青い日記帳 

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「川端龍子展」

江戸東京博物館で開催中の
「生誕120年 川端龍子」展に行って来ました。



告白します。川端龍子のことを「りゅうし」でなく「たつこ」とよんで
勝手に女性画家さん女だと思っていた頃がありました。たらーっ

女の方にしては随分大胆な絵を描くんだなーーと、ひとり感心していました。
こういう思い込みって結構あります。実は。。。悪い癖です。

ほどなくして龍子が「りゅうし」で男性だと分かったときは
自分の絵を観る目がいかにいい加減なものか白日の下に晒された思いでした。
自分で穴掘って入りたかったです。すぐにでも。汗

そんな恥ずかしい負い目を川端龍子に対しては持っているので
堂々と両国へ行くことも中々出来ずにいました。
でも、このままではいかん!とおもい腰上げてやっと足運んで来た次第です。
(下線部分「おもい」は「想い」と「重い」の掛詞ワッ!

さてさて肝心の展覧会ですが、
江戸東京博物館の特別展にしては中々のものでした。
ここ肩透かし喰らうこと多いので、期待値は低めに設定して行きます。

展覧会の構成は以下の通りでした。
・少年時代
・挿絵画家・龍子
・院展時代(1915〜1928)
・青龍社の創立(1929〜1932)
・戦前から戦後へ(1933〜1966)
・晩年の活動

川端について詳しいこと何にも知らない私にとって
少年時代から晩年まで時系列で展示してあるのは嬉しいことでした。

少年時代の絵上手いですよ〜12,3歳で描いたとはとても思えません。
ドラえもんしか描けない自分にとってはもうこの時点で尊敬しちゃいます。

梅ニ鶯」とか「」とか描く対象も大正時代とはいえ渋いです。

そんな川端昇太郎君についてはこんなエピソードも記されていました。
「何か深い思索にふけり、兎に角クラスの中で変わり種であった。」
やっぱりね。。。そうでなきゃ、こんな絵描けませんて!

1950年9月に行われた奥州藤原氏のミイラの学術的調査にインスパイアされ
こんな作品を大人になってから描いているのも何となく納得できます。
」(1951)

速水御舟「炎舞」をちょっと思い出しもしました。

そういえば、大河ドラマ「義経」。ちょうど奥州藤原氏ですねー
(もうちょっと早く観に行けば「源義経(ジンギスカン)」という作品があったようです。残念ながら展示替えしてしまい観られませんでした。)

で、一番今回の展覧会で「ほ〜」と感心し見入った作品は。。。
水族館のような「龍巻」や
とても連作と思えない「海洋を制するもの
チラシに使われている「南飛図」でもなく
これ↓でした。


爆弾散華」(1945)

描かれた年代からもお分かりになる通り
第二次大戦の際に空爆にあった時の様子を描いたものです。
実際、川端の自宅も被害に遭ったそうです。

戦争の悲惨さを表した作品はたくさんあります。

この作品には人が描かれていません。
何も知らずにこの意外と大きな(249x188cm)この作品と対面しても
いたたましい戦争当時の様子を描いた作品とは思えないはずです。

画面には植物や野菜しか描かれていません。
金箔が施された画面は奇妙な明るささえ感じます。

火傷で苦しむ人、泣き叫ぶ子供、怪我を負った兵隊さんではなく
空爆の悲劇や戦争の悲惨さを描くのにあえて草木を選んだ
川端は「何か深い思索にふけり、兎に角クラスの中で変わり種であった。」
そんな学生時代と変っていなかったことよく分かります。

人でなく植物で人の犯した過ちである戦争に対する問いかけをする川端。
(植物には何の罪もないですからね。)

擬人化しているようにも見えなくもないですが、
やはりストレートに植物が空爆で吹き飛ばされる瞬間を描いた絵だと想いました。


以下巡回先です。
茨城県天心記念五浦美術館 2006年1月2日(月)〜2006年2月19日(日)
滋賀県立近代美術館 2006年4月11日(火)〜2006年5月21日(日)

川端龍子 詠んで描いて四国遍路
川端龍子 詠んで描いて四国遍路
川端 龍子
川端龍子は、1885(明治18)年、和歌山市に生を受けました。その生誕から120年目に当たる本年、 近代日本画の異端者、在野の巨人と評された龍子の足跡をたどる展覧会を開催いたします。

川端龍子は、大正時代から昭和40 年代にかけて活躍した日本画家です。「繊細巧緻」な画風が主流で あった昭和初期の日本画界にあって、展覧会という「会場」で、鑑賞者に訴える力を持つ「会場芸術主義」を提唱し、日本画の型を破る奇抜、豪放、大画面の超大作を次々と生み出しました。
本展では、生涯にわたり精力的に活動を続けた龍子の画業を、生い立ち、挿絵画家の活動から院展 時代、青龍社時代、戦前戦後を経て晩年の活動に至るまで、代表作などを通して振り返り、近代日本の 画壇において稀有な存在であった一画人の足跡をたどります。
龍子が当初、生活の糧としていた雑誌の挿絵や双六、龍子が創設した青龍社時代の作品を中心とした 約130点を展覧します。このなかには、横幅3.5mから28mの超大作十数点や、未公開のスケッチが含まれます。これら超大作をゆっくり鑑賞できるような会場構成にします。
「龍子の前に龍子はなし、龍子の後に龍子はなし」と評され、近代日本画の異端者、在野の巨人と言われた龍子の「会場芸術主義」の神髄をご堪能ください。
展覧会 | permalink | comments(15) | trackbacks(5)

この記事に対するコメント

Takさん、こんばんは。川端龍子の大作絵画を楽しまれて何よりです。“夢”は蛾を描いた近代日本画としては、御舟の“炎舞”と双璧です。一番手前の大きな薄青色と真ん中の黒、そして、右端の白の蛾が鮮やかです。“爆弾散華”は私も気に入ってます。輝いてましたね。Takさん、いいとこ見られてます。

それと、“海洋を制するもの”の溶接作業の炎で体が熱くなりませんでした?凄い絵です。こういう絵を描いた日本画家はほかには横山操しかいません。二人は一時期同じグループにいました。

今回、“潮騒”における岩の描き方をみて、ふと棟方志功の鯉の絵を思い出しました。絵画は少々細部の描き方が粗くても、本質が捉えられておれば観る人に感動を与えられるということを。1/2からはじまる五浦美術館に追っかけてる作品(天橋図)が出品されますので、またクルマを走らせるつもりです。
いづつや | 2005/12/05 11:43 PM
おはようございます。
千葉市の『ミラノ展』も、川端龍子も気になっていけない展覧会でした。レポート拝読できて嬉しいです。
家の近くに川端龍子記念館がありますが、こういう地味なところでは大きな展覧会やらないものです。(スペースとれないからかな)
今年の6月に館の所蔵する北斎の『冨獄三十六景展』があり、龍子の『怒る富士』が同時に展示されていました。館のすぐ目の前には龍子のアトリエ(家屋)が残されて観覧できます。
あ、Takさんも『義経』ご覧になっているのですか。
tsukinoha | 2005/12/06 5:55 AM
間違えて「ドイツ写真の現在」でTBしてしまいました。申し訳ありません。削除していただければと思います。よろしくお願い致します。

川端龍子にコメント、TBして頂き有難うございました。
とてもいい展覧会でした。もう少し展示作品が多いともっと良かったのですが......
mako(雑感ノート) | 2005/12/06 12:53 PM
@いづつやさん
こんばんは。

爆弾散華はタイトルからして意味深いものありますね。
他の作品は会場の狭さからさがって遠くから
見られなかったのですが、この作品は結構それが可能でした。
しかし、いづつやさんに褒めていただけるなんて
自分も多少は見る目養われてきたでしょうか。
嬉しいな〜

五浦美術館は天気の良い日に行かれるのがよろしいかと。
あの太平洋に面した景色とともに作品を堪能できます。
五浦観光ホテル別館大観荘は日帰り入浴も可能ですので
お立ち寄りになってはいかがかと。

@tsukinohaさん
こんばんは。

『義経』はおいしい回だけつまみ見してます。
安宅関は歌舞伎とまた一味も二味も違って
楽しめました。意外とああいうベタな話好きなんです。
だから「忠臣蔵」も毎年見てしまいます(^^ゞ

川端龍子記念館からの出展が多かったので
これは行かなくては!と思いました。
こうして行きたい場所がどんどん増えていくありさまです。
北斎と龍子の「富士」一度に観られたなんて羨ましいです。

@makoさん
こんばんは。

あそこの美術館?狭いんですよねー
展示替えしなくても全部展示できる
「箱」でやって欲しかったですね。
まぁ、それでもかなり満足しています。
Tak管理人 | 2005/12/06 11:37 PM
こんばんはtenanaです。
川端龍子展行ってまいりまして、TBさせて頂きました。
私にとっては、そのにある作品から、この人は…と考えさせられ、わかるようで掴めない作家でした。

tenana | 2005/12/07 11:28 PM
@tenanaさん
こんにちは。

コメント&TBありがとうございます。
戸惑いに近い感覚をおぼえる画家さんって
たまにいます。分らないことだらけです。
それでも懲りずに行ってしまうんですけどね。
Tak管理人 | 2005/12/08 7:56 AM
TBありがとうございます。
展示はイマイチですが作品はなかなかでした。
時間があったら五浦美術館に行ってみたいもの。
この時期ならアンコウ鍋がうまいんだけど…
nemo | 2005/12/08 8:07 AM
@nemoさん
こんばんは。

コメントありがとうございます。
イマイチなんですよね〜あそこはいつも。
狭いんです基本的に。
どうしてあんな風に作っちゃったのか不思議です。
バブルの遺産なのに。
アンコウ鍋いいですねーー食べたい!!
Tak管理人 | 2005/12/08 10:39 PM
Takさん、こんばんは。
「爆弾散華」(←タイトルがまたいいです)、目を惹きましたね!
自宅が空襲に遭うなんてことになったら、普通の人はぱにくって自分
の生活やら何やらのことでいっぱいいっぱいになると思うのです。
が、タツコさん(笑)は、そんな中でもこんな凄い絵を描いてしまう。
しかもTakさんも書いておられたように庭に散らばる草木ですもんね。
こういう感覚を自分は持ち得ないだけに、画家さんってスゴイなぁと
思ってしまいます。
code_null | 2005/12/09 12:18 AM
平日の午前中に行ってきたンですが、作品の前に人の列が出来ていて驚いてしまいました(北斎展ほどでは無かったですが)。

「爆弾散華」の前では、ゾゾゾッと背筋に電気が走りました。
ただただ呆然、というカンジでしょうか。
ちなみにボクは、「草の実」に心を奪われてしまいました。
観ている、そこにいる。
それだけで良い……という感覚は久しぶりでした。

作品が大きいので、図録を作られた方は苦労したンだろうなぁ〜。とDTP職のボクは同情してしまいますw
John DK | 2005/12/09 12:21 AM
@code_nullさん
こんばんは。

「爆弾」に仏教用語の「散華」を付けちゃうセンスが痺れます。
人殺し爆弾に仏のすくい。パラドックスです。
お手伝いさんが二人も亡くなっているんですよね。
川端も危機一髪だったわけで
その時の「興奮」のようなものがどーんと
おもてに出ていてもおかしくないのですが
あえて静かに優しく描いているのはスゴイです。
感服しました。

@John DKさん
こんばんは。

そんなに混雑していましたか〜
北斎展あきらめて流れてきた方とかではないですよね。
まさか。

「爆弾散華」は大きい作品でした。
大きく描く事にも意味があったような気がしました。
遠くから観た時はそこに何が描かれているかわかりませんでしたが
解説読んで「はっ!」としました。

図録立派でしたね。
いい仕事してますか?プロの目からご覧になって。
Tak管理人 | 2005/12/09 6:37 PM
行ってきました、昨日、江戸博に。
ず〜〜っと前、友人の家が大森だったので、龍子記念館に行ったことがあって、なにか鬱蒼とした空気の中、
龍の大きな絵があったことを思い出しました。

どこか、仏様の目がいるような大陸的な、瑞々しい、屏風絵、大作でした。

戦争の空気を現場の血みどろを描かないで、富士山を怒らせ、植物を散華としてまき散らす。
怒りの悲しみの龍子の心を見るようで、切なくなりました。

ウフィッツイにある貝殻の上に立っている花のビーナスを思い出した、白い菩薩様の絵、「花摘雲」もきれいでした。

でも、「夢」が一番の傑作だったような気がします。
速水御舟の炎舞を思うとのコメント、納得致しました。

江戸博の常設も楽しんで、北斎の晩年のぼろ屋で絵を描いているミニチュアがあって、妙にうけてしましました。
日本には、なんてすごい、絵描きがいるのだろう!!
それを見て、こんなに幸せな気分になっている私は、最高に幸せ者です。
コメントする場所をみつけたのも、うれしいです。
Takさんに感謝、感謝です。
あべ松 | 2005/12/11 9:31 AM
@あべ松さん
こんにちは。

今日は何処へもでかけず
珍しく家でのんびりしています。

龍子記念館はまだ行ったことがありません。
今回の展覧会の巡回が終わったら
足を運んでみようと思っています。

展覧会楽しまれていらしたようですね。
日本人の作品はフィルターが海外の画家さんより
少ない分、素直に作品に入っていけます。
好き嫌いもその分はっきりと現れます。
今回龍子をまとめて観られたのはかなりプラスでした。

常設展までご覧になったとなると
かなり体力要したことでしょう。
あそこ広いですからねー
少し企画展スペースに分けてもらいたいほどです。

コメントは気楽にどうぞお書き下さい。
これからも宜しくお願いします。
Tak管理人 | 2005/12/11 2:34 PM
先週大田区郷土博物館へ行ってきました。
現在ある京浜島等の埋立地に林立する工場、流通倉庫群の広大な敷地は昭和14年に計画(勝島・大井競馬場あたり・だけは完成させた)されていたとは驚きでした。
大森の海苔産業と漁業権の問題で計画は戦後に大きくずれ込んだとの事。龍子記念館は大分離れているとの話で本日、アトリエと居宅部分を見学させていただきましたが、その建築物には圧倒されました。伝統的な日本建築の細部にいたる徹底した作りこみはアメリカで見出した日本の美を具現化。(稀有な存在、必見の価値あり!)
大田区中央にこんな偉大な人龍子正しく読める人とどのくらいいますかね


カントン | 2006/11/05 3:59 PM
@カントンさん
こんばんは。
コメントありがとうございます。

大田区郷土博物館へはまだ行ったことがありません。
そんな昔から計画はあったのですね。
全く知りませんでした。勉強になります。

>稀有な存在、必見の価値あり!
ここまで仰られると俄然観たくなります。
中々そちらの方へは行く機会がありませんが
是非とも一度は行ってみたいと思います。
Tak管理人 | 2006/11/05 10:33 PM
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