青い日記帳 

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「仁和寺と御室派のみほとけ」

東京国立博物館で開催中の
特別展「仁和寺と御室派のみほとけ ― 天平と真言密教の名宝 ―」に行って来ました。


国宝「阿弥陀如来坐像」平安時代・仁和4年(888) 
京都・仁和寺蔵 撮影=小野祐次
http://ninnaji2018.com/

完全に今年上半期のダークホース的存在の展覧会がこの「仁和寺展」であることは間違いありません。悪いようにはしませんので、なるべく早めに観に行かれることを強く勧めます。

正直自分も葛井寺(ふじいでら)の国宝「千手観音菩薩坐像」(2月14日〜3月11日)が展示される後半からでもいいかなと悠長に構えていました。

怪我のリハビリも兼ねて有難い仏像を拝みつもりで出かけた「仁和寺と御室派のみほとけ」展で、こんなにも長いこと滞在することになるとは夢にも思いませんでした。


国宝「阿弥陀如来坐像」平安時代・仁和4年(888) 
京都・仁和寺蔵 (展示期間:通期展示)

京都の仁和寺と聞くと、まず真っ先に頭に浮かぶのが兼好法師が記した『徒然草』に登場する仁和寺のお坊さんの失敗話です。

石清水八幡宮へお参りに行ったのはいいが、手前で帰ってきてしまった話(第五十二段)や、酒の席で鼎を頭から被り抜けなくなってしまい、無理やり引っこ抜き耳と鼻が取れてしまった話(第五十三段)など、兼好が、仄聞した失敗談が掲載されています。

ここにあげた二つの話には「仁和寺」と記されていますが、仁和寺という表現は出てこない第五十四段もまた、仁和寺のお坊さんの滑稽な話となっています。


仁和寺外観

その『徒然草』第五十四段には、「仁和寺」ではなく「御室」と記されているのがポイントです。今での仁和寺の「御室桜」は有名です。

そもそもこの御室(おむろ)という表現をこの寺にあてるのは、平安時代(888年)に仁和寺を創建した宇多法皇のために設けられた室(僧房・住居)を御室と呼んだことに由来します。

鎌倉時代以降この「御室」が「仁和寺」そのものを指す呼称となり用いられました。そして仁和寺を総本山とし全国約790箇寺で形成される真言宗の一派を「御室派」と呼ぶのです。


「仁和寺と御室派のみほとけ」展会場風景

展覧会タイトル「仁和寺と御室派のみほとけ」には、京都・仁和寺の仏像やお宝を筆頭に、全国に点在しる御室派寺院の仏像が一堂に会する「次は絶対ないからね」というメッセージが込められているのです。

御室派寺院の普段年に一度しか御開帳しないような秘仏をガラスケース無しで展示しちゃっていいのか、こちらが心配してしまいます。しかもそれが一体や二体ではなく平成館を埋め尽くしているのですから、もうどんな状況になっているかちょっと想像できません。

チラシや公式サイトからは、この展覧会の凄さが伝わって来なかったので、行って観て驚嘆したそのギャップが何とも言えませんでした。


秘仏本尊
重要文化財「如意輪観音菩薩坐像」平安時代・10世紀
兵庫・神呪寺蔵 (展示期間:通期展示)

毎年5月18日にのみ開扉される秘仏。

展覧会の構成は以下の通りです。

第1章 御室仁和寺の歴史
第2章 修法の世界
第3章 御室の宝蔵
第4章 仁和寺の江戸再興と観音堂
第5章 御室派のみほとけ


4章、5章が仏像のオンパレードで「運慶」展よりも濃密な空間が形成されています。それに比べ1章などは一見地味なように思えますが、出ているものは滅多にお目にかかれないものばかりです。


国宝「高倉天皇宸翰消息
高倉天皇筆
平安時代・治承2年(1178)
京都・仁和寺蔵
(展示期間:1月16日(火)〜2月12日(月・休))

天皇直筆の書のことを「宸翰」(しんかん)と呼びます。こうした貴重な書が仁和寺には残されているのです。有難くて直視することが憚られる宸翰コーナーは、ある意味でこの展覧会の隠れた見どころだと思います。

またあの弘法大師・空海の直筆の書も仁和寺に伝わっているのです。


国宝「三十帖冊子
空海ほか筆 平安時代・9世紀 京都・仁和寺蔵
(展示期間:通期展示(帖替あり)、1月16日(火)〜28日(日)限定全帖公開)

弘法大師・空海(774-835)が、中国(唐)で書写して持ち帰った経典・儀軌類。早い話メモ書きです。急いで書き写したんだな〜ということがよく分かると共に、何としてでも書写し日本に持ち帰り、教えを広めたいという熱い思いが伝わってきます。

筆に勢いがあるとよく言われますが、それを超越した忘我の域に達した筆使いです。

続く第2章、3章にもたくさんのお宝が待ち受けています。密教修法・孔雀経法を修する際の本尊画像である国宝「孔雀明王像」(2月12日まで)を初めてこの目で観ることか出来ました。次はもうないだろうな〜とかみしめながら舐めまわすように拝見。


重要文化財「金銅火焰宝珠形舎利塔」鎌倉時代・13世紀
京都・仁和寺蔵 (展示期間:通期展示)

今なら、まだ混雑していないので一点一点じっくりと観られます。

途中のショップで気持ちを落ち着かせてから、残り半分第4章、5章に臨みましょう。生半可な気持ちでそのまま進むと後悔することになります。

第4章では、普段非公開の仁和寺の観音堂の33体の安置仏が全て公開されています。それだけではなくお堂の壁画を高精細画像で再現し、まるで空間ごとそのまま京都から瞬間移動させてきたような展示です。


仁和寺観音堂内部を再現。

しかも、このエリアは写真撮影が可能です。大事なことなのでもう一度書きますが、普段は非公開の仁和寺観音堂の仏像全て撮り放題です!

近いうちにもう一度行く際は一眼レフを持って行きます。

そして最後に御室派寺院に伝わる貴重な仏像たちをまとめて紹介する第5章へ突入です。多分この時点で残された体力はあと僅か。振り絞るようにして這ってでも観る気持ちで拝見しましょう。


秘仏本尊
国宝「十一面観音菩薩立像」平安時代・8〜9世紀
大阪・道明寺蔵 (展示期間:通期展示)
全国の御室派(おむろは)寺院の中から、葛井寺の国宝「千手観音菩薩坐像」、道明寺の国宝「十一面観音菩薩立像」、中山寺の重要文化財「馬頭観音菩薩坐像」、神呪寺の重要文化財「如意輪観音坐像」、雲辺寺の重要文化財「千手観音菩薩坐像」などの普段は公開されていない数多くの“秘仏”、さらに明通寺などの仏像ファン待望の名宝が一堂に。
そして、2月14日からはリアル千手観音の異名を持つ国宝「千手観音菩薩坐像」もここに加わります。


国宝「千手観音菩薩坐像
奈良時代・8世紀 大阪・葛井寺蔵
(展示期間:2018年2月14日(水)〜3月11日(日))

一般的に千手観音と言っても実際に千本の腕が表現されているわけではありません。ところがこの葛井寺の国宝「千手観音菩薩坐像」は千本どころか、大手・小手あわせて1041本もの腕があります。勿論他に類例はありません。

これは誰が何と言おうと、仏像ファンであろうとなかろうと絶対に見逃せませんよね。それまでに早く怪我を治さなくちゃ。

ちなみに普段は葛井寺で遠くから拝めるだけです。それがトーハクでは…もう待ちきれませんね。


国宝「千手観音菩薩坐像」撮影=小野祐次
奈良時代・8世紀 大阪・葛井寺蔵
(展示期間:2018年2月14日(水)〜3月11日(日))

兼好法師がもしこの展覧会を目にしたら『徒然草』の記述もきっと好意的なものになっていたに違いありません。

ノーマークだった展覧会かもしれませんが、上半期で一二をあらそうほどの素晴らしい内容です。徐々にSNSなどでも話題になってきています。混雑する前に急いで、できれば前期後期2回観に行きましょう!

特別展「仁和寺と御室派のみほとけ ― 天平と真言密教の名宝 ―」は3月11日までです。是非是非〜


特別展「仁和寺と御室派のみほとけ ― 天平と真言密教の名宝 ―」

会期:2018年1月16日(火) 〜3月11日(日)
※会期中展示替えあり
開館時間:9:30〜17:00(入館は閉館の30分前まで)
(ただし、金曜・土曜は21:00まで開館)
休館日:月曜日(ただし2月12日(月・休)は開館、2月13日(火)は休館)
会場:東京国立博物館 平成館(上野公園)
http://www.tnm.jp/
主催:東京国立博物館、真言宗御室派総本山仁和寺、読売新聞社
特別協力:仁和会
協力:サビア
協賛:光村印刷
公式サイト:http://ninnaji2018.com/


おかざき真里さんの『阿・吽』とのコラボグッズ

人気漫画家のおかざき真里さんが、展覧会のグッズのためだけに描きおろしたスペシャル商品。三十帖冊子を書写する空海の姿が!

またこの他にも空海真筆の「三十帖冊子」の文字もグッズに!書道ファン買い占めに走らないと。


阿・吽(7) (ビッグコミックススペシャル)

日本仏教の要である、比叡山延暦寺の開祖である最澄、弘法大師の名で日本人なら誰もが聞いたことがある空海。最澄x空海 ふたりの天才の物語。

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@taktwi

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この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=4992

注:会場内の画像は主催者の許可を得て撮影したものです。

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御室桜で知られる仁和寺は、光孝(こうこう)天皇が仁和2年(886)に建立を発願し、次代の宇多天皇が仁和4年(888)に完成させた真言密教の寺院です。歴代天皇の厚い帰依を受けたことから、すぐれた絵画、書跡、彫刻、工芸品が伝わります。創建時の本尊である阿弥陀如来像(国宝)は、当時もっともすぐれた工房の作品です。また、高倉天皇宸翰消息(国宝)は皇室との深いかかわりを物語るものです。本展覧会では、仁和寺の寺宝のほか、仁和寺を総本山とする御室派寺院が所蔵する名宝の数々を一堂に紹介します。
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