生田弓
〜森山大道の作品はどうやってツァイト・フォト・サロンへとやってきて、どこへ行ったのか〜


日程:2016年12月20日 (火)
時間:19:00〜20:30(開場 18:30〜)
会場:青山ブックセンター
http://www.aoyamabc.jp/event/zeit-foto/

森山大道さんのお話しが直接聴ける大チャンスです。お時間ある方是非!

Twitterやってます。
@taktwi

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JUGEMテーマ:アート・デザイン



本書は、1978年に日本で最初に誕生した写真のコマーシャル・ギャラリーであるツァイト・フォトの創始者、石原悦郎の半生を通じて日本写真史を立体的に描く試みである。石原が写真画廊を始めた頃は写真が未だ雑誌の為の印刷原稿の域にとどまり、オリジナル・プリントに対して、芸術的な価値はまったく認められていなかった。彼はいかにして、今日のように写真家がアーティストとして活動し、写真が芸術作品として社会に認められるような状況を作り出したのであろうか。そのことは表舞台にいる写真家だけを見ていては知り得ないことである。石原がフランスで世界的巨匠であるアンリ・カルティエ=ブレッソンやブラッサイらと交流し、その経験を国内作家にも伝えながら、独自に「アートとしての写真」を広めようとした活動は、結果的に植田正治を世界に発信し、荒木経惟、森山大道といった世界的写真家の輩出という大きな果実をもたらす。また、一方で飯沢耕太郎や金子隆一といった写真を専門とする評論家をも育て、写真芸術という認識をより強固なものにする努力も怠らなかった。写真がアートになるために必要なことを総合的にプロデュースした、いわば日本写真史の影の立役者が石原悦郎という人物なのである。石原の眼を追体験できる本書は、日本写真史への理解を深める一冊となる。
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