弐代目・青い日記帳 

  
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「茶碗の中の宇宙」
東京国立近代美術館で開催中の
「茶碗の中の宇宙 樂家一子相伝の芸術」展に行って来ました。


http://raku2016-17.jp/

安土桃山時代に樂家初代長次郎によってはじめられた樂焼(楽焼)。今から400年以上も昔のことです。その初代長次郎から一子相伝で現代の十五代樂吉左衞門まで脈々と続いている樂焼。
一子相伝とは、技芸や学問などの秘伝や奥義を、自分の子の一人だけに伝えて、他には秘密にして漏らさないことであり、一子は、文字通り実子でなくても代を継ぐ一人の子であり、相伝とは代々伝えることです。
樂吉左衞門をして「私が生きている間に二度とこれほどの規模の展覧会は開催できない」と言わしめるほど大規模かつ網羅的な樂茶碗の展覧会が国立近代美術館で開催されています。


十五代 樂吉左衞門

通常の展覧会ですと幾つかのセクション(章)に分け、作品を紹介しますが、「茶碗の中の宇宙 樂家一子相伝の芸術」展ではその必要はありません。

なぜなら初代長次郎から十五代吉左衞門まで15名が作り出した茶碗を、文字通り脈々と見せているからです。このシンプルな展示こそまさに樂家一子相伝の芸術を観るのに最も優れていると思われます。


初代 長次郎「黒樂茶碗 銘 大黒」(重要文化財)16世紀
千利休所持伝来

余計なものは極力そぎ落とし、シンプルに見せる。

そう、まさに展覧会会場自体も樂茶碗の世界に倣っているのです。一見物足りなく感じるかもしれませんが、それこそが狙いだと思います。


三代 道入「黒樂茶碗 銘 青山」(重要文化財)17世紀
樂美術館

「茶碗の中の宇宙」展は茶碗好きにとっては夢のような展覧会であり、それこそもう二度とこれだけの数は揃うことありませんので何が何でも観たいはずです。

では、逆に茶碗に興味の無い方にとってはどうでしょう。淡々とならぶ黒や赤の茶碗を眺めても何がどう良いのかさっぱり分からないはずです。自分もどちらかと言えば後者にあたります。

なので、実際に観に行くまでは果たしてどうなのかな〜と心なしか不安でした。しかし、実際に会場で拝見すると茶碗の展覧会であると共に、樂家という非常に特殊な家の400年以上に渡る物語に触れる稀有な展覧会だということに気付かされました。


八代 得入「亀之絵黒樂茶碗 銘 萬代の友」18世紀
樂美術館

八代 得入は18歳で家督を継いだものの病弱であったため26歳で九代 了入に家督を譲ってしまったそうです。そして30歳の若さで亡くなってしまいます。僅か9年しか代を継いだ期間がないため、作品も非常に少ないそうです。

20歳前後で作った作品は、まだまだオリジナリティーを発揮するに至っていません。もし得入が仮に50歳まで樂茶碗を作り続けていたら一体どんな茶碗が出来たことでしょう。そんなことを想いながら拝見してきました。


本阿弥光悦「黒樂茶碗 銘 雨雲」(重要文化財)17世紀
三井記念美術館


五代 宗入「黒樂茶碗 銘 亀毛」17-18世紀 
尾形乾山「銹絵染付松図茶碗」17-18世紀
本阿弥光悦書、俵屋宗達下絵「蓮下絵百人一首和歌巻断簡」17世紀

五代 宗入は樂家初の婿養子。実父の兄があの尾形光琳・乾山の父にあたります。つまり三人は従兄弟同士だったことになります。

さらに、三人の曾祖母は本阿弥光悦の姉にあたるそうで、樂家、尾形家、本阿弥家は血縁関係で結ばれていたのです。

琳派好きの方に樂茶碗を好まれる方が多いのはこうした樂家と琳派の親密な関係があったことに起因するのかもしれません。そもそも乾山が焼き物の道へ進んだのも樂家の影響が大きかったはずです。


十五代 樂吉左衞門の作品

元々は唐三彩から出発した樂家の歴史。初代が極めたモノトーンの世界を現代まで受け継いで来たひとつの家の壮大な歴史と向き合える展覧会です。

4月11日からトーハクでは特別展「茶の湯」もスタートします。何十年分かけて出会う名碗が今年は一気に観られる大チャンスです。

鑑定団で話題の国宝「曜変天目」も観られる!特別展「茶の湯」がすごい

まずは竹橋の「茶碗の中の宇宙展」から。桜が見ごろとなり混雑する前に是非。5月21日までです。図録はAmazonでも購入可能です。
愛蔵版 茶碗の中の宇宙 樂家一子相伝の芸術
千利休のわび茶を表現する「樂焼」の450年を俯瞰する展覧会「樂ー茶碗の中の宇宙」の図録。樂の世界が一冊で分かる決定版。


「茶碗の中の宇宙 樂家一子相伝の芸術」

会期:2017年3月14日(火)〜5月21日(日)
開館時間:10:00-17:00 (金曜日は10:00-20:00)
*入館は閉館30分前まで
休館日:月曜(3/20、3/27、4/3、5/1は開館)、3/21(火)
会場:東京国立近代美術館
http://www.momat.go.jp/
主催:東京国立近代美術館、京都国立近代美術館、NHK、NHKプロモーション、日本経済新聞社
協賛:日本写真印刷
特別協力:樂美術館、国際交流基金
協力:あいおいニッセイ同和損保
公式サイト:http://raku2016-17.jp/

無料シャトルバス運行!
4/11(火)〜5/21(日)の開館中、東京国立近代美術館と特別展「茶の湯」が開催される東京国立博物館の間を無料シャトルバスが運行します。
*乗車には展覧会チケットの提示が必要


MOMATコレクション「美術館の春まつり」もお見逃しなく。


茶碗と茶室―茶の湯に未来はあるか (とんぼの本)

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注:会場内の画像は主催者の許可を得て撮影したものです。
茶碗の中の宇宙とは、全ての装飾や美しい形を捨て、手捏ねによる成形でさらに土を削ぎ落としながら造形を完成させていった茶碗を用い、その茶碗によって引き起こされる無限の世界、正しく宇宙のように果てしなく広い有機的空間のことと捉えています。

つまり、一服の茶を点てます。相手は、その茶を飲みます。その行為により二人の関係の全てが茶碗の中を巡ります。その茶碗の中を見つめながらの人間の思いは、他に想像もできないほどの大きく深い意味を有し、まさに宇宙と呼ぶべき無限の世界が広がるのです。

今から450年前、長次郎という人物によって創造された樂茶碗は、一子相伝という形態で現在まで続いています。一子相伝とは、技芸や学問などの秘伝や奥義を、自分の子の一人だけに伝えて、他には秘密にして漏らさないことであり、一子は、文字通り実子でなくても代を継ぐ一人の子であり、相伝とは代々伝えることです。

この様な考え方で、長年制作が続けられている樂焼は、長い伝統を有していますが、しかし、それらは伝統という言葉では片付けられない不連続の連続であるといえます。長次郎からはじまり15代を数える各々の代では、当代が「現代」という中で試行錯誤し創作が続いています。

本展では、現代からの視点で初代長次郎はじめ歴代の「今―現代」を見ることにより一子相伝の中の現代性を考察するものです。正しく伝統や伝承ではない不連続の連続によって生み出された樂焼の芸術をご覧いただけます。
| 展覧会 | 22:44 | comments(0) | trackbacks(0) |









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