青い日記帳 

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「オルセーのナビ派展」

三菱一号館美術館で開催中の
「オルセーのナビ派展:美の預言者たち ―ささやきとざわめき」に行って来ました。


http://mimt.jp/nabis/

絵画が、軍馬や裸婦や何らかの逸話である前に、本質的に、一定の秩序の下に集められた色彩で覆われた平坦な表面であることを思い起こすべきだ

1890年にナビ派を代表する画家モーリス・ドニが残した言葉です。

モネやルノワールといった印象派のすぐ後に(時に平行して)19世紀末に一大ムーブメントとなったナビ派ですが、日本では長い間「後期印象派(ポスト印象派)」などと表していました。

括りも大雑把でナビ派の画家だけでなく、時にセザンヌやゴッホ、スーラなども含めた集合体として十把一絡げにされてきました。


モーリス・ドニ《ミューズたち》1893年
油彩/カンヴァス
© Musée d'Orsay, Dist. RMN-Grand Palais / Patrice Schmidt / distributed by AMF

「日本では」と書きましたが、フランスでもナビ派に光が当たるようになってまだ日が浅いそうです。ナビ派だけの展覧会はほとんど開催されていないというのですから驚きです。

明治期に活躍した絵師や工芸家(渡辺省亭、並河靖之等々)に注目が集まるようになってきたのと同じ現象が、フランスでナビ派に対して起こっていると考えれば分かりやすいかもしれません。

少し大げさな表現を使えば「忘れられていたナビ派」ということになるでしょうか。


モーリス・ドニ「テラスの陽光」1890年
油彩/厚紙
パリ、オルセー美術館

ナビ派研究を牽引するオルセー美術館・オランジュリー美術館総裁ギ・コジュヴァル氏が、パリでの「ナビ派展」の次に選んだ開催場所は、アメリカではなく日本でした。

オルセー美術館所蔵のナビ派が惜しげもなくこの展覧会にやって来ているのはそのためです。オルセー美術館の館長自らがタクトを振った展覧会なのですから、観に行って間違いありません。


ピエール・ボナール
庭の女性たち 白い水玉模様の服を着た女性
庭の女性たち 猫と座る女性
庭の女性たち ショルダー・ケープを着た女性
庭の女性たち 格子柄の服を着た女性
1890-91年

このボナールの作品のように、紙に描いたものをカンヴァスに貼り付けたものや厚紙に描かれたもの、また油彩ではなくパステルで描かれている脆い作品も多く、移動するのは難しいもが多く出ています。

ギ・コジュヴァル氏が直接関わっていなければ絶対に開催不可能な展覧会でもあるのです。


ミュージアムショップ「Store 1894」の壁に直接サインを書くコジュヴァル氏(写真提供H氏)

展覧会の構成は以下の通りです。

1:ゴーガンの革命
2:庭の女性たち
3:親密さの詩情
4:心のうちの言葉
5:子ども時代
6:裏側の世界


日本で初となる「ナビ派」の展覧会を観て、ずばり日本人が好む作品が多いな〜という感想を持ちました。

ルネサンス期以降長いこと西洋絵画を支配してきた遠近法は無視され、フラットな色彩だけで構成されている作品が多く観られます。


ポール・セリュジエ《タリスマン(護符)、愛の森を流れるアヴェン川》1888年
油彩/板
© RMN-Grand Palais (musée d'Orsay) / Hervé Lewandowski / distributed by AMF

「タリスマン」は極端な例の作品かもしれませんが、この一枚が「ナビ派」成立の原点となったと考えれば、なるほど尤も。こういうことなのかとすぐさま納得がいくはずです。

当然、浮世絵の影響も受けていることから、親近感が沸いてくる作品が多くあります。それとサイズが小振りなのも日本人の心をくすぐります。

王侯貴族の邸宅に飾るような宗教画・物語画(遠近法、陰影法、表面テカテカ、何が描かれているのか知識が必要etc…)とは、どうしても距離が生じてしまいますが、ナビ派ならすっと作品世界に入っていけます。


アリスティード・マイヨール「女性の横顔」1896年
油彩/カンヴァス
パリ、オルセー美術館

彫刻家として有名なマイヨールが、若い頃に絵画を描いていたことも新鮮な驚きですが、どうですこの優美な平面。絵画に背負わされていた神の威厳などこれっぽっちも見えません。

近くで観るとその画面処理にもまた目を奪われることでしょう。

マイヨールもナビ派に属するのか〜と感心していたら、最後の展示室にもっと凄い画家が居ました。その名はジョルジュ・ラコンブ。

「昆布」ではありません、ラコンブです。そして絵画ではなく彼が得意としたのは木彫です。一度観たら忘れられない作家になること間違いありません。

公式サイトがTwitter企画として「#ナビ派の誰派」を募集していますが、自分は断然昆布派じゃなくてラコンブ派です!!


エドゥアール・ヴァイヤール「公園」1894年
油彩/カンヴァス
パリ、オルセー美術館

個人のお宅の食堂壁を飾ることを目的として連作で描かれた作品。

現地オルセー美術館では、ヴァイヤールが意図して描いたL字型に展示できないそうなので、三菱一号館で存分に画家の脳内イメージを共有しちゃいましょう。今だけよ!

因みに、コジュヴァル館長もこの展示特にご満悦でした。


オルセーのナビ派展 美の預言者たち―ささやきとざわめき
図録は電子書籍としても販売されています。

オルセー美術館の館長職を、3月で退官されるギ・コジュヴァル氏が最後の企画展開催の場所として選んだのは、親友・高橋明也館長のいる三菱一号館美術館。
http://mimt.jp/nabis/  

ご自身のキャリアの有終の美を飾るべく日本で渾身の「ナビ派展」を開いてくれたのです。これは観に行かねばなりません。

日本初の(世界でもほぼ前例のない)「ナビ派展」は5月21日までです。是非是非!


「オルセーのナビ派展:美の預言者たち ―ささやきとざわめき」

会期:2017年2月4日(土)〜5月21日(日)
開館時間:10:00〜18:00(祝日を除く金曜、第2水曜、会期最終週平日は20:00まで)
※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜休館(但し、2017年3月20日、5月1日、15日は開館)
会場:三菱一号館美術館(東京都千代田区丸の内2-6-2) 
http://mimt.jp/
主催:三菱一号館美術館、読売新聞社、オルセー美術館
後援:在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本
公式サイト:http://mimt.jp/nabis/

三菱一号館美術館内にあるミュージアムショップ「Store 1894」で販売中の「塗り絵付き"ナビ派ポストカード(2枚セット)」



「あの木はどのように見える?…」。ゴーガンの教えに基づき、キャンバスに思うままの色を置いていったポール・セリュジエ。そんなナビ派はじまりのエピソードを彷彿とさせる、オリジナルの塗り絵が通常のポストカードにもれなくついてきます。ナビ派の絵画的特徴であるはっきりとした輪郭線を、自分の思うままの色で塗ることができます。


かわいいナビ派
高橋 明也 (著), 杉山 菜穂子 (著)

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注:会場内の画像は主催者の許可を得て撮影したものです。
1880年代末のパリ、様々な新しい芸術表現が勃興するなか、画塾アカデミー・ジュリアンで出会った若き画家たちを中心に集い、前衛的な芸術活動を行ったグループが「ナビ派」です。ボナール、ヴュイヤール、ドニ、セリュジエ、ヴァロットンらを中心とするナビ派の画家たちは、ゴーガンから影響を受け、自らを「ナビ(預言者)」と呼んで、新たな芸術表現を模索しました。近代都市生活の諸相を平坦フラットな色の面で表す装飾性と、目に見えないものを描く内面性――日常と神秘をあわせ持つナビ派の芸術は、一見控えめで洗練された画面のうちに、20世紀美術への橋渡しとなる静かな革新性を秘めているのです。本展は、近年国際的に評価が高まるこのナビ派の芸術を本格的に紹介する日本で初めての展覧会となります。

本展では、オルセー美術館が誇るナビ派のコレクションから、油彩約60点、素描約10点など合わせておよそ70点が一堂に会します。ナビ派研究を牽引するオルセー美術館・オランジュリー美術館総裁ギ・コジュヴァル氏総監修のもと、6つのテーマに従って、ナビ派芸術の全貌と魅力を新たな視点から展覧します。
展覧会 | permalink | comments(2) | trackbacks(0)

この記事に対するコメント

Takさん、こんばんは。先日のブロガー特別内覧会参加させていただき、ありがとうございました。その時の様子をブログにアップしました。とてもいい展覧会なので私も応援したいと思います。
ostundwest | 2017/02/16 9:37 PM
日常生活者の内心を豊かな感性で描いた画家の良い展覧会でしたね。
PineWood | 2017/05/19 7:37 PM
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