弐代目・青い日記帳 

  
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「シャセリオー展」
国立西洋美術館で開催中の
「シャセリオー展―19世紀フランス・ロマン主義の異才」に行って来ました。


http://www.tbs.co.jp/chasseriau-ten/

フランス・ロマン主義の画家テオドール・シャセリオー(Théodore Chassériau 1819-1856)を紹介する日本で初めての展覧会が国立西洋美術館で開催されています。

シャセリオーと聞いてすぐに作品が頭に浮かんでくる人ごく僅かだと思います。展覧会で見かけることもまずありません。

母国フランスでも回顧展は1933年と2002年の2回しか開催されていないそうです。


テオドール・シャセリオー《自画像
1835年 ルーヴル美術館
Photo©RMN-Grand Palais (musée du Louvre) / Jean-Gilles Berizzi / distributed by AMF

特段絵の才能に恵まれず凡庸な画家だったから注目されないのでしょうか?それはどうやら違うようです。

11歳でアングルに弟子入りを許され、16歳でなんとサロンデビューを果たしている凄腕の持ち主なのです。(容姿には自信が無かったそうですが…)

才能ある画家であるにも忘れられてしまった要因として37歳の若さで夭折してしまったことや、丁度西洋絵画史の転換期に位置していたことなどがあげられます。


テオドール・シャセリオー《泉のほとりで眠るニンフ
1850年 CNAP(アヴィニョン、カルヴェ美術館に寄託)

そもそも、フランス・ロマン主義の展覧会自体開催されることが稀なのに加え、シャセリオーというネームバリューに乏しい画家の回顧展ですので押すな押すなの大行列なんてことはなくゆったりとした時間を過ごすことが出来ます。

そうした環境の中でこそ独特のメランコリックな表情をみせる作品やしなやかで優美な躯体の女性像など一点一点時間をかけ存分に味わえます。


テオドール・シャセリオー《サッフォー
1849年 ルーヴル美術館(オルセー美術館に寄託)
Photo©RMN-Grand Palais (musée d'Orsay) / Adrien Didierjean / distributed by AMF

展覧会の構成は以下の通りです。

1:アングルのアトリエからイタリア旅行まで
2:ロマン主義へ 文学と演劇
3:画家を取り巻く人々
4:東方の光
5:建築装飾 寓意と宗教主題


海外のメジャー美術館からシャセリオー作品が集結している中で、師であるアングルや同時代に活躍したドラクロア。そしてシャセリオーが大きな影響を与えたシャヴァンヌ、モロー、ルドンなどの作品も比較しながら観られるような構成となっています。

《「シャセリオー展」関連画家》
ドミニク・アングル(1780年〜1867年)

ウジェーヌ・ドラクロワ (1798年〜1863年)
テオドール・シャセリオー(1819年〜1856年)

ピエール・ピュヴィ・ド・シャヴァンヌ(1824年〜1898年)
ギュスターヴ・モロー(1826年〜1898年)
オディロン・ルドン(1840年〜1916年)


テオドール・シャセリオー《アポロンとダフネ
1845年 ルーヴル美術館
Photo©RMN-Grand Palais (musée du Louvre) / Philippe Fuzeau / distributed by AMF

ギュスターヴ・モローやルドンといった象徴主義の画家たちにダイレクトに影響を与えたことが知れたのはとても大きな収穫でした。


ギュスターヴ・モロー《アポロンとダフネ》制作年不詳 ギュスターヴ・モロー美術館
オディロン・ルドン《…日を着たる女ありて(連作『ヨハネ黙示録』より》1899年 国立西洋美術館

モローの描いた「アポロンとダフネ」の元ネタがシャセリオーだったとは!古来多くの画家が表現してきたテーマですが、ここまで影響が濃いとは驚きです。

シャセリオーの作品に触れたことで、モローやルドンをもっともっと深く知ることが出来るなんてまさかの展開です。こうした嬉しい誤算が展覧会には待っているので、たとえ知らない画家であっても行く価値は大いにあります。

というか、逆に未知の画家だからこそ観に行かねばならないんですよね。


「シャセリオー展」展示風景

展覧会では他にもオリエンタリズムに言及していたり、ドラクロアとの版画の比較展示をしていたりと初の開催となるシャセリオー展に様々なアプローチで迫っています。

大混雑はしない展覧会ですが、観ておかねばならぬ展覧会であることは疑う余地もありません。2014年にBunkamuraザ・ミュージアムで開催された「シャヴァンヌ展」と同じく見逃すと後悔します。

「シャセリオー展」は5月28日までです。是非!


「シャセリオー展―19世紀フランス・ロマン主義の異才」

会期:2017年2月28日(火)〜2017年5月28日(日)
開館時間:午前9時30分〜午後5時30分
毎週金曜日:午前9時30分〜午後8時
※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(ただし、3月20日、3月27日、5月1日は開館)、3月21日(火)
会場:国立西洋美術館
http://www.nmwa.go.jp/
主催:国立西洋美術館、TBS、読売新聞社
後援:外務省、在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本、TBSラジオ
協賛:みずほ銀行、損保ジャパン日本興亜、野崎印刷紙業
協力:Les Amis de Théodore Chassériau、エステバン、日本貨物航空、日本航空、日本通運、西洋美術振興財団
公式サイト:http://www.tbs.co.jp/chasseriau-ten/

シャセリオー展関連イベント

2017年4月28日 (金) 18:00〜19:00
テオドール・シャセリオーの魅力
「シャセリオー展 19世紀フランス・ロマン主義の異才」の楽しみ方
出演:山田 五郎

詳細はこちらから。

こちらは常設展スペースで開催されているデンマークのスケーエンという土地で活躍した画家たちを紹介する展覧会です。「シャセリオー展」のチケットで観られます。


日本・デンマーク外交関係樹立150周年記念
スケーエン:デンマークの芸術家村

会期:2017年2月10日(金)〜2017年5月28日(日)


カラー版 ヘンタイ美術館
山田 五郎 (著), こやま 淳子 (著)

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注:会場内の画像は主催者の許可を得て撮影したものです。
本展はフランス・ロマン主義の異才テオドール・シャセリオー(Théodore Chassériau 1819-1856)の芸術を日本で初めて本格的に紹介するものです。

アングル門下の異端児テオドール・シャセリオーは、10代の初めに師に入門を許された早熟の天才ですが、ロマン主義の潮流の中でしだいにアングルの古典主義を離れ、独特のメランコリックな情熱と抒情を湛えた作品世界を作りあげていきました。アルジェリアを旅して彼の地の人々や風物を色彩豊かに描いたシャセリオーはオリエンタリスム(東方趣味)の画家にも数えられます。しかしカリブ海のスペインの旧植民地に生まれ、父親不在の寂しさや師との芸術的葛藤を抱えつつ独自の芸術の道を模索したこの画家自身が内面に異邦的(エキゾティック)なるものを持っていました。神話や聖書、シェイクスピア文学の一場面にせよ、東方主題にせよ、あるいは人々の肖像にせよ、いずれの作品にも漂う「エキゾティスム」こそがシャセリオー芸術の本質であり、観る者の心に響きます。

今日ではフランス・ロマン主義を代表する画家に数えられるシャセリオーですが、37歳で早逝したことや代表作の壁画が破壊されたこともあって正当な評価が遅れ、フランスでも回顧展の開催は1933年と2002年を数えるのみです。本展では、ルーヴル美術館所蔵品を中心に、絵画約40点、水彩・素描約30点、版画約10点、写真や資料などによってシャセリオーの画業全体を紹介するとともに、師や仲間、そしてこの画家から決定的な影響を受けたギュスターヴ・モローやピュヴィス・ド・シャヴァンヌらの作品約20点もあわせて展示し、ロマン主義から象徴主義への展開、そしてオリエンタリスムの系譜のなかでその芸術の意義を再考します。今回の展覧会は、フランスでもその作品をまとめて見る機会が少ないシャセリオーの作品世界に触れる絶好の機会となることでしょう。
| 展覧会 | 23:36 | comments(1) | trackbacks(0) |
本当にモローやルドン、シャバンヌ、オーギュスト・ルノワールのエキゾチズムの源流と言う感じがしました。絵画の革新はこう言う伝統の下で開花して行くんだとも思えます…。それにしても常設展示場内のデンマーク近代絵画の解放感も格別でしたね!
| PineWood | 2017/05/25 5:56 PM |










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