弐代目・青い日記帳 

  
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「上村松園展」
山種美術館で開催中の
「上村松園―美人画の精華―」展に行って来ました。


http://www.yamatane-museum.jp/

東京国立博物館(トーハク)で長谷川等伯「松林図屏風」、ブリヂストン美術館でセザンヌ「サント=ヴィクトワール山とシャトー・ノワール」を観るとホッとするように、山種美術館で上村松園の美人画を拝見すると得も言われぬ感覚になるものです。

ひとつの美術館に、これほど収まり具合の良い作品もありません。何度も観ているのに全く飽きない理由のひとつなのではないかと思います。中々他のエンタメでこうしたことには出会えないはずです。


「上村松園―美人画の精華―」展示風景

今回の展覧会では山種美術館が所蔵する上村松園作品18点が全て公開されています。しかも第1章でまとめて松園作品だけを紹介しているので、幸せ度がいつも以上に高く感じられます。

山種美術館創立者・山種二氏は、松園が京都から東京へ出てくるたびに、宿から車の手配から面倒をみたそうです。そのご縁もあり日本でも有数の松園作品を有しているのです。


上村松園「詠哥」昭和17年

松園67歳時の作品。絹本(絹地)に彩色された正真正銘のザ・日本画です。描かれた女性のいやらしさを感じさせない美しさは勿論ですが、近寄って観るとあらためて日本画の細やかさ美麗さに気付きます。


上村松園「詠哥」(部分)

上品な着物の色から花模様まで一筆一筆丁寧に描かれているのが分かります。日本画はここまで近寄って観ないとその本当の良さが分かりません。

↑の画像は低画質にしているので、実物はもっと美しく立体的でさえあります。

その絵を見ていると邪念の起こらない、またよこしまな心を持っている人でも、その絵に感化されて邪念が清められる……といった絵こそ私の願うところのものである。

松園は多く絵について言葉を残しています。目を通してみるとなるほどと納得する珠玉の言葉が並んでいます。

それは、女流画家が酷い目に遭っていた時代に(実際に松園の作品も何者かによって傷付けられるなどしています)、凛とした女性であることを誇りに思うような言葉たちです。


上村松園「牡丹雪」昭和19年

芸術院会員陸軍献納画展に出した作品です。戦時中に美人画なんて!と誹謗中傷もあったでしょうが自分の信じるがままに描き続けた松園の気強さを感じさせる一枚です。

技法的にも胡粉でランダムに牡丹雪を表現したり、上部をあえて大きくあけ人物を下の方に配置した絶妙の構図をとるなどよく考え描かれた一枚です。戦時中だからこそ人をあえて小さく描いたのかもしれません。ひとつのメタファーとして。


上村松園「」大正2年

さて、展覧会のチラシ・ポスターに採用されている「蛍」です。いつもは浮世絵との類似性などを探りながら観ていました。

ところが、今回ミュージアムショップで販売されていた、上村松園「蛍」をイメージして制作されたコサージュを目にしたとたん視線はある一点だけを見つめることになりました。


造花工藝作家 岡田歩さんがこの展覧会に合わせ作った新作です。
http://www.ne.jp/asahi/noah/aoyama/

あれ、こんな花松園作品に描かれていたかな…と思いませんか?

それがちゃんと描かれているんです。しかもメインビジュアルの「蛍」に!


上村松園「」(部分)

蚊帳を吊っている女性の仕草や視線の先にあるものばかりに関心が行き、大事なものを観ていませんでした。女性が着ている浴衣の柄がこの百合の花なのです。

岡田さんの造花は、女性の浴衣に染描かれた匹田の百合の花を独自の染色着彩技術を用いて表現しています。(青の濃淡に手染めした花びらの上に、匹田の文様を着彩しています)

是非会場で見比べて下さい。と同時に新たな視線で松園作品と接してみて下さい。

そうそう、山下裕二先生のおススメの見方は松園作品の装丁のバリエーションの豊富さに注目して観ることだそうです。有名な道具屋さん自慢の装丁から、古い着物を用いたものまで実に面白いです。


京都絵美「ゆめうつつ」平成28年

Seed山種美術館日本画アワード2016年展で大賞を受賞した京都絵美さんの作品も、松園作品から連なる美人画として展示されています。いや〜これは良い作品です。再び会えるとは思いませんでした。

書き忘れました…展覧会の構成は以下の通りです。美人画大集合です!

第1章 上村松園―香り高き珠玉の美
第2章 文学と歴史を彩った女性たち
第3章 舞妓と芸妓
第4章 古今の美人―和装の粋・洋装の華


「上村松園展」は10月22日までです。会期が短いのでなるべくお早めに!


「上村松園―美人画の精華―」展

会期:2017年8月29日(火)〜10月22日(日)
*会期中、一部展示替えあり
開館時間:午前10時〜午後5時(入館は午後4時30分まで)
休館日:月曜日
(但し、9/18(月)、10/9(月)は開館、9/19(火)、10/10(火)は休館)
会場:山種美術館
http://www.yamatane-museum.jp/
主催:山種美術館、日本経済新聞社


上村松園全随筆集 青眉抄・青眉抄その後

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「女性は美しければよい、という気持ちで描いたことは一度もない。一点の卑俗なところもなく、清澄な感じのする香高い珠玉のような絵こそ私の念願とするところのものである」と語り、生涯を通じて女性たちの姿を描き続けた上村松園 (1875-1949)。

当館創立者で初代館長の山崎種二(1893-1983)が松園と親しく交流したことから、現在山種美術館には、《蛍》、《砧》などの代表作を含む18点が所蔵され、日本屈指の松園コレクションとして知られています。本展では、これら全点を一挙公開するとともに、さまざまな画家たちによって描かれた女性に注目いたします。

松園以外の作品では、浮世絵師たちによる美人画もご覧いただきます。世界で数枚しか現存しないとされる稀少な鈴木春信《梅の枝折り》などにみる華奢な娘の姿、すらりとした八頭身に流行の着物をまとった鳥居清長の美女たち、喜多川歌麿の艶やかで魅惑的な女性。さらに、秘蔵のコレクションを特別に拝借し初公開する、近年人気の高い月岡芳年の代表作《風俗三十二相》では、芳年ならではのウィットに富んだ女性たちの豊かな表情をお楽しみいただきます。

一方、当館の近代絵画コレクションからは、菱田春草や池田輝方による江戸風俗の女性たち、和田英作、鏑木清方、伊東深水らによる古今の和装や洋装の美人、小倉遊亀、片岡球子ら女性画家が描く凛とした女性たちなど、バラエティに富んだ美人画をご紹介いたします。江戸時代から現代にいたる、多彩な美人画をお楽しみください。
| 展覧会 | 22:41 | comments(1) | trackbacks(0) |
Takさん、こんばんは。私もブログアップしました。
とても素晴らしい展覧会です。「美人画ワールド」をできるだけ多くの方に体験してもらいたいと思います。
| ostundwest | 2017/09/03 10:59 PM |










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