青い日記帳 

TB&リンク大歓迎です!
<< October 2019 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>
<< 岡田准一さんの番組「Growing Reed」(J-WAVE)に出演します。 | main | 東京国立博物館の貴賓室へ入って来ました。 >>

「挿絵本の楽しみ」

静嘉堂文庫美術館で開催中の
「挿絵本の楽しみ〜響き合う文字と絵の世界〜」展に行って来ました。


http://www.seikado.or.jp/

文字で構成された書物に挿絵(イラスト)が登場するようになったのは果たしていつごろのことなのか考えたことありますか。

生まれた時から身の回りに「絵本」があり、新聞の連載小説にも挿絵が必ず存在しているそんな絵があって当たり前の生活をしていると、絵の無い本があったなんて信じられないかもしれません。


『纂図互註礼記』
中国・漢鄭玄注  唐陸徳明釈文
南宋時代(12世紀前半〜13世紀後半)刊
静嘉堂文庫蔵【全期間展示】

まずはじめ漢籍に挿絵が現れたのは、中国の官吏登用試験「科挙」の受験参考書として作られたこうした本だそうです。

それまである程度の高い身分の子息しか受験できなかった科挙が一般にもオープンとなり、誰でも受験できるようになるとこうした受験参考書の需要がぐんと高まったそうです。

現在でもそうですが、イラストがあった方が知識として定着しやすいですよね。

しかしこうしたことは当時としては大変エポックなことだったそうです。しかし挿絵入りの参考書で学び科挙に合格し役人に就いた人々は挿絵本に抵抗感が薄れます。徐々に挿絵本が広まっていったのにはそんな理由があるそうです。


「挿絵本の楽しみ」展示風景

どんな文化であっても当時の社会情勢を色濃く反映させるものですが、挿絵本に関しても同じことが言えます。今回の展覧会では挿絵本の種類を大まかに3つに区分し展開しています。

解説書・記録類・物語です。

展覧会の構成は以下の通りです。

錦絵の中の文字
1、神仏をめぐる挿絵
2、辞書・参考書の中の挿絵
3、解説する挿絵
4、記録する挿絵
5、物語る挿絵



『本草図譜』[桃]
岩崎灌園撰
江戸時代・天保15年(弘化元年・1844)頃写
静嘉堂文庫蔵 【全期間展示】

河野元昭館長とトークショーを行った橋本麻里さんイチオシの作品がこちら。これは日本の江戸時代に描かれた植物図鑑ですが、印刷ではなく手で彩色がされている非常に美しいものです。

パラパラと枕元でページをめくっているだけで一日の疲れが取れそうです。

そうそう、橋本さんが仰っていましたが「絵巻」と「挿絵」では形態、目的、読者が違い前者は主にごく一部の特権階級の人向けに物語を描いたものであるのに対し、挿絵本はもっと目的が多岐に渡っていることを指摘されていました。

確かに今回の展覧会構成を見てもそのことが分かります。


『環海異聞』
大槻玄沢編
江戸時代後期(19世紀)写
静嘉堂文庫蔵【全期間展示】

担当された成澤麻子学芸員さんおすすめの一点。当時のロシアの様子を伝える貴重な資料です。こうしたものは挿絵なくして成立しませんよね。

因みに河野館長のおすすめは渡辺崋山の「芸妓図」(重文)だそうです。河野館長今夏の展覧会は音声ガイドのナビゲーターも自ら務めていらっしゃいます。


舞台、テレビドラマなどで活躍中の鈴木麻里さんとのコンビも絶妙でした。

河野元昭館長が新たに開設されたブログ「饒舌館長」こちらも是非チェックしてください!

鈴木麻里さんオフィシャルサイト(ブログも書かれています)


松浦武四郎『知床日誌
江戸時代・文久3年(1863)刊

松浦武四郎展を以前、静嘉堂さんで観たときはそれほど気に留めなかった作品ですが、今回は何故だかとても愛おしく親近感さえ抱きました。

絵って観るときの体調や環境などによって全くイメージ変わってくるものです。そして小さな挿絵から浮世絵、江戸絵画と想像が広がり「繋がり」が見えてきます。

「挿絵本の楽しみ」展は5月28日までです。是非!


「挿絵本の楽しみ〜響き合う文字と絵の世界〜」 

会期:2017年4月15日(土)〜5月28日(日)
休館日:毎週月曜日
会場:静嘉堂文庫美術館
開催時間:午前10時〜午後4時30分(入場は午後4時まで)
http://www.seikado.or.jp/


ウォルター・クレインの本の仕事 絵本はここから始まった-

Twitterやってます。
@taktwi

Facebookもチェック!

この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=4688

JUGEMテーマ:アート・デザイン



注:会場内の画像は主催者の許可を得て撮影したものです。
私たちは普段さまざまな方法で情報のやり取りをしています。しかし、手段はいろいろでも、その中心となっているのは主に文字と画像(絵)であることに変わりはありません。殊に文字と絵が互いに支え合った時、一層その伝達力は強められます。「挿絵本」はまさに文字と絵が同じ所で支え合って成り立っているものです。それは、その時代の人々の、情報に対する多様な要望が反映されたものといえるでしょう。では、私たちは今までどのような挿絵を眺め、味わいながら物事への理解を深めてきたのでしょうか。
本展では、主に日本の江戸時代(17〜19世紀半ば)と、中国の明・清時代(14世紀後半〜20世紀初め)の本の中から、解説書、記録類、物語など多彩な挿絵本を選び、その時代背景と共にご紹介します。絵と文字の紡ぎだすバラエティ豊かな世界をお楽しみください。
展覧会 | permalink | comments(0) | trackbacks(2)

この記事に対するコメント

コメントする









この記事のトラックバックURL
http://bluediary2.jugem.jp/trackback/4688
この記事に対するトラックバック
ナビ派   その全貌と歴史的な意義Les Nabis ボナール、ヴュイヤール、ドニ、セリュジエ、ヴァロットンらを中心とするナビ派の画家たちは、ゴーガンから影響を受け、自らを「ナビ(預言者)」と呼んで、近代都市生活の諸相を平坦フラットな色の面で表す装飾性と目に
静嘉堂文庫美術館で開催中の「挿絵本の楽しみ〜響き合う文字と絵の世界」に行ってきた。この美術館の館長が河野元昭氏に変わり、いくつかの新機軸がみられた。?イヤフォーンガイドが準備されていた。 ?イヤフォーンガイドには館長の説明もあった。 ?大きな図録ではな
挿絵本の楽しみ @静嘉堂文庫美術館 | Art & Bell by Tora | 2017/05/19 11:22 PM