青い日記帳 

  
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「長沢芦雪展」
愛知県美術館で開催中の
「長沢芦雪展 京(みやこ)のエンターテイナー」に行って来ました。


http://www.chunichi.co.jp/event/rosetsu/

2013年に同じ愛知県美術館で開かれた「円山応挙展 ―江戸時代絵画 真の実力者―」から約5年。

機は熟したとばかりに「長沢芦雪展」を応挙展同様に単館(巡回無し!)で開催。日本美術ゆえ長期間の展示は難しいので、開催期間も一か月とまさに超期間限定展覧会。

あべのハルカス美術館で「北斎展」、奈良国立博物館で「正倉院展」そして京都国立博物館の「国宝展」と、とにかくこの秋は、都内を後回しにしても観に行かねばならない重要な展覧会が関西方面で目白押しです。(毎週のように新幹線に乗っているような気がします。)


長沢芦雪「重要文化財 山姥図」1797年頃
厳島神社

円山応挙の弟子であった芦雪は、辻惟雄先生の『奇想の系譜』で一躍名を馳せ、その後の日本美術ブームの牽引役を担って来ました。

2006年秋に放送されたNHKの番組「知るを楽しむ この人この世界」でも芦雪は若冲らと共に取り上げられ、応挙を凌ぐ人気を博するまでに至りました。(放送は『ギョッとする江戸の絵画』にまとめられています。)

初めに抱いた印象(抱かされた印象)は、中々取り除けないもので、芦雪と聞くと「山姥図」のような作品をまず頭に浮かべてしまいます。

でも、絵筆を手にした時から奇想だったわけでは当然なく、絵師として試行錯誤の末にたどり着いた一つの境地であったもののひとつが、プライスさんの「白象黒牛図屏風」のような作品です。


エツコ&ジョー・プライスコレクション「白象黒牛図屏風」1794-99年

芦雪晩年のこうした作品に至るまでの道程を丁寧に見せているのが、今回の「長沢芦雪展」の最も優れた点ではないでしょうか。

展覧会の構成は以下の通りです。

第1章 氷中の魚:応挙門下に龍の片鱗を現す
第2章 大海を得た魚:南紀で筆を揮う
第3章 芦雪の気質と奇質
第4章 充実と円熟:寛政前・中期
第5章 画境の深化:寛政後期



和歌山県串本町にある無量寺の「虎図襖」「龍図襖」(共に重要文化財)

普段は、串本応挙芦雪館にある襖絵を、今回会場で無量寺の本堂を再現し元々あった場所に当てはめ展示しています。

「虎図」「龍図」はそれだけけでもキャラ立ちしている作品ですが、こうして観ると芦雪が何をやりたかったのか、どんな空間を作りたかったのかが一目瞭然です。

勿論、襖の裏面に描かれた芦雪の絵も観られます。迫力満点の「虎図襖」の裏面に描かれている謎解き的な芦雪のユニークな表現もバッチリ観られます。話にはよく聞いていたのですが、本物を初めて見てなるほほど〜と納得。


長沢芦雪「薔薇蝶狗子図」1794-99年
愛知県美術館(木村定三コレクション)

ここで、同時代に活躍した京都の画家たちを整理・確認しておきます。

伊藤若冲(1716年〜1800年)
池 大雅 (1723年〜1776年)
曾我蕭白(1730年〜1781年)
円山応挙(1733年〜1795年)
長沢芦雪(1754年〜1799年)


これで観ると、芦雪は若冲よりもひと世代後という立ち位置だったことが分かります。ここが芦雪らしさを発揮させる要因となっていることは間違いなでしょう。

つまり、「先輩」や師である応挙と同じことだけをやっていては、個を確立できないのです。


長沢芦雪「なめくじ図」1794-99年

ワンコは若冲や応挙も描いていますが、ナメクジは流石に描いていません。それも一筆書きでサラサラ〜と表しています。諧謔を弄するに長けていた芦雪ならではの作品です。

そうかと思うと、真面目に?!絵画の新たな表現実験も行っていたりします。

降雪狗児図」では輪郭線を用いず油絵のような描き方をしています。しかもバックは黒地です。絵具を塗り重ねてワンコの姿を浮かび上がらせ、雪を舞わせているどこか幻想的な雰囲気の作品です。

この背景が黒の実験的な作品が、展覧会でお披露目されるのは今回が初めてだそうです。


長沢芦雪「牧童吹笛図」寛政前〜中期
久昌院

手や指、爪などに墨を付けて描いた所謂「指頭画(しとうが)」です。確かに言われてみると線が定まっていないというか、微妙にバラけています。

酔った勢いで描いたのかと思いきや、意図的にこうした作品にチャレンジしていたのです。「芦雪は一日にして成らず。」この展覧会で最も伝わってくるフレーズです。

「長沢芦雪展 京(みやこ)のエンターテイナー」は、11月19日までです。東京から楽々日帰り出来ちゃいます。お見逃しなきように!!巡回しません。

芦雪の死因は謎に包まれていますが、司馬遼太郎が『蘆雪を殺す』というタイトルで歴史小説を書いています。短編ですがとても面白いので一読あれ。『最後の伊賀者 (講談社文庫)』に収録されています。


長沢芦雪展 京(みやこ)のエンターテイナー

会期:2017年10月6日(金)〜11月19日(日)
開館時間:10:00−18:00 金曜日は20:00まで
(入館は閉館30分前まで)
休館日:毎週月曜日
(ただし10月9日[月・祝]は開館)、10月10日(火)
会場:愛知県美術館[愛知芸術文化センター10階]
http://www-art.aac.pref.aichi.jp/
主催:愛知県美術館、中日新聞社、日本経済新聞社、テレビ愛知
協賛:損保ジャパン日本興亜、トヨタ自動車、野崎印刷紙業
協力:日本航空、JR東海、近畿日本鉄道


かわいい こわい おもしろい 長沢芦雪』 (とんぼの本)
岡田 秀之 (著)

岡田氏の本はこれから先、日本美術を観るにあたり、必ず読んでおかねばなりません。新刊が出たら迷わず買って読みましょう。

愛知県美術館は、「長沢芦雪展」終了後、改修工事のため2017年11月20日(月)から2019年3月31日(日)まで休館となるそうです。


もっと知りたい長沢蘆雪

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江戸時代半ば、18世紀の京都では、経済力を蓄え美意識を高めた町人たちに支えられて、池大雅や与謝蕪村、円山応挙、伊藤若冲、曽我蕭白といった画家たちが活躍し、百花繚乱の相を呈していました。
長沢芦雪(1754-1799)は応挙の門下で若くして高い画力を身につけ、さらに大胆奇抜な発想によって個性を発揮しました。芦雪は人を驚かせ楽しませようというサービス精神に富み、今日では若冲や蕭白と並んで「奇想」の画家と称されています。また一方、芦雪が描く虎や龍が併せ持つ力強さとユーモア、仔犬や烏の人間臭さ、唐子や猿の豊かな表情と時おり見せる深遠な眼差し、そして情感あふれる水墨の風景などには、江戸時代絵画の中でも特に率直に、画家自身の心持ちが表れています。
本展では、エンターテイナー芦雪の多彩な表現を紹介するとともに、奇想の奥にある彼の心境と画境の深化を探ります。代表作とされる和歌山県無量寺の《龍図襖》《虎図襖》は、その両脇二間の障壁画と合わせて同寺のしつらえを展示室で再現し、空間構成の妙を体感していただきます。
| 展覧会 | 22:10 | comments(0) | trackbacks(0) |









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