青い日記帳 

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映画「エゴン・シーレ 死と乙女」

映画「エゴン・シーレ 死と乙女」(Egon Schiele: Tod und Madchen)を観て来ました。


http://egonschiele-movie.com/

今回の映画では、世紀末のウィーンで活躍した画家エゴン・シーレ(1890-1918)の生涯を克明に描いています。シーレについてある程度の予備知識がないと、楽しめない作品でもあります。

これから劇場でご覧になる前に最低限頭に入れておかねばならぬことを、映画のネタバレ無しで書いておきます。

エゴン・シーレ(Egon Schiele:1890-1918)の父親は鉄道官吏をしていましたが、シーレが幼い頃、梅毒で亡くなってしまいます。劇中では鉄道にまつわるシーンがさり気なく描かれています。

16歳 名門ウィーン美術アカデミーに史上最年少で入学(2歳年下のアドルフ・ヒトラーも同アカデミーを受験するも2年連続で失敗しています。)

4歳年下の実の妹ゲルトルート(愛称ゲルティ)はシーレのモデルも務めましたが、その存在は彼にとって妹以上のものでした。


シーレとゲルティ

シーレ16歳、ゲルティ12歳の時二人だけでイタリア旅行をしています。しかもそこは両親がハネムーンで訪れた場所でした。この二人の関係が頭に入っていないと映画の半分以上は?の連続となるはずです。

17歳でウィーンにアトリエを構えたシーレが、クリムト(1862-1918)のアトリエを訪ねる場面が出てきます。

後に「金のクリムト、銀のシーレ」または「陽(生)のクリムト、陰(死)のシーレ」などと比較称されることの多い二人の会話に注目です。


シーレとクリムト

20歳を過ぎたシーレは、クリムトのモデルであった、ヴァリ・ノイツェルと同棲生活を始めます。ヴァリの存在はシーレにとってどれだけ大きな影響を与えたか計り知れないものがあります。

不道徳、未成年誘拐の容疑で24日間の獄中生活を送ることとなった「ノイレングバッハ事件」での裁判でも彼女の存在は欠くことが出来ません。

幼児趣味(ロリコン)があったとか、とかく言われがちなシーレですが、反社会的、反アカデミック、非道徳的な作品を好んで求める者がいた時代であったことを抑えておかねばなりません。そうした人物も劇中に登場するのには感心しました。


ヴァリ・ノイツェル

第一次世界大戦が勃発した1914年。24歳のシーレはウィーンで最も才能があり且つセンセーショナルな画家として一世を風靡していました。

傍目にはお似合いのカップルに見えた二人ですが、シーレは突如ヴァリと別れ、アトリエの向かいに住む中産階級のエディットと結婚してしまいます。1915年、シーレ25歳の時です。


シーレのアトリエの向いに住んでいた姉妹アデーレとエディット

しかし、幸せは長続きしません。戦争よりも多くの死者を出したとされるスペイン風邪が大流行。シーレの子供を身籠ったままエディットは病に罹患し戻らぬ人へ。

そしてその後を追うようにシーレも28歳の若さでこの世を去ります。奇しくもクリムト没年と同じ1918年のこと。そしてこの年に第一次世界対戦も終結を迎えます。

因みに、1918年には他にも建築家オットー・ワーグナー、や画家のホドラー、そしてロシア帝国最後の皇帝であるニコライ2世が亡くなっています。

大きな一つの時代の転換点となった年が1918年であり、ウィーン世紀末美術の終焉の年でもあったのです。


今回の映画「エゴン・シーレ 死と乙女」でシーレ役を演じるのは、ノア・サーベトラ。モデル出身の新人俳優です。

映画には全く関係ありませんが、シーレやクリムトが亡くなった1918年に生まれまだ存命の日本の政治家がいます。中曽根康弘元総理です。98歳!

今からおよそ100年前のオーストリアを舞台として描かれるエゴン・シーレの生涯。美しい映像と共に存分に楽しめる美術ファン必見の映画です。

映画「エゴン・シーレ 死と乙女」(Egon Schiele: Tod und Madchen)が2017年1月28日よりBunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次ロードショーとなります。


『エゴン・シーレ 死と乙女』予告編

映画公式サイト:http://egonschiele-movie.com/

©Novotny & Novotny Filmproduktion GmbH



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第一次世界大戦末期のウィーン。天才画家エゴン・シーレはスペイン風邪の大流行によって、妻エディットとともに瀕死の床にいた。そんな彼を献身的に看病するのは、妹のゲルティだ。――時を遡ること、1910年。美術アカデミーを退学したシーレは、画家仲間と“新芸術集団”を結成、16歳の妹ゲルティの裸体画で頭角を現していた。そんなとき、彼は場末の演芸場でヌードモデルのモアと出逢う。
褐色の肌を持つエキゾチックな彼女をモデルにした大胆な作品で一躍、脚光を浴びるシーレ。その後、敬愛するグスタフ・クリムトから赤毛のモデル、ヴァリを紹介されたシーレは、彼女を運命のミューズとして数多くの名画を発表。幼児性愛者という誹謗中傷を浴びながらも、シーレは時代の寵児へとのし上がっていく。しかし、第一次世界大戦が勃発。シーレとヴァリの愛も、時代の波に飲み込まれていく――。
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