青い日記帳 

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「水のごとく」4

私達は「唯識」という先人の遺産を持つ。

四、五世紀のインドの学僧、弥勒によって創始された唯識派の流れを汲み、唐の基を開祖とする法相宗は唯識派とも呼ばれ、長い時をかけて「唯識」を育んできた宗派である。

日本には六五三年に玄装の教えを受けた道昭によって伝えられた、興福寺と薬師寺を大本山とする南都六宗の一つである。

眼耳鼻舌身意の六識と末那識と阿頼耶識を立て、一切存在は心の創り出した仮の姿であり、識より他に事物的存在はないとする。

識を高みへと導く道筋を、段階を追って示し、同時にそこへ至る方法論を説く。

これは今から遡ること千五、六百年前に作られた正に東洋の深層心理学であり、フロイトやアドラーは元よりユングやウィルバーの心理学でさえまだ届かぬ宇宙を有している。

この様な唯識は二十一世紀を生きる重要な羅針盤になると私は思っている。

しかしここでもまた私達は自身の持つ知的財産に対する無知と無関心を見る。

日本に於いて心理学といえば全て西洋心理学であり、東洋に心理学が、況して深層心理学があることを知る人は少ないといえる。

その様な人々がそれを知るのは西洋が発見した時であり、それまでは目の前に在りながら、その存在に気付くことはない。

西洋が作った鏡に映ったその姿が彼等の評価を受けた時、始めて自身の持つものの価値を知る。

これは今に始まることではなく、曾ては中国という鏡が唯一の価値基準であった時代を歴史に見ることができる。

もう私達は己を映す鏡を自らの手で創り出さなければならない時に来ていると思う。


日本は地理的に文化の吹き寄せる位置にある。

古来より印度、中国、朝鮮そして西方や南方の文物が次次と流入し混交を繰り返してきた。

私達の先達はそれを長い時を掛けて昇華してきたのである。

その熟成にどれ程の世代が関わり膨大な時が流れたことか。

時代は下り、室町そして江戸期を迎え、初めて雛形のない国造りや文化の萌芽を見ることになる。

この時代にそれは百花繚乱の時を迎え、日本人の美意識や価値観が形となって表れた。

それは縄文をルーツとし、幾多の文化の混交を経てやっと花開いた日本の文化であった。

しかし私達は文明開化の声と共にいとも簡単にそれらを捨て去ってしまう。

八雲が心をあれ程震わせ、それが日本人の心から消えていくことを強く憂えたのは何故だろうか。

それは世界に唯一つしかない日本人の手による宇宙がそこにあったからである。

異文化との混交は新しい風を吹き込み、互いの文化の活性化と次なる変化への可能性を育む。

それには自らの文化に対する揺るぎない軸足が不可欠となる。

しかし日本の近代化は西洋化することと同義であった。

それは文明的後進は文化的後進であるという誤謬によって益益加速し徹底することとなった。

こうしてまたしても雛形を外に求めたのである。

author :岡田真宏



日本の美 三千年の輝き 
ニューヨーク・バーク・コレクション展
東京都美術館で2006年1月24日(火)〜3月5日(日)開催。
ニューヨーク在住のメアリー・バーク夫人が40年あまりの年月をかけて収集した日本美術のコレクションを紹介します。このコレクションは1985年に一度大々的な規模で日本に里帰りし、東京国立博物館、石川県立美術館、名古屋市博物館、浜松市美術館、MOA美術館で展観されました。

それから15年たった2000年3月「夢の架け橋」展と題して、ニューヨーク・メトロポリタン美術館において同コレクションを紹介する展覧会が開催されました。15年の歳月を経てさらにコレクションはその数、内容を充実させ、その後においても収集は今日に至るまで続いています。

縄文時代から江戸時代までの絵画、書跡、彫刻、陶磁器、漆工の各分野にわたる多岐多彩な展示作品は、外国人の眼を通して欧米各地で収集されながらも、私たち日本人にその優れた審美眼により日本美術の本質を問い直すことのできるものが選択されています。日本では2回目になる今回の展覧会では、新しく収集された初里帰りの作品を含めた116点を一堂に展観します。

Bridge of Dreams: The Mary Griggs Burke Collection of Japanese Art
Bridge of Dreams: The Mary Griggs Burke Collection of Japanese Art
Miyeko Murase
メトロポリタン美術館で開催された際のカタログ
その他 | permalink | comments(4) | trackbacks(3)

この記事に対するコメント

Takさま、ハワイよりお帰りなさいマシ。
今年も差し迫って参りました。
「水のごとく」は、私の心にストンと落ちるものがあり、
瑞々しい風が流れます。

続編も心待ちにしております。

シルクロードの終着駅。
そんなところに位置する日本に今年はずいぶん感動をもらいました。
色々な美学が絡まり合って、水のようにキラキラ流れていくことのすごさに溺れそうです。(カナヅチなんです、私・・)

Takさまの深い審美眼に感謝しております。
ご夫妻でどうぞ良いお年をお迎え下さいマシ!

私の方は、主婦と母役が目白押し。
しばし隠れております。
ではまた、来年もよろしくお願い致します★
あべまつ | 2005/12/28 6:27 PM
@あべまつさん
こんばんは。

「水のごとく」はいつも岡田氏から
聞かせていただいている話を
文章化したものなので、私も
読み返しながら「うんうん」と納得
してしまう点多くあります。

続編は年明けにでもupさせて頂きます。
4,5日と神戸へ行くのでその留守の間に
また「水のごとく」を載せさせていただきたいと考えています。

深い審美眼なんて・・・(^^ゞ
つまらない感想ばかりで
いつもupしていいのやら憚ります。
それでも、すぐに忘れてしまうので
備忘録的にupしています。

明日は我が家も大掃除です。
新年の準備もしないといけません。

どうぞよいお年をお迎え下さい。
そして来年もまた宜しくお願い致します。
Tak管理人 | 2005/12/28 11:16 PM
お久しぶりです。いつぞやTBさせて頂いた小文字の方のtak
です(笑)。

バーク展に行って来たのでその記事をまたTBさせてもらいました。今年もよろしくおねがいいたします。
tak | 2006/01/29 12:31 AM
@takさん
こんばんは。

ハンドルネームが一緒だと
どちらがどちらだか分からなくなりますね(^_^;)

takさんの記事先ほど拝読させていただきました。
5日にでも行って来ようかと思っています。
Tak管理人 | 2006/01/29 12:40 AM
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日本文化について面白いブログを読みました。 Takさんの言うとおり、《日本は地理的に文化の吹き寄せる位置に》あります。 そして、日本は《古来より印度、中国、朝鮮そして西方や南方の文物が次次と流入し混交を繰り返してきた。... 室町そして江戸期を迎え、初
日本文化の無化 | パトス ΠΑΘΟΣ  | 2005/12/27 4:50 PM
「日本の美 三千年の輝き  ニューヨーク・バーク・コレクション展  −縄文から琳
『ニューヨーク・バーク・コレクション展』が、MIHO MUSEUMで開催だ! | 余は如何にして道楽達人になりしか | 2006/01/15 6:06 PM
東京都美術館で開催されているニューヨーク・バーク・コレクション展(1/24〜3/5)に行って来ました! 本展は世界有数の日本美術収集家として知られる、ニューヨーク在住のメアリー
ニューヨーク・バーク・コレクション展 | うぇぶにっき | 2006/01/29 12:25 AM