青い日記帳 

  
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年末年始に読みたい10冊のアート関連本
年末年始、一都三県(東京・神奈川・埼玉・千葉)における、主な美術館と博物館の休館情報を、はるろどさんがブログにまとめて下さってます。



森アーツセンターギャラリー「THE ドラえもん展」と森美術館「レアンドロ・エルリッヒ展」は元旦も休まず開館していますが、基本的に年末年始はお休みの美術館・博物館がほとんどです。

展覧会へ出かけずとも、自宅や帰省先で時間を持て余してしまい方も多いのではないでしょうか。

そこで、年末年始に読んでおきたいアート関連の本を10冊ほどセレクトしてご紹介します。10冊とも発売になったのが新しいものを出来るだけ揃えました。(古い本だと絶版となっていて読みたくても古本でしか手に入らないなんてことあります。)

「アート関連書籍」10冊セレクトするにあたり、内容に偏りなく、なるべく広範囲で「アート」を捉えました。勿論自分が読んで面白かったものだけを紹介します。お気に入りの一冊に出会えれば嬉しいです。

【年末年始に読みたいアート関連書籍10冊】

≪1≫

ギリシャ美術史入門
中村るい(著),‎ 加藤 公太 (著)

今年読んだ美術関連書籍で読んで良かったベスト3に文句なしに入る、中村るい先生渾身の一冊。

西洋美術を観る上で避けては通れないギリシャ美術ですが、中々正しく理解できていないのが実情です。これまでこうした本が無かったことも大きな要因。

「古代ギリシャと西洋美術」についてはじめに語り、ぐいぐいとギリシャ美術の世界へ惹き込んでくれます。

この本を読めば、西洋美術だけでなく、漫画やアニメの登場人物にも深く古代ギリシャ文化が影響していることが分かります。


ギリシャ美術史入門

神々と英雄と人間たちが織りなす造形世界の魅力。
すべての時代の芸術家にとって、参照すべき古典であり乗り越えるべき規範でもあるギリシャ美術。その全体像をやさしく学べる入門書。


≪2≫

古伊万里 IMARI ジャパノロジー・コレクション
森 由美 (著)

戸栗美術館の森由美さんというよりも、「開運!なんでも鑑定団」の森さんと紹介した方が話は早いでしょう。因みにお父様は、中島誠之助さんです。

古代ギリシャの入門書がこれまでありそうでなかったように、日本を代表する古伊万里を学ぶ手ごろな本もこれまでありませんでした。

文庫本サイズでカラー図版もふんだんに使われています。そして何より一番の魅力は森由美さんの分かりやすく優しい語り口です。


古伊万里 IMARI ジャパノロジー・コレクション (角川ソフィア文庫)

日本を代表するやきもの、伊万里焼。その繊細さ、美しさは国内のみならず海外でも人気を博す。人々の暮らしを豊かに彩ってきた古伊万里の歴史、発展を俯瞰し、その魅力を解き明かす、古伊万里入門決定版。

ここから4冊は、展覧会と直接関係の深い本をご紹介します。

「北斎とジャポニスム展」(国立西洋美術館)
2017年10月21日〜2018年1月28日

http://hokusai-japonisme.jp/

≪3≫

かわいいジャポニスム
沼田 英子 (著)

ジャポニスムに関連する書籍は多く存在しますが、堅苦しさを抜きにして「かわいい」という視点であらたに見直してみると、19世紀末のヨーロッパの芸術家たちが何故にそこまで日本の文化に傾倒したかが見えてきます。

ワクワク、ドキドキ、キラキラといった表現を使い解説が見開き一頁でなされています。でも決して初心者向け出ないように思えます。

初めこそそしたオノマトペで西洋美術を捉え間口を広く開けていますが、内容はとてもしっかりとしたものです。沼田さんのご本ですからその辺は当然といえば当然ですが。それにしても皆日本のこと好き過ぎでしょう〜


かわいいジャポニスム

19世紀末、北斎や広重に代表される浮世絵をはじめ、さまざまな日本の美術に色濃く影響を受けた西洋の芸術が生まれ「ジャポニスム」と呼ばれて人気を博しました。本書では、西洋の芸術家が魅了された日本独自の美意識のなかから「かわいい」という感性に脚光をあてました。ジャポニスムの作品のなかで特に「かわいい」と感じられるものを鑑賞しながら、日本と西洋という二つの文化の交流を実感できる一冊です。

≪4≫

北斎への招待
内藤正人(監修)

今年(2017年)は、何かと北斎の話題に事欠かない一年でもありました。これが一過性のブームに終わりそうにないのが、北斎の北斎たる所以です。

この際ですから、葛飾北斎についてきちんと知っておいた方が、2020年に向けても決して損なことではありません。

多数出ている北斎関連本の中で、最も充実しており幅広い知識を得られるのがこの一冊です。(内容のわりにはお値段が安過ぎるのはちょっと心配ですが…)

あ〜小布施行きたい。。。


北斎への招待

葛飾北斎って、実のところ、どこが面白くて、どこが凄いのだろう?
あの有名な「富嶽三十六景」を10倍楽しく鑑賞するポイントや、実は売れて人気が出たのは70歳をすぎてからだったといった豆知識、ゴッホやモネが「HOKUSAI」と言って敬愛した理由、エロくて滑稽な北斎版のポルノ「春画」解説などなど、知識ゼロの人でも楽しめる美術入門書!


「ブリューゲル展」(東京都美術館)
2018年1月23日〜4月1日

http://www.ntv.co.jp/brueghel/

≪5≫

ブリューゲルとネーデルラント絵画の変革者たち
幸福 輝 (著)

ブリューゲルも今年、来年と大きな展覧会が続きます。それにしても日本に居ながらにして極めて数の少ないピーテル・ブリューゲル(1530年頃-1569年)の作品を幾つも観られるのですから、有難いことです。

フランドル地方で起こった北方ルネサンスを代表するブリューゲルについてはもっと深く知っておく必要があると最近とみに感じるようになりました。

幸いなことに関連書籍が何冊か出ているので目を通していますが、中でも幸福先生のこの一冊が一番読みやすく、他の作家との繋がりも分かり、とても役立ちました。

これで「ブリューゲル展」も怖いものなしです!
http://www.ntv.co.jp/brueghel/


ブリューゲルとネーデルラント絵画の変革者たち (ToBi selection)

ブリューゲルを核とし、その足跡の謎と作品世界の魅力に迫るとともに、それらがどのような土壌から生まれ、後世にどのように受け継がれたのかを、テーマ別・時代順に紹介する作品集。同時代のイタリア・ルネサンスとも、デューラーに代表されるドイツ・ルネサンスとも異なる、ネーデルラントならではの表現の軌跡をたどります。

「縄文展」(東京国立博物館)
2018年7月3日〜9月2日


≪6≫

はじめての土偶
武藤 康弘 (監修),‎ 譽田 亜紀子 (その他)

「国宝展」でも抜群の存在感を火焔式土器と共に放っていた土偶。でも、たんにプリミティブだとか、カワイイといった見方だけで済ましてしまっては勿体ない存在です。

そもそも、土偶で何をどう見てよいのか分かりませんよね。「感覚に従い鑑賞すればよいのです」なんて無責任な美術教師は無視して、きちんと土偶と向き合ってみましょう。

そうすると、知らないことザクザク出てきます。顔だけみてもこんなにそれぞれ個性的で違いがはっきりとあります。かなりハマる一冊ですよ。


はじめての土偶

国宝土偶をはじめ、選りすぐりの土偶たちを、大胆かつ楽しいビジュアルで紹介しています。
見るものの心をとらえて離さない圧倒的な存在感をもつ土偶たち。
縄文人の作り出したドッキリな人たちを、ご覧ください。


残りの4冊は、美術をそれほどお好きでない方にもお勧め本ごご紹介します。

≪7≫

香薬師像の右手 失われたみほとけの行方
貴田 正子 (著)

フェルメールの作品がよく盗難に遭うのはよく知られていますが、>奈良・新薬師寺の香薬師立像はなんと3回も盗まれています。

その盗まれた香薬師立像を追うドキュメンタリーがこの『香薬師像の右手 失われたみほとけの行方』です。一部つまり「右手」は発見されているのです。

その発見者こそ著者の貴田さんに他なりません。この仏像の行方を追いかけ調査する過程で右手と出会うのです。こう紹介してしまうと素っ気無いのですが、内容はとてもスリリングで一気読みするに値する一冊です。

しかし今の時代にもこんなことが起こるものなのですね。


香薬師像の右手 失われたみほとけの行方

奈良・新薬師寺の香薬師立像は、旧国宝に指定され、白鳳の最高傑作と言われていた美仏。あまりの美しさから「金無垢でできている」という噂がたち、明治時代に2度盗まれたが、手足を切られ、純金製でないことが分かると2度とも道端に捨てられているのが発見され、寺に戻った。そして昭和18年、3回目の盗難に遭う。
「国宝香薬師盗難事件」は、戦時中の新聞にも報じられ、仏像ファンたちに大きな衝撃を与えた。2度盗まれて戻ってきた像だったが、今回ばかりは発見されず、未だ行方が分からない。
この行方不明の香薬師を見つけ出そうと、元産経新聞の記者である著者が取材を開始。新薬師寺住職の全面的な協力を得た調査では、まるでミステリー小説を地で行くような展開に。その結果、衝撃の新事実が発覚。ついに、「本物の右手」の存在をつかむ……。


≪8≫

怪人 江戸川乱歩のコレクション
平井憲太郎 (著),‎ 本多正一 (著),‎ 落合教幸 (著),‎ 浜田雄介 (著),‎ 近藤ようこ (著)

仕事の机まわりや、自宅のパソコン周辺にもの沢山置いていませんか。次第に書斎の床がほとんど見えなくなるほど我が家はモノで溢れかえっています。

中々捨てられないんですよね、、、大掃除をしても結局元通りだったりします。でも凹むことはありません。江戸川乱歩もまたモノ好きでした。偏愛的に。

帽子だけでもいったい幾つ持っていたのでしょう。そしてコレクションの中にはこんな浮世絵(無残絵)も含まれていてアートファンの心をくすぐります。

出たばかりの新刊ほやほや一冊です。それにしても、とんぼの本シリーズは外れがありませんね。全巻ずらりと揃えたい衝動に駆られます(そしてまたモノが増える…)


怪人 江戸川乱歩のコレクション (とんぼの本)

名探偵もびっくり。RAMPOの夢とまことを映す偏愛品を一挙公開。無残絵、人形、遠眼鏡から帽子、ネクタイまで、終の住処に遺された愛蔵プライベートグッズをたんとお見せしよう。書物で埋め尽くされた伝説の土蔵も隅々までご覧あれ。うら若き女性のヌード写真を納めた秘蔵アルバム帖も初公開だ。没後50年を過ぎた今、怪人の素顔が浮かび上がる。近藤ようこ描き下ろし漫画「お勢登場」は必見!

≪9≫

ハワイアン・プリント・ブック
赤澤 かおり (著)

お正月をハワイで過ごす方も多いかもしれません。ここ最近台湾にはまってしまいすっかりワイキキはご無沙汰になっていますが、何度行っても楽しめる場所ですよね(物価は高いけど)。

ハワイといえば、アロハシャツです。スーツにネクタイの代わりに公の機関の人たちもカラフルなアロハシャツを身にまとっています。

その模様、デザインは実に豊富。この本ではその柄だけに的をしぼり紹介しているある意味画期的な一冊です。

アロハシャツの展覧会は日本でも何度も開催されています。2010年の「ランド・オブ・アロハ展〜ヴィンテージアロハが誘うハワイ〜」は、とても刺激的でした。

たかがアロハシャツ。されどアロハシャツ。歴史と文化がぎっしり詰まっているのです。


ハワイアン・プリント・ブック (ちくま文庫)

ハワイアン・プリントって?! それはあのアロハシャツに代表されるような柄のプリント生地です。
この本では、日系移民のキモノがそのルーツという説もあるハワイのプリントを、110点以上掲載。くり返し表現される鮮やかな熱帯の植物、海を泳ぐ魚、ヤシの木にカメハメハ大王、フラガールにサーファー、陽気な観光客船などなど、見るほど美しいそのモチーフを読み解く一方、さまざまにアレンジされて受け継がれる柄の歴史や、折ネームやハワイアンプリントのクリエイターやコレクターのこともご紹介。
楽しいプリント生地から南の島ハワイの風物や歴史をたどる旅に出かけましょう。


≪10≫

夢から生まれた美術館の物語
関たか子 (著)

自分で美術館を持てたらどんなに幸せなことでしょう。そんな夢を実現させてしまったのが著者の関たか子さんです。

諏訪湖湖畔にたつハーモ美術館の館長を務めています。四半世紀以上も前に自分の美術館を建ててしまった女性がいたのです。

関館長の歩んできた道と、芸術に対する思いがぎゅっと詰まった一冊です。

ハーモ美術館についてはこちらの記事を是非。世界中広しと言えども展示室に自由に使えるマッサージチェアが置かれた美術館はここだけです。


夢から生まれた美術館の物語

アンリ・ルソーやグランマ・モーゼス、アンドレ・ボーシャンなどの素朴画や、欧米画家の名作を所蔵するハーモ美術館。
働く女性が珍しかった時代、生活のために画商の道を選び、諏訪湖畔に美術館を設立させるという夢を叶えた著者が半生を綴る。




さて、それぞれタイプの違う10冊をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。今すぐ読みたくなった本ありましたが。

iPhoneやタブレット端末に向かう時間が増えてしまったかもしれませんが、のんびりと紙の本を手にして活字を目で追うのもたまには良いものです。

他にもお勧めの本ありましたら、TwitterやFBで是非教えて下さいませ。



2018年も皆さまにとって良い一年でありますように。

Twitterやってます。
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| 読書 | 22:52 | comments(3) | trackbacks(0) |
はじめまして!
ブログ、いつも楽しく拝見しています✨

質問というかご相談なのですが、西洋絵画を観るにあたり新約聖書と旧約聖書とギリシア神話をより知っておきたいのですが、おすすめの本などありましたらぜひ教えていただきたいです!
ある程度はわかるのですが、ざっくりわかりやすくおさらいできて、できたら文庫か新書サイズがあれば最高という感じです…入門と中級の間のような…長々とすいません💦涙

10選も参考になりました✨ブリューゲル、来年に向けて読みたいです٩( ᐛ )و
| kico@kkkkkkkkico | 2017/12/27 11:49 PM |

こんにちは。ここで紹介している『ギリシャ美術史入門』はパーフェクトな一冊だと思います。

『図解 聖書と名画』や『知識ゼロからのキリスト教絵画入門』はお値段的にもお買い得かと。
| Tak | 2017/12/31 2:36 PM |

お返事ありがとうございます。

ありがとうございました!
3冊参考にします!
| kico | 2018/01/06 9:55 PM |










http://bluediary2.jugem.jp/trackback/4963
【お知らせ】

↑単眼鏡紹介記事書きました。

おかげさまで重版となりました!


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編集・執筆を務めた『カフェのある美術館 感動の余韻を味わう』(世界文化社)12月に発売となりました。


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青い日記帳(編集)『美術展の手帖』小学館より発売中です。


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「展覧会に出かける前に準備しておきたい5つのこと。」

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フェルメールへの招待
國學院大學文学部教授の小池寿子先生監修。不肖私(Tak)が編集と一部執筆しました。詳細はこちら

【展覧会レビュー】
「2018年 展覧会ベスト10」
かみさんが選ぶ「2018年 展覧会ベスト10」
プロが選ぶ「2018年 ベスト展覧会」
読んでおきたい10冊のアート関連本

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オランダ行って来ました
 

BLUE HEAVEN(本館)

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『AERA』に載りました。

「マウリッツハイス美術館展公式ガイドブック」編集・一部執筆しました

「ザ・シネマ」に寄稿しました。

トークショーに出演しました

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再び日経に掲載されました

「美連協ニュース」寄稿

『アートコレクター』で紹介されました

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