青い日記帳 

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「運慶展」

東京国立博物館で開催中の
興福寺中金堂再建記念特別展「運慶」に行って来ました。


http://unkei2017.jp/

運慶(生年不詳〜1224年)は生涯に一体どれだけの作品を造ったのでしょうか。今となってはその数は知る術もありませんが、所謂「慶派」も含めると相当数にのぼると思われます。

しかし、運慶が活躍したのは今から800年も昔のことです。現在までその姿をとどめ残されている仏像は30躯前後しかありません。

海外に流出しているものはないとはいえ、奈良だけでなく日本各地のお寺にそれぞれ所蔵されており、それらを一堂に会し展覧会を開くことはこれまで一度も実現しませんでした。


国宝 毘沙門天立像
運慶作
鎌倉時代・文治2年(1186)
静岡・願成就院蔵
写真:六田知弘

実現不可能とされてきた「運慶展」が、開かれると知った時、正直運慶仏は数点だけだろうと思っていました。

ところが、次第にその内容が分かるに従い、これはとんでもない展覧会であることが素人にも肌で感じられるようになりました。

中でも奈良・円成寺の「国宝 大日如来坐像」が出ると知った時は身震いしたものです。運慶の処女作として有名なこの仏像を間近で拝めるのですから、こんな嬉しいことはありません。


国宝 大日如来坐像
運慶作
平安時代・安元2年(1176)
奈良・円成寺蔵

他にもこれでもか〜とばかりに運慶仏を所蔵するお寺や美術館・博物館が「運慶展」に貸し出しています。奈良・興福寺、東大寺、京都・六波羅蜜寺、和歌山・金剛峯寺、神奈川・浄楽寺、愛知・瀧山寺、静岡・願成就院、栃木・光得寺…

長く生きているとこんな展覧会にも巡り合えるのだな〜としみじみと感じつつ半泣きの状態で会場をまず一周しました。

当たり前のように混雑はしていましたが、絵画展とは違いあまり気にならないものです。展示も工夫がなされており比較的高い位置に展示されています。


「国宝 無著菩薩立像・世親菩薩立像」(興福寺・北円堂)と一緒の空間に「国宝 四天王立像」(興福寺・南円堂)が立ち並んでいます。

現在、興福寺南円堂にある四天王立像は、かつて北円堂にあったものと考える説があります。無著菩薩立像・世親菩薩立像と同じ空間に展示することは、大きな意味があるのです。


国宝 四天王立像のうち多聞天
鎌倉時代・13世紀
奈良・興福寺蔵(南円堂安置)
写真:飛鳥園

展覧会の構成は以下の通りです。

第1章 運慶を生んだ系譜ー康慶から運慶へ
第2章 運慶の彫刻ーその独創性
第3章 運慶風の展開ー運慶の息子と周辺の仏師


今年春に奈良国立博物館で観た「快慶展」とは展示の方法が大きく違ったのも印象的でした。快慶展を静とするなら、トーハクの運慶展は動と言えるでしょう。

非常にドラマティックであり、静かにお寺で拝む対象としての仏像ではなく、あくまでも博物館という「劇場」に映えるような見せ方です。


重要文化財 聖観音菩薩立像
運慶・湛慶作
鎌倉時代・正治3年(1201)頃
愛知・瀧山寺蔵
写真:六田知弘

寺外初公開となる「重要文化財 聖観音菩薩立像」も円形の舞台に立ち、360度拝見することが可能となっています。簡単なキャッチコピー的な説明も付けられています。

2周目となると少し冷静さも取り戻し、一対一で運慶仏と対峙出来るようになりました。今回最も心を動かされたのは、「国宝 八大童子立像」和歌山・金剛峯寺蔵だったのは自分でも意外でした。


「国宝 八大童子立像」展示風景

以前、山本勉先生の講演会で伺った

彫眼を使うことで、仏の持つ気高さを表現し、逆に人や天部には生々しさを表現するために玉眼を用いその違いを明確にした。

群像表現として仏像を作る場合は、その群像全体を見据え、その中の仏像たちの相互の関係を考慮し彫眼、玉眼を使い分けたと考えるべきではないか。

これらのお話がようやく理解できました。


国宝 八大童子立像のうち制多伽童子
運慶作
鎌倉時代・健久8年(1197)頃
和歌山・金剛峯寺蔵
写真:高野山霊宝館

玉眼を用い、一体一体に「眼の表情」を見事に与えることに成功している八大童子立像をこんなに近くで比較しながら観られたことが何よりもの収穫でした。

始まってすぐに観に行ったにも関わらず、中々ブログ書けなかったのは、まだ見足りないという思いが強かったかです。来週にでももう一度観に出かけます。

こんな展覧会二度とないですからね。「運慶展」は11月26日までです。


興福寺中金堂再建記念特別展「運慶」

会期:2017年9月26日(火) 〜11月26日(日)
開館時間:9:30〜17:00(入館は閉館の30分前まで)
(ただし、金曜・土曜および11月2日(木)は21:00まで開館)
休館日:月曜日(ただし10月9日(月・祝)は開館)
会場:東京国立博物館 平成館(上野公園)
http://www.tnm.jp/
主催:東京国立博物館、法相宗大本山興福寺、朝日新聞社、テレビ朝日
協賛:あいおいニッセイ同和損保、鹿島建設、JR東日本、大和証券グループ、凸版印刷
協力:神奈川県立金沢文庫、小学館、ビックカメラ
後援:TOKYO FM
http://unkei2017.jp/


運慶への招待

教科書や偉人伝にも登場する「運慶」だが、どこが凄いのか。東京国立博物館の浅見龍介氏が、仏像や仏教の知識ゼロの読者にも理解できるように、懇切丁寧に解説する。運慶仏全31体の写真を完全収録。


運慶 (コミックス単行本)

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注:会場内の画像は主催者の許可を得て撮影したものです。
日本で最も著名な仏師、運慶(生年不詳〜1223)。その卓越した造形力によって、まるで生きているかのような写実性にあふれる像を生み出し、輝かしい彫刻の時代を牽引しました。

運慶が活躍した平安時代から鎌倉時代にかけては、まさに動乱の時代でした。治承四年(1180)に始まった源平の戦いは津々浦々に波及し、やがて政権は貴族から武士へと引き継がれてゆきます。このようななかで運慶は、平家の焼き討ちによって灰燼に帰した奈良の興福寺や東大寺の復興に尽力するとともに、貴族のみならず新興勢力である東国武士からの依頼を受け、仏像を制作したことが知られています。

運慶は奈良、京都に拠点を置いて仏師の工房を率い、多くの仏像を残しました。本展覧会は、運慶と縁の深い興福寺の中金堂が約三百年ぶりに再建されるのを記念して開催するもので、これを機に各地の名品を一堂に集めて展観いたします。

さらに運慶の父である康慶(こうけい)、息子の湛慶(たんけい)、康弁(こうべん)ら親子三代にわたる作品を通じて作風の樹立から次代への継承をたどるとともに、最新の学術研究の成果も盛り込みます。これまでにない規模で、運慶芸術の真髄をたっぷりとご堪能いただける画期的な展覧会になると確信しています。
展覧会 | permalink | comments(1) | trackbacks(0)

この記事に対するコメント

運慶展を観た方にWEB小説「北円堂の秘密」をお薦めします。
少し難解ですが北円堂建立の歴史的背景が分かります。
グーグル検索すれば無料で読めます。
omachi | 2017/10/16 9:04 PM
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