弐代目・青い日記帳 

  
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「素心伝心」
東京藝術大学大学美術館で開催中の
シルクロード特別企画展「素心伝心 クローン文化財 失われた刻の再生」に行って来ました。


http://sosin-densin.com/

何の展覧会なのだかさっぱり見当もつかないタイトル「素心伝心」や、何やら怪しい響きのする「クローン文化財」といった言葉。そしてちょっと不気味なチラシ。

敢えてそうしたのか、定かではありませんが、ゴッホやアルチンボルトそれに運慶といった華々しい展覧会が開催されている上野で最も謎めいたタイトルの展覧会が「素心伝心 クローン文化財 失われた刻の再生」であることは疑う余地もありません。

でもでも、見た目や印象だけで選んでしまうと良い展覧会をみすみす見逃すことになりかねません。「素心伝心」実に素晴らしい展覧会でした。


クローン文化財:法隆寺釈迦三尊像復元
クローン文化財:法隆寺金堂壁画焼損前復元


法隆寺のご本尊・国宝釈迦三尊像を3D計測や3Dプリンターの技術を用いて金銅仏として再現し、さらに、金堂の天井に吊るされた天蓋や欠失した螺髪や白毫、大光背の飛天を復元して展示します。


クローン文化財:法隆寺釈迦三尊像復元
クローン文化財:法隆寺金堂壁画焼損前復元


法隆寺から運び出すことの出来ない仏像や焼失してしまった壁画などを、藝大が開発した高精度な文化財複製技術により再現しています。(クローン文化財)

最新鋭のデジタル技術だけに依存するのではなく、長く培ってきた伝統的なアナログ技術を駆使して再現されています。


クローン文化財:敦煌莫高窟第57窟


クローン文化財:敦煌莫高窟第57窟

世界遺産・敦煌莫高窟の中で「東洋のヴィーナス」と称される第57窟を原寸大で再現。プロジェクションマッピングのように見えますが、全て3Dで再現されています。

四方を壁画に囲まれた空間の中に入るだけで、ここが上野動物園と隣接する場所であることをきれいさっぱり忘れさせてくれます。


クローン文化財:敦煌莫高窟第57窟

正面の仏像だけに目が行ってしまいがちですが、この再現空間が凄いのはその周りの壁面も細部にわたり正確に再現している点です。

朝日が差し込む様子を数分ごとにライティングを変えてみせてくれるのも、とても神秘的です。子どものころに読んだ井上靖の小説の一場面が思い浮かんできました。

展覧会の構成は以下の通りです。

1:日本:法隆寺
2:北朝鮮:高句麗
3:中国甘粛省:敦煌
4:中国新疆ウイグル自治区:キジル
5:タジキスタン:ペンジケント
6:アフガニスタン:バーミヤン
7:ミャンマー:バガン



クローン文化財:高句麗古墳群江西大墓四神図

大塚国際美術館でお馴染みの環境展示。その場所をそのまま再現し体験できる展示方法です。敦煌は無理すれば観に行けても、北朝鮮は不可能です。

高松塚古墳やキトラ古墳に描かれた四神図の源流とも称される、世界遺産・高句麗古墳群の江西大墓玄室の再現展示は是非実際に味わってもらいたいものがあります。こうした世界情勢の時だからこそ。


クローン文化財:バーミヤン東⼤仏天井壁画「天翔る太陽神」

2001年に破壊されたアフガニスタン・バーミヤン東⼤仏の仏龕天井に描かれていた壁画「天翔る太陽神」を復元。こちらも空間全体を再現しています。

再現された空間の両脇には、平山郁夫シルクロード美術館所蔵の関連する作品が展示され、場の雰囲気を盛り上げるのに一役買っています。


柱頭」パキスタン 2-3世紀
平山郁夫シルクロード美術館

普段の美術館や博物館よりも、こうした再現空間で観る方が当たり前のことかもしれませんが、その素晴らしさが一層増して感じられます。

全ての展示を紹介したくなるそんな展覧会です。


さわれる文化財(クローン文化財)
バーミヤン石窟K洞ヴォールト部分 アフガニスタン流出文化財 壁画 仏座像


アフガニスタンから流出した文化財のクローンを展示し、実際に触れることが出来るようになっています。是非その質感を指先で感じ取ってみて下さい。

「素心伝心 ークローン文化財 失われた刻の再生」は10月26日までです。クローン文化財の他、自分の顔を仏像に投影できるユニークな作品も展示されています。

ノーチェックの方も多かったかもしれませんが、この秋の上野へ行くなら藝大美術館も忘れずに!


シルクロード特別企画展
「素心伝心 ークローン文化財 失われた刻の再生」


会期:平成29年9月23日(土)〜10月26日(木)
会場:東京藝術大学大学美術館3F
http://www.geidai.ac.jp/museum/
開館時間:午前10時〜午後5時 金曜日は午後8時まで開館(入館は閉館の30分前まで)
休館日:月曜日(10/9は開館)
主催:東京藝術大学、東京藝術大学シルクロード特別企画展実行委員会、山陰中央新報社、公益財団法人しまね文化振興財団
協賛:株式会社サンエムカラー、東京モノレ−ル株式会社、株式会社東京スタデオ、株式会社谷中田美術、株式会社データ・デザイン、ジャパンドームハウス株式会社、有限会社よしくに、株式会社スペースネコカンパニー、屐印牧洋介設計
企画制作:東京藝術大学COI拠点・ユーラシア文化交流センター・アートイノベーションセンター
後援:株式会社共同通信社、公益財団法人全日本仏教会
特別協力:公益財団法人 平山郁夫シルクロード美術館、立命館大学COIアクティブ・フォー・オール拠点、株式会社JVCケンウッド、ヤマハ株式会社、株式会社竹尾、小川香料株式会社、400年を超える高岡市の鋳物技術と600年を超える南砺市の彫刻技術を活用した地場産業活性化モデルの構築・展開事業推進協議会
助成:日本万国博覧会記念基金、国際交流基金アジアセンター、一般社団法人 東京倶楽部
http://sosin-densin.com/


最後の秘境 東京藝大:天才たちのカオスな日常

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文化財は唯一無二の存在であり、その真正性は本来、複製が不可能です。その一方で、文化財の複製の歴史は古く、文化財の記憶をより広く長く継承したいという思いは、普遍的・根源的なものであるといえます。
東京藝術大学は、劣化が進行しつつある或いは永遠に失われてしまった文化財の本来の姿を現代に甦らせ、未来に継承していくための試みとして、文化財をクローンとして復元する特許技術を開発しました。本展では古代シルクロードの各地で花開いた文化を代表する遺産がクローン文化財として甦ります。
絹の道シルクロードは仏教の道でもあります。インドで生まれた仏教は、シルクロードを通ってギリシア・ローマ、イランなどの文化と融合し、グローバルな文化様式が育まれ、さらに中国において大きな変容を遂げ、東アジア仏教美術の古典様式が形成されました。シルクロード各地の文化財は、それぞれに関係性をもちながら多文化・多様性を体現しており、極めて今日的な意義を有しているといえましょう。
しかし、シルクロードの文化財は現在、様々な危機に面しています。2001年に爆破されたバーミヤン東大仏天井壁画、流出後に第二次大戦の戦火で失われたキジル石窟航海者窟壁画、保存のため一般公開が困難な敦煌莫高窟第57窟、模写作業中に焼損した法隆寺金堂壁画など、この度、再現する作品はいずれも唯一無二の歴史的・芸術的価値が認められながら、惜しくも失われていたり、実物を鑑賞することが難しい作品ばかりです。
クローン文化財の制作にあたっては、オリジナルの精細な画像データを取得し、三次元計測や科学分析を行って、空間・形状・素材・質感・色を忠実に再現します。また、クローン文化財に加えて、生涯にわたりシルクロードを歩き、撮り続けた並河万里の写真や、本展のために現地で撮影した映像、臨場感のある音など、五感でシルクロードの世界を体感いただけます。
本展終了後、クローン文化財の一部は、故国に「帰還」する予定です。シルクロード美術の伝統は残念ながら多くの地域で途絶えてしまいましたが、終着点の日本では幸運にも今日まで継承してくることができました。クローン文化財の「帰還」をとおして、シルクロード美術の道が円環を描き、新たに脈動することを願ってやみません。

| 展覧会 | 23:03 | comments(0) | trackbacks(0) |









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