弐代目・青い日記帳 

  
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「N・S・ハルシャ展」
森美術館で開催中の
「N・S・ハルシャ展:チャーミングな旅」へ行って来ました。


http://www.mori.art.museum/

現代アート、しかも現役のインド人作家の個展…なんだか観に行っても面白くなさそう。。。なんて思っていたら大間違いです。

アートに疎くてもめちゃめちゃ楽しめますし、人生やら国家、宇宙についてと自然に幅広い視野を観る者にもたらしてくれます。難しい理屈は抜きで。


N・S・ハルシャ「ふたたび生まれ、ふたたび死ぬ」2013年

会場の壁横幅いっぱいに展示されたハルシャの宇宙。メビウスの輪のような入り組んだ形態を成しながら一定の形に定まることなく常に動いているかのように見えます。

『老子』に記されている「出生入死。生之徒十有三、死之徒十有三。人之生、動之死地、亦十有三。夫何故。以其生生之厚」(生まれつき長寿の人は十人中に三人はいる。生まれつき短命の人も十人中に三人はいる。しかるに、生地にいながら、わざわざ自分の方から死地に赴くものがまた十人中に三人はいる。それはどうしてかというと、生に執着してあれこれと作為するからである。)が頭にちらっとよぎります。

また、「魔法少女まどか☆マギカ」に登場した謎の言葉「円環の理」を画面に見出すかもしれません。


N・S・ハルシャ「ネイションズ(国家)」2007/2017年

193台の足踏み式ミシンが何段にも重ねられ展示されています。このごちゃっとした感じがまさに国家を象徴しています。

そして193という数の意味を知ると更に面白く見えてきます。国際連合に加盟している国家の数が193。つまり一つの古い足踏み式ミシンが一つの国家を表しているのです。

それぞれの国旗を織っていますが、そのカラフルな糸が修復不可能なほど複雑に絡み合っています。現在の混沌とした世界を見事に視覚化した作品です。観ていて飽きることがありません。

インド人であるハルシャは当然、「国家」という概念の捉え方が我々とは違うでしょうし、国について考えることも日常茶飯事なはずです。ちょっと日本人には作り出せない作品に思えます。

展覧会の構成は以下の通りです。

マイスールと世界
この世をながめる
(N・S・ハルシャ、マイスール。インドの資料室)
空を見上げる
ネイション(国家)とは何か
誰にも自分の宇宙がある
レフトオーバーズ(残りもの)
知識を積み重ねる
夢見るバングル
望遠鏡と顕微鏡



N・S・ハルシャ「ここに演説をしに来て」2008年

ハルシャの代表作のひとつである「演説をしに来て」には約2000人(動物を含む)が描かれています。安っぽいプラスチックの椅子に老若男女、様々な国籍の人が腰かけこちに目をやっています。

その中にはハリウッド映画のヒーローや村上隆氏のキャラクターまで含まれています。素通りなんてもってのほかです。上から下まで目を皿のようにしてひとりひとりに目をやってみて下さい。



フリーダ・カーロや「象」も描かれてます!こうしたモチーフの反復がハルシャ作品の特徴であり愛らしいところでもあります。

いい感じでゆるいですよね。本当は政治や宗教、民族問題など難しいことを語っているにも関わらず。


N・S・ハルシャ「知識の番人」(『監視の椅子』シリーズより)2008年

2008年に森美術館で開催された「チャロー!インディア:インド美術の新時代」に出ていた作品です。監視員の椅子まで作品としちゃうチャーミングなハルシャです。

実際に監視員の方が腰かけています。普段より視線が集まり居心地は悪そうでした。

まだまだ全然紹介しきれませんが、このようにライトな感覚で楽しまる作品ばかりです。でも少し考えを巡らすとそこには植民地時代やカースト制度といったインドならではの問題が潜んでいます。

政治的や歴史的な問題を声高に叫ばない点が最もハルシャの素敵なところではないでしょうか。


「N・S・ハルシャ展」音声ガイドのナビゲーターは細野晴臣さん。

音声ガイドは森美術館展示室入口のカウンターで無料貸し出ししているほか、ウェブサイト(YouTube)でも聞くことができます。何と太っ腹!予習復習反芻に是非是非!!

「N・S・ハルシャ展:チャーミングな旅」は6月11日までです。是非是非!会場内は写真撮影可能です。

「N・S・ハルシャ展:チャーミングな旅」

会期:2017年2月4日(土)〜6月11日(日)
開館時間:10:00-22:00(火曜は17:00まで)
※いずれも入館は閉館の30分前まで
※会期中無休
会場:森美術館(六本木ヒルズ森タワー53階)
http://www.mori.art.museum/
主催:森美術館
後援:インド大使館、公益財団法人 日印協会
協賛:ダイキン工業株式会社、株式会社大林組、トヨタ自動車、YKK / YKK AP、NTTコミュニケーションズ株式会社、ハウス食品グループ、鹿島建設株式会社
制作協力:Usha International Ltd.
協力:キャセイパシフィック航空会社、シャンパーニュ ポメリー
企画:片岡真実(森美術館チーフ・キュレーター)


5歳の子どもにできそうでできないアート: 現代美術(コンテポラリーアート)100の読み解き

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N・S・ハルシャは1969年、南インドの古都マイスールに生まれ、現在も同地に在住し活動しています。インドの現代アートは近年の急速な経済成長や都市化とともに、国際的な注目を浴びていますが、N・S・ハルシャもこの10年間、世界各地で開催される国際展に数多く参加し、作品を発表しています。その一方で、南インドの伝統文化や自然環境、日々の生活における人間と動植物との関係など、自らを取り巻く「生」と真摯に向き合いながら、独自の立ち位置を確立してきた作家でもあります。
N・S・ハルシャの初のミッド・キャリア・レトロスペクティブとなる本展では、1995年以降の主要な作品を網羅しながら、現実世界の不条理、具象と抽象、イメージの繰返しなど、彼の実践に一貫して見られる関心を掘り下げます。森美術館では、これまでも中国、アフリカ、インド、中東など成長目覚ましい地域の現代アートの現状を紹介しつつ、アジアの中堅作家の個展を開催していますが、本展はこの個展シリーズのひとつに位置づけられます。
| 展覧会 | 22:13 | comments(1) | trackbacks(0) |
知識の番人で監視員の椅子をも作品にするパロデイ精神も佳かったです。インドらしくヨガのシーンが中々魅力的でした大作では2000人の中に潜む象を探すのに時間がかかりますが、飽きさせない…。無差別テロで爆破された身体が現れたりと毒がユーモラスな作品の奥に隠れています。コミックのタッチの諷刺力でインドの開発と言うグローバル化を痛烈にアン・パンチ!
| PineWood | 2017/04/16 10:04 PM |










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