青い日記帳 

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2016年 展覧会ベスト10

年末にその年に観た展覧会の中から恣意的にベスト10を決め、発表し始めてから今年で12年目を迎えることが出来ました。

これもひとえに支えてくれた家族と駄文を読んで下さる皆さんあってのこと。いつもいつも感謝の気持ちでいっぱいです。

式部輝忠

今年は仕事が馬鹿みたいに忙しいのに加え、色々な頼まれごとをひょいひょいと引き受けてしまい展覧会の紹介記事を書く時間がだいぶタイトでした。一番手抜き記事の多かった一年かもしれません。

それでも、無理することな身の丈にあったことを継続して行ければ、光明は見えて来るものです。支えて下さった方々にあらためてお礼申し上げます。

昨年から始め、とても好評を得ている「あなたが選ぶ展覧会 2016」や「プロが選ぶ展覧会」「かみさんが選ぶ展覧会」と合わせてお楽しみ下さい。

皆さんもご自身のブログで同じように今年の展覧会を振り返るような記事書かれた方いらっしゃいましたら是非是非トラックバック送って下さい!

Facebookページ「青い日記帳」でも大歓迎です。

それでは、私が選ぶベスト展覧会2016を僭越ながら発表させて頂きます。

王冠22016年 私が観た展覧会ベスト10王冠2

1位:「クラーナハ展」

「クラーナハ展―500年後の誘惑」
会期:2016年10月15日(土)〜2017年1月15日(日)
会場:国立西洋美術館
http://www.nmwa.go.jp/jp/index.html

2008年にロンドン、ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツで「ルーカス・クラナハ(父)(Lucas Cranach the Elder)の展覧会を観に行けず悶々とした日々を過ごしていた自分にとってこれ以上の僥倖はもうないんじゃないかと思わせるほど西美で開催されたこと自体に幸せを感じた展覧会。更にロンドンやヨーロッパ各地で過去に開かれたどの「クラーナハ展」より出品作品数が多いという奇跡。待てば海路の日和あり。1月15日まで開催(その後大阪へ巡回)しているので、年明け早々に必ず再訪します。
http://www.tbs.co.jp/vienna2016/

2位:「大妖怪展」

「大妖怪展 土偶から妖怪ウォッチまで」
会期:2016年7月5日(火)〜8月28日(日)
会場:東京都江戸東京博物館
https://www.edo-tokyo-museum.or.jp/

よくぞこれだけ集めて来たものだと心底感心感服してまった展覧会。滅多に表に出ない国宝や地方の寺社が所蔵している作品をこの規模で集めて見せることは最初で最後でしょう。画集でしか観たことのなかった作品(本物)が目の前にある幸せ。久々に存分に味わえました。また「六道絵」が多数出展され比較しながら観られたのもとても勉強になりました。「萬美術屋」安村敏信先生の本領が如何なく発揮された充実した内容であったと共に、祖父江慎さんの会場デザインにも唸りました。

3位:「岩佐又兵衛展」

福井移住400年記念「岩佐又兵衛展―この夏、謎の天才絵師、福井に帰る―」
会期:2016年7月22日(金)〜8月28日(日)
会場:福井県立美術館
http://info.pref.fukui.jp/bunka/bijutukan/bunka1.html

まとめて紹介されることが困難なゆえに非常に少ない岩佐又兵衛の展覧会。日本美術の人気が高まってきている昨今ですが、又兵衛の魅力までは中々まだ目が向いていないようです。きっとあと10年、20年後に「又兵衛っていう凄い絵師がいるらしいよ」と人口に膾炙することでしょう。「血みどろ又兵衛」のイメージとはまた別の側面、深い教養を携えた又兵衛に出会えた展覧会でもありました。福井名物ソースカツ丼を発祥の店であるヨーロッパ軒総本店で食べてきたのも良い思い出です。

4位:「初期浮世絵展」

「初期浮世絵展−版の力・筆の力−」
会期:2016年1月9日(土)〜2月28日(日)
会場:千葉市美術館
http://www.ccma-net.jp/

北斎や広重、国芳といった江戸時代晩年に活躍した浮世絵師だけがことさら脚光を浴びていますが、何事にも始まりはあるわけで彼らからさかのぼること200年前に誕生した「初期浮世絵」だけを集めた展覧会。当然現存している数も少なく、所在が分からないものも多くあります。色もせいぜい使われていて2色。観ていて派手さはありませんが、新しい芸術表現を創り出した悦びのようなものが作品から伝わってきました。これまで原本の所在が確認されていないとされていた菱川師宣『伽羅枕』がアメリカの個人コレクターの手にあったことが判明し初公開されていたりと、派手さはありませんが、非常に貴重な機会を与えてくれた展覧会でした。

5位:「円山応挙展」

「円山応挙「写生」を超えて」
会期:2016年11月3日(木・祝)〜12月18日(日)
会場:根津美術館
http://www.nezu-muse.or.jp/

丁度仕事が佳境に入り慌ただしかった時だったことや、2013年に愛知県立美術館で「円山応挙展 ―江戸時代絵画 真の実力者―」を観ているので、会期中1度観に行けたらいいかな程度に思っていた展覧会でしたが、「前期展示も後期展示も見逃しては絶対にダメ!」との天の声に従い出かけました。前期展示「雨竹風竹図屏風」、後期展示「雲龍図屏風」(共に重要文化財)に前後期で巻替えをした「七難七福図巻」(重要文化財)それぞれ単品で観られることも滅多に叶わないものがリストに並んでいたのです。若冲と比べ外連味の少ないと思われがちな応挙ですが、当時は良い意味でこんなおかしな絵師他にいないと観る人々に強く印象付けたことでしょう。

6位:「若冲展」

「生誕300年記念 若冲展」
会期:2016年4月22日(金) 〜 5月24日(火)
会場:東京都美術館

待ちに待った「若冲展」。2000年に京都国立博物館で「若冲展」が開催されてから約15年。みんなの願いが叶い始めて東京で開かれた「若冲展」です。若冲作品はどの展覧会でも人気の的ですが、数多い作品の中からベストオブベストの作品だけを集めたこれ以上文句の付けどころがない内容の展覧会でした。関連書籍やテレビ番組も多く放送され普段展覧会に関心の無い方にまで知れ渡り、『日経TRENDY』が発表した2016年 ヒット商品ベスト30にランクイン(16位)するなど展覧会として初の快挙を成し遂げました。出展作品の保存の観点から会期が1か月となり入場までに長い行列が出来きそちらも話題となりました。美術ファンを称する一部の人から待ち時間に対する苦言が噴出したことは滑稽なことでした。

7位:「禅 心をかたちに」

臨済禅師1150年・白隠禅師250年遠諱記念 特別展「禅―心をかたちに―」
会期:2016年10月18日(火)〜11月27日(日)
会場:東京国立博物館
http://www.tnm.jp/

禅がもたらした美術、芸術がこれほど多岐に渡っていることを再認識させられた展覧会でした。今回の「禅展」では、臨済宗・黄檗宗15派本山がすべて足並みを揃え展覧会に協力しており、もうこんなことはこの先二度とないでしょう。禅というとどうしても地味なイメージを抱いてしまいますが、展覧会会場は全くそんなことありませんでした。逆に戦国武将から仏像、襖絵、屏風絵、それに茶道具など重文・国宝のオンパレードで目移りしてしまい、何周もしてしまいました。前後期で展示替えも多く見応え十分でした。視点を変えることで違った見え方が出来ることを教えてくれた展覧会でもありました。

8位:「カラヴァッジョ展」

「日伊国交樹立150周年記念 カラヴァッジョ展」
会期:2016年3月1日(火)〜6月12日(日)
会場:国立西洋美術館
http://www.nmwa.go.jp/

2001年に庭園美術館で開催された「カラヴァッジョ展」ではただひたすら圧倒されて終わってしまいましたが、年も重ねある程度養われた観る力をもって対峙した今回の「カラヴァジョ展」は、ところどころに新鮮な驚きが待っていました。カラヴァッジョと追随者であるカラヴァジェスキの同テーマの作品を比べて観せることで、何故、カラヴァッジョが西洋美術史上最大の革新者であったのかが解説無しでも解るよう構成されたとても丁寧な作りでした。ドラマチックな人物表現だけでなく、群を抜いた表現・描写力を誇る静物画も目を見張るものがありました。また作家が起こした事件に関する歴史的資料も初展示されるなど、一段掘り下げ西洋絵画の革新者の素顔に迫る展覧会でした。

9位:「小田野直武と秋田蘭画 」

「世界に挑んだ7年 小田野直武と秋田蘭画」
2016年11月16日(水)〜2017年1月9日(月・祝)
会場:サントリー美術館
http://www.suntory.co.jp/sma/

未見のものに触れることの喜びを存分に味わうことのできた展覧会でした。小田野直武(おだのなおたけ・1749〜1780)の描いた作品は一見奇妙なものに映ります。西洋絵画の遠近法や陰影法を見よう見まねで取り入れ新たな絵画の可能性を見つけ出そうとした小田野を中心とする秋田蘭画の世界。初めてまとめて観る機会に恵まれこんなに興味関心を惹かれるとは思いもしませんでした。平賀源内を中心とする人物ネットワークの中で『解体新書』の挿絵を描いたことや、彼の作風が秋田藩主・佐竹曙山や角館城代の佐竹義躬にも影響を与えたことなど、非常に限定された僅かな時期にこれだけ特異な作風が開花したことは、江戸時代の多様性のひとつとも言えます。南蘋派の作品も多く観られたのも良かったです。僅か7年で急速に衰退してしまうミステリアスな部分も含めてよく検証された展覧会でした。

10位:「馬鑑 山口晃展」

会期:2016年3月26日(土)〜5月29日(日)
会場:馬の博物館 
http://www.bajibunka.jrao.ne.jp/uma/

山口晃さん初の博物館での展覧会。新作はまだ完成していないと思われますが、過去に描いた「馬」をテーマとした作品を関連する古画や古美術と共に展示して見せる試み。平面作品だけでなく、山口晃作品を取り囲むように刀剣や甲冑なども展示され、世界観を見事作りあげていました。過去と現在とが混在し、どこか懐かしい雰囲気を醸し出す山口晃の作品世界を、馬の博物館展示室で立体的に再構成しているようで、非常に楽しめた展覧会でした。「街歩き旅ノ介 道後温泉の巻」山口晃 道後アート2016やミヅマアートギャラリーでの山口晃展 「室町バイブレーション」らと合わせて今年も山口さんに魅了された一年だったように思えます。



以上、独断と偏った嗜好により選んだベスト10です。ギャラリーでの個展やイベント系の展覧会はランキングから除外しました。またグッズ制作など個人的に関わりを持った展覧会もベスト10から除外しました。

最期の最後まで悩んだ末にベスト10圏外とした「次点」の展覧会も紹介しておきます。今年はほんと悩みに悩みました。(順位不同)

・「セラミックス・ジャパン」(渋谷区立松濤美術館)
・「ボッティチェリ展」(東京都美術館)
・「速水御舟展」(山種美術館)
・「鈴木其一展」(サントリー美術館)
・「PARIS オートクチュール」(三菱一号館美術館)
・「レオナール・フジタとモデルたち」(川村記念美術館)
・「メアリー・カサット展」(横浜美術館)
・「木々との対話」(東京都美術館)
・「宇宙と芸術展」(森美術館)
・「はじめての古美術鑑賞」(根津美術館)
・「Seed 山種美術館 日本画アワード2016」(山種美術館)
・「ポンペイの壁画展」(森アーツセンターギャラリー)
・「広重ビビッド」(サントリー美術館)
・「黄金のアフガニスタン」(東京国立博物館)
・「頴川美術館の名品」(渋谷区立松濤美術館)
・「ジョルジョ・モランティ展」(東京ステーションギャラリー)
・「佐藤雅晴ー東京尾行」(原美術館)
・「デザインの解剖学」(21_21 DESIGN SIGHT)

来年(2017年)もたくさん素晴らしい展覧会が待っています。今からワクワクしながら指折り数え待ちたいと思います。引き続き、青い日記帳をどうぞ宜しくお願い申し上げます。

あなたが選ぶ展覧会 2016



【バックナンバー】
2004年 展覧会ベスト10
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2014年 展覧会ベスト10
2015年 展覧会ベスト10

こちらもご参考までに。
かみさんが選ぶ「2007年 展覧会ベスト10」
かみさんが選ぶ「2008年 展覧会ベスト10」
かみさんが選ぶ「2009年 展覧会ベスト10」

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プロが選ぶ「2016年 ベスト展覧会」
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この記事に対するコメント

はてなブログにトラックバック機能が無いので、コメント欄に書かせていただきます。今年のマイベスト10です。本年も、大変お世話になりました!
在華坊 | 2016/12/31 5:56 PM
Takさん、あけましておめでとうございます。
私も2016年展覧会ベスト10アップしました。地元・神奈川県内の展覧会もいくつか入ってます。
今年もよろしくお願いします。
ostundwest | 2017/01/05 9:51 PM
明けましておめでとうございます。
先日はTBをありがとうございました。
こちらからもTBしようと思ったのですが、なぜか送信できない状態が続いていますので、コメントにさせていただきます。
今年もよろしくお願い致します。
chariot | 2017/01/09 8:51 PM
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