弐代目・青い日記帳 

  
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「珠玉の香合・香炉展」
静嘉堂文庫美術館開催中の
「〜かおりを飾る〜 珠玉の香合・香炉展」に行って来ました。


http://seikado.or.jp

毎日様々な香り、匂いの中で生活している私たちですが、1000年以上も前から香りを楽しみ愛でる文化と共に歩んできました。

仏教伝来とともに伝えられ、『源氏物語』にも登場するように王朝貴族の間でおおいに用いられ、そして室町、江戸になると茶の湯の世界でも取り入れられるようになった香り。

仏像や絵画または文学作品のように目に見えないものなので、少し縁遠い存在のように感じる香の文化ですが、あらためて見るとそこに込められた日本人の想いがとても強く現れています。


菊蒔絵阿古陀形香炉」 室町時代(15〜16世紀)
静嘉堂文庫美術館蔵
【全期間展示】

さて、香の展覧会と言っても先程来から申し上げている通り、目に見えない香を展示することは出来ません。よって今回の展覧会では香りを焚く道具であった「香炉」と、香りを入れておいた「香合」を展示紹介しています。

念のため、Wikiで簡単に「香炉」と「香合」について。

香炉(こうろ)とは、固体状の香料を加熱し、香気成分を発散させる目的で用いる器である。 日本の仏具において灯明(燭台)・花瓶(花立て)とともに三具足(五具足)のひとつとされる。

香合(こうごう)とは、香を収納する蓋付きの小さな容器。茶道具の一種であり、また仏具の一種でもある。



織部六角蓮実香合」美濃窯 
桃山〜江戸時代(17世紀)
静嘉堂文庫美術館蔵
【全期間展示】

静嘉堂文庫美術館には約100件の香炉と、約250件の香合を所蔵されているそうです。その中から名品約110件を選んで展示。12世紀(平安時代)の香炉から明治初期の香合まで実に多彩な顔触れです。

それにしても、決して広くはない静嘉堂の展示室に110件もの作品が展示出来るものなのかと、少々不安だったのですが、会場で実際に作品を観て納得しました。ひとつひとつがとても小さく可愛らしいのです。

「小さきものはみなうつくし」と思わず口にしてしまうはずです。


「香合・香炉展」展示風景

展覧会の構成は以下の通りです。

プロローグ
香炉(ほか茶道具)
香合
・漆芸香合
・陶磁香合
特別出品(曜変天目)



交趾狸香合」 中国・漳州窯(田坑窯) 
明時代(16世紀末〜17世紀前半)
静嘉堂文庫美術館蔵
【全期間展示】

交趾(こうち)とは中国、福建省 章州窯で作られたもの。つまり舶来品です。現地ではどのような用途で用いられていたのか今となっては知るすべもありませんが、蓋つきの小さな入れ物にはきっと大事なものを入れてあったに違いありません。

江戸時代には、「交趾船」(交趾は、ベトナム北部の地名とされる。そのあたりから航行してきた船らしい)で運ばれてきたそうです。(中国→東南アジア→交趾船→日本というルート。)

こうした狸の姿をしたユニークな形状のものから、エメラルドのような深い輝きを湛えた美しいものまで実に様々なものが日本人の見立てにより香合として大事にされたのです。


形物香合相撲』 江戸時代・安政2年(1855)刊
静嘉堂文庫美術館蔵
【全期間展示】

香合の価値を相撲の番付風に記した貴重な資料によると、ほとんど舶来品が上位を占めています。中には遠くオランダからやって来た(デルフト焼き)のものまで記されています。

井戸茶碗のように、本来別の用途で使っていたものを日本では大変有難がり茶道具の名品として扱いました。それと同じ感覚がこの香合にも適用されたのではないでしょうか。

そうそう、外国からもたらされた茶道具といえば「曜変天目茶碗」を忘れるわけにはいきません。日本のみならず世界にたった3点しか現存しない曜変天目のうちのひとつを静嘉堂さんが所蔵しています。


国宝 「曜変天目」(「稲葉天目」)
中国・建窯 南宋時代(12〜13世紀)
静嘉堂文庫美術館蔵
【全期間展示】

初めてご覧になる方も何度か目にしたことのある方も、今回の展示はスペシャルです。なにがどう特別かというと、曜変天目の展示台(展示ケース)の高さがぐんと低くしてある点です。

百聞は一見に如かず展示室の様子をご覧あれ。



左側の独立ケースに曜変天目が鎮座していますが、展示台の高さがとても低いことに気が付かれたはずです。トーハクで開催された「茶の湯展」に比べると30儷瓩低くなっています。

これにより、曜変天目の一番の見どころである見込み(茶碗の内側)の蠱惑的な輝きが背伸びする必要なく存分に堪能できます。

何度もこの曜変天目を拝見してきましたが、今回ほど見込みの模様がはっきりしっかりと見えたことはありません。今何かと話題の曜変天目をこんな贅沢に鑑賞できるなんて…長生きはするものです。

閑話休題。さて最後にイチオシ作品を紹介して終わりにしたいと思います。


重要文化財 「色絵法螺貝香炉」野々村仁清作
御室窯 江戸時代(17世紀)
静嘉堂文庫美術館蔵
【全期間展示】

見応えのある小さな作品が並ぶ中に30cm以上はある「ウミウシ」のような奇怪な香炉が展示されています。静嘉堂のサイトやチラシ、そしてこの画像で見る限りどこに魅力があるのか、その良さがさっぱり伝わらない香炉です。

しかし、実物を前にすると尻込みしてしまうほどキラッキラに輝いています。全体が。仁清は絵具に金彩を施して観る角度によって多種多様な輝きを見せる工夫をしています。

絵画ではよく経験していることですが、こうした焼物もやはり画像では観たことにならないことをあらためて実感しました。野々村仁清作「銹絵白鷺香炉」もまた別の意味で実物を目にし驚きました。

小さくうつくしい香炉、平安朝の面影を感じ取れる香炉。そして国宝「曜変天目」!「珠玉の香合・香炉展」は8月13日までです。是非。

静嘉堂文庫美術館館長の河野先生が書かれているブログ「饒舌館長


「〜かおりを飾る〜 珠玉の香合・香炉展」

会期:2017年6月17日(土)〜8月13日(日)
休館日:月曜日(7月17日は開館)、7月18日(火)
開館時間:午前10時〜午後4時30分(入場は午後4時まで)
会場:静嘉堂文庫美術館
http://www.seikado.or.jp/

トークショーやワークショップも要チェックです!

2017年7月9日(日)午後1時30分〜
題目:「香炉と香合−日本人が愛でた香りの道具」
講師:小池 富雄 氏(鶴見大学 文学部文化財学科 教授)

2017年8月5日(土)午後1時30分〜
題目:「香りの文化史」
講師:畑 正高 氏((株)松栄堂 代表取締役社長)

◆【河野元昭館長と“特別ゲスト”とのおしゃべりトーク!】
2017年7月23日(日) 午前11時00分〜
テーマ:「私の好きな茶道具ベスト10!<曜変入ってます!>」
講師:河野元昭(静嘉堂文庫美術館長)
特別ゲスト:赤沼 多佳 氏(三井記念美術館 参事)
地下講堂にて先着120名様(当日開館時より整理券配布)
※整理券はお1人様につき1枚のみの配布


曜変天目とほぼ同寸・同重量で作られた茶碗を展示室で実際に手にとることが出来ます。これは長江惣吉氏作成のもの。曜変天目と同じ土を中国から輸入し曜変天目の再現に挑んでいる方です。

◆ワークショップ
A:匂い香づくり体験
日時:7月1日(土)
1)午前10時30分〜
2)午後1時〜
3)午後3時〜

所要時間:約60分
定員:各回30名様(予約優先)
会場:地下講堂
教材費:1,620円(税込)
※別途当日有効の入館券が必要です。
担当:香老舗 松栄堂

B:香のしおり作り(子供向けプログラム)
日時:7月29日(土)
1)午前10時30分〜
2)午後1時〜

所要時間:約30分
定員:各回20名様(予約優先)
教材費:540円(税込)
※別途当日有効の入館券(小中学生は入館無料)が必要です。
担当:香老舗 松栄堂


古伊万里 IMARI ジャパノロジー・コレクション (角川ソフィア文庫)

テレビ東京「開運!なんでも鑑定団」にご出演されている著名な陶磁研究家・森由美さんの著書です。

Twitterやってます。
@taktwi

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注:会場内の画像は主催者の許可を得て撮影したものです。
古くは仏前に芳香を献ずるものであった香の文化は、インドや東南アジアから仏教伝播とともに広がり、わが国へ伝えられました。香合(こうごう)・香炉(こうろ)は、室町時代の「唐物(からもの)」賞玩の文化のなかで格式高く扱われ、香りを“聞く”香道具としても発展し、茶道具にもとり込まれていきました。
“茶の湯”で炭点前(すみでまえ)に用いられる姿愛らしき「香合」は、茶席に飾られる機会も多く、格別人気の茶道具です。香合は炭点前の成立(16世紀末頃)とともに香炉からはなれ、しだいに自由な素材と造形のものを登場させます。漆芸香合から、和物の陶磁香合、中国へ注文された染付や赤絵の香合などがその例で、江戸初期よりその種類はじつに多様となりました。
本展では、静嘉堂所蔵の漆芸・陶磁香合から優品を精選し、香炉の名品―重要文化財の野々村仁清(ののむらにんせい)作の色絵香炉、中国陶磁の至宝である南宋官窯(なんそうかんよう)の青磁香炉、豪華な蒔絵(まきえ)の「香道具」もあわせ、約100件を公開いたします。
かおりを包み、運び、人の眼を楽しませ、“かおりを飾って”きた器の数々を、緑濃い初夏の季節、どうぞお楽しみ下さい。
| 展覧会 | 23:14 | comments(1) | trackbacks(0) |
こんにちは。トークショー&ブロガー内覧会の様子をブログにアップしました。どうもありがとうございました。
とてもかわいくて楽しい展覧会なので、できるだけ多くの人に見てもらいたいです。
| ostundwest | 2017/06/24 4:58 PM |










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