青い日記帳 

  
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「ウォルター・クレインの本の仕事」
千葉市美術館で開催中の
「絵本はここから始まった−ウォルター・クレインの本の仕事」展に行って来ました。


http://www.ccma-net.jp/

ヴィクトリア朝の絵本画家ウォルター・クレイン(Walter Crane 1845-1915)の全貌を紹介する日本で初めての展覧会が千葉市美術館で開催されています。

これまでは親友であったウィリアム・モリスと共に「デザイナー」としての側面を紹介する展覧会は多くありましたが、文字と絵が一体となった「絵本」をはじめに作った絵本作家としてのクレインを体系的に見せるものはありませんでした。

ディズニーの人気コンテンツである『シンデレラ』や『眠り姫』、『美女と野獣』などを誰よりも先に絵画化し絵本として世に最初に送り出したのがクレインなのです。


ウォルター・クレイン『シンデレラ』1873年 
鶴見大学図書館蔵

何事もゼロから創り上げることは大変なことです。クレインの美麗な絵本も始めはまるで違うものでした。

1865年に手掛けた、全ページカラー刷りのトイ・ブック(簡易なつくりの絵本)が人気を博し一躍有名になったクレイン。ABCから諺まで挿絵入りの本で子どもが覚えやすいような工夫がされています。

ラファエル前派のバーン=ジョーンズや社会主義者のモリス・ウィリアムたちと交流をするようになるのもこうしたトイブックの成功があります。


ウォルター・クレイン『眠り姫』1876年 
個人蔵


エドワード・バーン=ジョーンズ「眠り姫―連作『いばら姫』」1972〜74年頃
ダブリン市立ヒュー・レイン美術館蔵

三菱一号館美術館で拝見したバーン=ジョーンズの作品かと見間違えるほど似ていますね。ともに刺激しながら作品を築きあげて行ったのでしょう。

展覧会の構成は以下の通りです。

第犠蓮.レインのトイ・ブック
1 カラー絵本の始まり
2 様式の確立と6ペンス・シリーズ
3 円熟期のシリング・トイ・ブックと合本
第蕎蓮.ラー絵本の仕掛け人エヴァンズとコールデコット、グリーナウェイの絵本と挿絵本
1 エドマンド・エヴァンズの木口木版多色刷の仕事
2 ランドルフ・コールデコットの全トイ・ブック 
3 ケイト・グリーナウェイの創作絵本と挿絵本
第III章 本をデザインする――クレインの挿絵本の仕事
1 初期の児童文学の挿絵
2 「幼子」3部作と『パンの笛』 エヴァンズとともに
3 子どもの本のデザイン
第IV章 クレインの素顔
1 クレインのポートレートと詩集・著作
2 自筆書簡とドローイング 
3 クレインと家族
4 デザインの仕事 
5 クレインとジャポニズム
6 社会主義の普及活動とモリスとの友情


この中で、クレインとともに絵本黄金時代を築いたケイト・グリーナウェイとランドルフ・コールデコットの作品も紹介されているのも見どころのひとつです。比較してみると色々と観えてきます。


ウォルター・クレイン『長靴をはいた猫』1874年
個人蔵

イギリスの知らない昔話が絵本として多数紹介されています。どれも日本語訳がイマイチなのかそれとも元々の話自体が支離滅裂なのか判断つきかねますが、つっこみどころ満載で全て読んでしまいました。

また、ディズニー映画でお馴染みの「アラジン」(アラビアンナイト)がこちらです。


ウォルター・クレイン『アラディンと魔法のランプ』1875年

こんなの「アラジン」じゃな〜い!と叫んでしまいそうになりますが、原作では主人公のアラジンは中国人で、魔法使いはアフリカ出身ですのでこれが正しいのです。ディズニーの影響を受けすぎてしまっている我々には色んな発見のある展覧会でもあります。

最後にあった「社会主義の普及活動とモリスとの友情」も非常に興味深く、また初期のころ浮世絵に接したことが彼の作風を大きく変えたという点など、諸々引っ掛かりのある事柄の多い充実した内容でした。

「ウォルター・クレインの本の仕事」展は5月28日までです。是非是非!


「絵本はここから始まった−ウォルター・クレインの本の仕事」

会期:2017年4月5日(水)〜 5月28日(日)
開館時間:午前10時−午後6時 (入場は午後5時30分まで)
金・土曜日は、午後8時まで開館 (入場は午後7時30分まで)
休館日:毎月第1月曜日(祝日の場合は翌日)
会場:千葉市美術館
http://www.ccma-net.jp/
主催:千葉市美術館
後援:一般社団法人 日英協会
企画協力:マンゴスティン


ウォルター・クレインの本の仕事 絵本はここから始まった-

千葉市美術館が最後の巡回地です。千葉までちょっと遠くて行けないわ〜という方に朗報です。青幻舎さんが一般書籍としてカタログを販売してくれています。

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 ウォルター・クレイン(Walter Crane 1845-1915)は、19世紀後半にイギリスで活躍し、現代の絵本の基礎を築いた重要な画家の一人であり、また、ウィリアム・モリスとともにアーツ・アンド・クラフツ運動を推進したデザイナーとしても知られています。

 1845年、画家の息子としてリヴァプールに生まれたクレインは、木口木版の工房に入りデッサンの基礎を学びます。その後、多色刷木口木版の技術を開発した彫版師・刷師のエドマンド・エヴァンズに才能を見いだされ、二人は1865年に全ページカラー刷りのトイ・ブック(簡易なつくりの絵本)を生み出します。その後、彼らが次々と世に送り出した絵本は高い評価を得て、クレインは子どもの本の画家として一躍有名になります。見開きページ全体の調和を重視したクレインは、絵本そのものの設計に目を向けた最初の画家・デザイナーといえるでしょう。一方で、当時の日本の浮世絵から学んだことも指摘されています。
 1877年以降、クレインはトイ・ブックの仕事から離れますが、生涯にわたって挿絵の分野で数々の傑作を生み出します。その一方で、壁紙、テキスタイル、室内装飾などのデザイナーとして、教育者、画家、熱心な社会主義者として多方面で活躍しました。

 本展は、本の仕事を中心にクレインの芸術を本格的に紹介する日本で初めての展覧会であり、ほぼすべての絵本と主要な挿絵本を網羅する約140点を展観します。またクレインとともに絵本の黄金時代を築いた画家ケイト・グリーナウェイとランドルフ・コールデコットの作品約40点もあわせてご覧いただきます。
| 展覧会 | 23:52 | comments(1) | trackbacks(0) |
天空に天使が並ぶアイデアの独創的作品でも其のルーツはウイリアム・ブレイクの木版画に有りそうです。ウオルター-クレイトンの画風はイラスト画や日本の女流漫画へも大きな影響を与えている見たいですね。フラワー絵本は古くは竹久夢二作品、新しくは萩尾望都等のコミックに似た様なタッチが感じられました…。ウイリアム・モリスとの交流からメーデーのイラストレーションも展示され、社会正義・社会主義時代のの息吹も。美術のジャンルを超えて文才もあって全人なのでした!
| PineWood | 2017/05/26 8:36 PM |










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