弐代目・青い日記帳 

  
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「ミュシャ展」
国立新美術館で開催中の
国立新美術館開館10周年 チェコ文化年事業「ミュシャ展」に行って来ました。


http://www.mucha2017.jp/

願い続けていれば夢は必ず叶う。そんなお伽話のようなことが現実のものとなりました。アルフォンス・ミュシャの傑作中の傑作「スラヴ叙事詩」全20作品がチェコ、プラハより初来日を果たしています。

ミュシャの傑作中の傑作「スラヴ叙事詩」全20点、初来日決定!

昨年の夏、このコラムを書いているときはまだ本当にやって来るのか半信半疑で、祈るような思いを込め綴りました。それが晴れて現実のものとなったのです。


アルフォンス・ミュシャ《スラヴ叙事詩「東ローマ皇帝として戴冠するセルビア皇帝ステファン・ドゥシャン」》 1926年 プラハ市立美術館 ©Prague City Gallery

全20枚から成る《スラヴ叙事詩》は壁画ではなくテンペラ技法でカンヴァスに描かれています。20枚それぞれのサイズがまちまちなのは、第一次世界大戦の影響が大きかったと言われています。

これまで「ミュシャ展」は数多く開催され、展覧会のたびに大きな話題となり、大勢の人にミュシャ芸術の素晴らしさ、美しさを伝えてきました。

ところが、ミュシャの傑作中の傑作である《スラブ叙事詩》はこれまで一度も日本にやって来たことがありません。理由は明確です。作品が大き過ぎるのです。


アルフォンス・ミュシャ《スラヴ叙事詩「原故郷のスラヴ民族」》1912年 プラハ市立美術館

こちらの作品、縦610cm、横810cmもあります。

《スラブ叙事詩》はそれぞれサイズはまちまちですが、小さな作品であっても軽く2メートルは超えます。そして最も大きな作品となると縦6メートル、横8メートルという近代絵画では考えられないほどの巨大なサイズ。鑑賞者が小人のように見えます。

また、サイズが大きいだでなく以下のような問題がからみ、2012年まで現地プラハでもきちんと観ることが出来なかった作品なのです。

“《スラヴ叙事詩》は1928年にプラハ市に引き渡される時、これを常時展示する専用のスペースを作ることが条件とされたが、その条件は果たされず、特に社会主義時代にはこの作品は冷遇され、展示されることもほとんどなかった。ようやく戦後の1960年代に入り、モラヴィアのクルムロフ城に全20点が展示さていた。しかし、アクセスの悪い所で、ミュシャとパトロンのクレーンが望んだようにプラハ市に安住の地を得ることが久しく望まれていたが、最近、作品はすべてプラハ市に集められ、現在ようやくその第一歩を踏み出したところである。”
ミュシャ作品集―パリから祖国モラヴィアへ』より引用。


「ミュシャ展」展示会場風景

ミュシャといえば、ポスターや装飾的な美を追求した側面だけがクローズアップされがちですが、実は祖国(チェコ)に対する思い入れが非常に強い人で、パリで大成功をおさめたにも関わらず、チェコへ戻り祖国のために後半生を捧げました。

ナショナル・アイデンティティの塊のような作品がこの「スラブ叙事詩」です。

スラブ民族の歴史を知らずとも、ミュシャの祖国を愛する思いはいやというほど画面から伝わってきます。作品の前に立つと「今の自分で良いのですか?」と詰問されているような感じさえします。


《スラヴ叙事詩》を制作するアルフォンス・ミュシャ、ズビロフ城アトリエにて、1923年

“ミュシャは自由と独立を求める闘いを続ける中で、チェコおよびスラヴ民族の歴史から主題を得た壮大な絵画の連作を創作することを決意します。1910年に50歳でチェコに戻ったミュシャは、翌年、プラハ近郊のズビロフ城にアトリエを構え、《スラヴ叙事詩》の制作に取り掛かり、1928年、チェコスロヴァキア独立10周年を祝して、完成した連作全作品をプラハの見本市宮殿で公開しました。”
ミュシャ作品集―パリから祖国モラヴィアへ』より引用。


アルフォンス・ミュシャ《スラヴ叙事詩「聖アトス山」》1926年 (部分)

「スラブ叙事詩」の見どころは描かれている人々の「目力」です!

伊藤若冲が「動植綵絵」を仏のために全身全霊を込めて描いたのと同様に、「スラブ叙事詩」がミュシャがある意味、命を賭して描き上げた大パノラマです。

我々はどうしても目先の利益やお金に左右され行動しがちですが、若冲にせよミュシャの「スラブ叙事詩」にせよそうした段階から幾つも上のステージで無心に描かれた作品だからこそ、心を強く打つものがあるのです。

国立新美術館の2階展示室の天井は、普段ですと無駄に高いなと思ってしまいますが、「スラブ叙事詩」のためにあの高さにしてくれたのではないかしらと勘ぐってしまうほど、見事はまっています。


スラヴ叙事詩展示風景タイムラプス動画

これは、観に行かれる前に必見です。ぐるぐる巻きにして空輸してきたのですね〜そしてこのようにして展示するとは!! 

「ミュシャ展」展覧会の構成は以下の通りです。

スラブ叙事詩
1:ミュシャとアール・ヌーヴォー
2:世紀末の祝祭
3:独立のための闘い
4:習作と出版物


まず、出し惜しみせずに初っ端から「スラブ叙事詩」20点が迫ってきます。心の準備もまだまだ出来ていなのに…

展覧会で酔ったのこの「ミュシャ展」が最初で最後となるでしょう。


「ミュシャ展」展示会場風景

「スラブ叙事詩」20点全て見終えるのに1時間は必ず必要です。それと出来れば双眼鏡。とにかく大きいので常に上を見上げての鑑賞となります。

後半の1章〜4章までもとても見応えがあります。「スラブ叙事詩」の余韻に浸りつつ、ミュシャの作家としての生涯を振り返る内容です。


アルフォンス・ミュシャ「『四つの花』カーネーション、ユリ、バラ、アイリス」1897年


アルフォンス・ミュシャ「ラ・ナチュール」1899-1900年

ロダンと親交のあったミュシャはこうしたブロンズ像も制作しています。2次元はもちろん、3次元でもミュシャ作品の魅力は衰えませんね。

そうそう、海外から作品を借用し開催される日本の展覧会では、当然ですが写真撮影は許されませんでした。しかし今回、特別に「スラブ叙事詩」4作品は、撮影可能となっています。



「スラブ叙事詩」がチェコ以外、ましてや日本で観られるだけでも大事件なのに、写真撮影もOKとは時代が変わったな〜と強く感じます。

とにかくうれしいことに変わりありません。カメラ、iPhoneお忘れなく!(撮影可能エリアは他とは区切られています。)


アルフォンス・ミュシャ「クオ・ヴァディス」1904年

「スラヴ叙事詩」全20作品がまとめて日本で観られるのです!パネル展示や写真展示ではありませんよ。本物がチェコからやってきました。これははっきり言って事件です。

展覧会を長く見続けて来ましたが、まさか「スラヴ叙事詩」を日本の美術館で観られる日が来ようとは夢にも思いませんでした。

願い続けていれば夢は必ず叶う。まさにお伽話しのような展覧会です。「ミュシャ展」は6月5日までです。混雑してもこの大きさなら大丈夫かな〜でもなるべくお早めに!


国立新美術館開館10周年 チェコ文化年事業
「ミュシャ展」


会期:2017年3月8日(水)〜6月5日(月)
休館日:毎週火曜日
開館時間:午前10時〜午後6時(毎週金曜日は午後8時まで)
※入場は閉館の30分前まで
会場:国立新美術館企画展示室2E(〒106-8558東京都港区六本木7-22-2)
(会場HP:http://www.nact.jp/)
主催:国立新美術館、プラ八市、プラ八市立美術館、NHK,NHKプロモーション、朝日新聞社
後援:外務省、チェコ共和国大使館、チェコセンター
協賛:日本写真印刷
特別協力:伊藤忠商事株式会社、堺市
協力:ルフトハンザ カーゴ AG
監修:ヴラスタ・チハーコヴァー(美術評論家)、本橋弥生(国立新美術館主任研究員)

公式サイト:http://www.mucha2017.jp/

展覧会のカタログ(図録)は一般書籍として書店やAmazonでも購入可能です。この内容にこのボリュームでこの値段は安過ぎます。


ミュシャ展
国立新美術館 (編集), NHK (編集), NHKプロモーション (編集), 求龍堂 (編集)

アール・ヌーヴォーを代表する芸術家ミュシャ(ムハ)。パリで活躍したミュシャが、故郷チェコに帰り傑作《スラヴ叙事詩》を描くに至るまでの足跡を時代ごとに作品で紹介。チェコ国交回復記念60周年を記念し国外不出の《スラヴ叙事詩》全20点を展示する国立新美術館『ミュシャ展』公式図録兼書籍。


チェコの子供たちは、誰もがクルテクを通り過ぎて成長していくそうです。チェコの道徳となっている「もぐらのクルテク」とミュシャ展のコラボグッズ。

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注:会場内の画像は主催者の許可を得て撮影したものです。
国立新美術館(東京・六本木)では、2017年3月8日(水)から6月5日(月)まで、「ミュシャ展」(主催:国立新美術館、NHK、NHKプロモーション、朝日新聞社ほか)を開催いたします。2017年は日本とチェコが国交を回復してから記念すべき60周年を迎える年にあたります。
アール・ヌーヴォーを代表する芸術家の一人、アルフォンス・ミュシャ(チェコ語発音ムハ※、1860-1939)は、オーストリア=ハンガリー帝国領モラヴィア(現チェコ)に生まれ、ウィーンやミュンヘンを経て、27歳でパリに渡り絵を学びました。なかなか才能を発揮する機会に恵まれなかったミュシャは、34歳の時に、女優サラ・ベルナール主演の舞台「ジスモンダ」のポスターを手がけることになり、一夜にして成功をおさめます。以降、優美で装飾的な作風は多くの人を魅了し、時代の寵児として活躍しました。
美しい女性像や流麗な植物文様など、華やかで洗練されたポスターや装飾パネルを手がける一方で、ミュシャは故郷チェコや自身のルーツであるスラヴ民族のアイデンティティをテーマにした作品を数多く描きました。その集大成が、50歳で故郷に戻り、晩年の17年間を捧げた画家渾身の作品《スラヴ叙事詩》(1911-1928年)です。およそ縦6メートル、横8メートルにも及ぶ巨大なカンヴァスに描かれた20点の油彩画は、古代から近代に至るスラヴ民族の苦難と栄光の歴史を映し出す壮大なスペクタクルであると言えます。
本展はこの《スラヴ叙事詩》をチェコ国外では世界で初めて、全20点まとめて公開するものです。プラハ市のために描かれ、1928年に寄贈された《スラヴ叙事詩》は、1960年代以降、モラヴィアのクルムロフ城にて夏期のみ公開されてはいたものの、ほとんど人の目に触れることはありませんでした。その幻の傑作が、80年以上の時を経て2012年5月、ついにプラハ国立美術館ヴェレトゥルジュニー宮殿(見本市宮殿)にて全作品が公開されました。そしてこのたび国立新美術館では、パリで活躍したミュシャが《スラヴ叙事詩》を描くに至るまでの足跡を約100点の作品を通じて辿りつつ、これら幻の最高傑作の全貌を一挙、紹介します。
| 展覧会 | 22:28 | comments(4) | trackbacks(1) |
始めまして。

当時、あのキャンパスの地、
具材を集めるのに、
どうしたか?
又、パトロンは、だれか?
知りたいです、、
| カント | 2017/03/08 6:08 AM |

はじめまして。
ミュシャについてはFBの公式ページで、アジアでの展示を反対し、署名まで集めているのを知っていたので、大変複雑な思いだったのですが、やはり見たくてチケットを購入しました。
ミュシャの名を初めて知ったのは1982年の「プラハ国立美術館秘蔵名画展」でした。大変心打たれ、そのとき「百合の中のマドンナ(部分)」という絵葉書を買い、今も大事に持っています。当時は、ムハともミュッヒャとも言われていたような…。

今回の展覧会とは話がそれるのですが、30年くらい前に、イワン・レンドルコレクションとしてミュシャの大きめの作品を何点か見たような記憶があります。上野松坂屋だと思っていたのですが、現在ネットでどう検索しても出てこないので、単に記憶違いだったのでしょうか。少し、気になっています。
今回の展覧会。ご紹介記事を頼りに、作品に会えるのを大変楽しみにしています。ありがとうございました。
| くん | 2017/03/08 7:25 PM |

ミュシャ画集等を見ると絵画製作用に撮影された綺麗な白黒写真が有ります。ポスター等のリアルでいて軽やかな装飾タッチは、写真プロジェクター投影を基礎にしたイラストレーションの厳格な仕事の様です。スラブ叙事詩製作で自分の装飾スタイルを否定して歴史上の重厚な持ち味へと変わりますが、撮影された写真には重厚な迫力があった見たいです。今展示はいきなり、大作ですが初期作品の延長上に有るので勇気と覚悟が入りますね…。遠望でも良いのですが、近づいて観るとまた迫真的!場内が暗いので凝視しないと判別できない場景も見られるのですが…。
| PineWood | 2017/04/04 7:13 PM |

くん様、レンドルコレクション、私も観に行きました。
会場の松坂屋の最寄り駅は上野だと思い込んでおり、御徒町まで電車を乗り直したので記憶に間違いないと思います。
あの頃はミュシャの作品を目にする機会は殆どありませんでしたね。上野松坂屋と横浜眦膕阿らいだったでしょうか。
また当時は「ムハ」と表現されていたように記憶しています。
| asaka | 2017/06/08 8:03 PM |










http://bluediary2.jugem.jp/trackback/4647
ミュシャの「スラブ叙事詩」全点の図解 
【ミュシャ「スラブ叙事詩」No1-20 図解 目次】 No.1, No.2, No.3, No.4, No.5, No.6, No.7, No.8, No.9, No.10, No.11, No.12, No.13, No.14, No.15, No.16, No.17, No.18, No.19, No.20 【撮影可能エリアでの写真】 【今までに書いたブログ・HP記事】   ・「
| Art & Bell by Tora | 2017/03/10 4:37 PM |
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