青い日記帳 

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「ブリューゲル展」

東京都美術館で開催中の
「ブリューゲル展 画家一族 150年の系譜」に行って来ました。


http://www.ntv.co.jp/brueghel/

16世紀のフランドルを代表する画家、ピーテル・ブリューゲル1世(Pieter Bruegel 1525年-1530年頃生 - 1569年9月9日没)。彼の真作とされる油彩画は現在僅か41点しか残っていません。

16世紀のネーデルランドの画家、フェルメールの作品が約35点しか存在しないその稀少性に注目が集まっていますが、ヒエロニムス・ボスやピーテル・ブリューゲル1世も負けず劣らず目にする機会が非常に少ない画家です。

昨年(2017年)同じ、東京都美術館にボイマンス美術館所蔵のブリューゲル「バベルの塔」やボスの「放浪者」が展示され一年と経たぬ間に、新たなブリューゲル作品に再びまみえることが出来るのですから、何とも贅沢な話です。


ピーテル・ブリューゲル1世と工房《キリストの復活》1563年頃
Private Collection, Belgium

気軽に思い立ったら海外の美術館へ行ければよいのですが、中々難しいものがあります。ですが、世界中の美術館や個人蔵の作品が集められ、こうして日本にいながらにして、多くの名作を目にすることが出来るのです。こんな有難いことはありません。

因みに今回の「ブリューゲル展」は東京都美術館をかわきりに、豊田市美術館、札幌芸術の森美術館、広島県立美術館、郡山市立美術館と一年をかけ巡回します。

公式サイト→http://www.ntv.co.jp/brueghel/


「ブリューゲル展」展示風景

今回は、「ブリューゲル展 画家一族 150年の系譜」とあるように、ピーテル・ブリューゲル1世から脈々と繋がるブリューゲル一族の全貌を紹介する内容となっています。

ピーテル・ブリューゲル(父)→ピーテル・ブリューゲル(子)・ヤン・ブリューゲル (父)→ヤン・ブリューゲル (子)・ダフィット・テニールス (子)→アブラハム・ブリューゲル…

狩野派の名前を中々覚えられない以上に、ブリューゲル一族は同じ親子で同じ姓名を名乗っているので、とても厄介です。


ブリューゲル一族 家系図

しかも、ピーテル・ブリューゲル(父)の作品のコピーをピーテル・ブリューゲル(子)が数多く描いていたりするので、ぱっと見ただけでは判別が難しいものがあります。

でもだからこそ、そこが面白いとも言えます。


ピーテル・ブリューゲル2世《鳥罠》1601年
Private Collection, Luxembourg

過去の展覧会で、キャプションにブリューゲルとあるが、はてどのブリューゲルなのか混乱してしまった経験一度や二度あるはずです。

自分もすぐに忘れてしまうので、その都度はて子なのか孫なのか…と思い出すまでに苦労します。

今回の展覧会ではそんな煩わしさから解放し、絵に集中できる一目でわかる案内がキャプション下に付けられています。



感動的な分かりやすさですよね!これ考えた人偉すぎます。もう他の美術館でもブリューゲル作品に皆これに倣って同じようなもの付けて欲しいです。

因みに、入口でもらえる作品リストの表面にも大きくブリューゲル一族の家系図が載っているので、怖いものなしです!

展覧会の構成は以下の通りです。

1:宗教と道徳
2:自然へのまなざし
3:冬の風景と城砦
4:旅の風景と物語
5:寓意と神話
6:静物画の隆盛
7:農民たちの踊り



「ブリューゲル展」展示風景

今回は予習をしている時間が無かったので、飛び込みで観てきました。てっきりブリューゲル1世からその子、孫、ひ孫たちと年代順に展開されるとばかり思いこんでいたので、この構成はとても新鮮でした。

下手に年代順にするよりも、この時代にどのような作品テーマが好まれていたのかを知るには、とても良い構成であり、画家それぞれの得手不得手も分かります。


ヤン・ブリューゲル2世《聴覚の寓意》1645-1650年頃
Private Collection

パトロンたちが、何故こうした主題を好み描かせたのかを考えながら観ると、単に絵を見るよりも数倍も面白い鑑賞体験となり得ます。

今回の展覧会ではそれが随所で出来たことが最も大きな収穫でした。


アンプロシウス・ブリューゲル「四大元素―台地、水、大気、火」1645年頃
個人蔵

これなどは昨年、お隣の国立西洋美術館で開催された「アルチンボルド展」に出ていた「四大元素」の作品と比べて観ると、面白さも倍増です。

因みに、ジュゼッペ・アルチンボルド(1526-1593年)とピーテル・ブリューゲル1世(1525-1569年)と活躍した時期がもろ被りなのも興味深いところです。

そうそう、ピーテル・パウル・ルーベンス(1577-1640年)の優品が一点「ブリューゲル展」に出ていたのも、同じ時代の同じ地方の画家として比較対象するためでしょう。


ペーテル・パウル・ルーベンスと工房
フランス・スナイデルス
豊穣の角をもつ三人のニンフ》制作年不詳
Private Collection

こうした関連する作品と比べて観たり、工房作や共作についての解説も丁寧にされています。また映像を併設した見せ方も斬新でした。

四条円山派や狩野派も同じようでそれぞれ個性豊かな絵師が揃っているのと同じく、ブリューゲル一族も実にバラエティーに富んだ顔ぶれです。それぞれ得意としたジャンルがあったりするのも面白いものです。

中には、大理石にリアルに昆虫を描いたヤン・ファン・ケッセル1世のような変り者もいたりします。


ヤン・ファン・ケッセル1世《蝶、カブトムシ、コウモリの習作》1659年
Private Collection, USA

最期に驚きの事実を。100点以上展示されている作品のうち2,3点を除く全てがプライベートコレクション(個人蔵)です。つまり世界中飛び回り美術館を巡っても今回の作品はほとんど観られないのです。

何に価値を置くかは各人によりますが、この「ブリューゲル展」を見逃すことだけはないように。そうそう、2階展示室は2月18日(日)まで何と写真撮影ができます。

「ブリューゲル展 画家一族 150年の系譜」は4月1日までです。是非是非!


ブリューゲル展 画家一族 150年の系譜

会期:2018年1月23日(火)〜4月1日(日)
休館日:月曜日、2月13日(火)
※ただし、2月12日(月)は開室
開室時間:9:30〜17:30(入室は閉室の30分前まで)
夜間開館:金曜日は9:30〜20:00(入室は閉室の30分前まで)
会場:東京都美術館 企画棟 企画展示室
http://www.tobikan.jp/
主催:東京都美術館(公益財団法人東京都歴史文化財団)、日本テレビ放送網、読売新聞社、BS日テレ
協賛:光村印刷
協力:日本通運、JR東日本、CS日テレ、ラジオ日本、文化放送、TOKYO MX、テレビ神奈川
企画協力:NTVヨーロッパ
特別協力:アルテミジア
公式サイト:http://www.ntv.co.jp/brueghel/


ミュージアムショップ


ブリューゲルの世界 (とんぼの本)
森洋子(著)

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http://bluediary2.jugem.jp/?eid=4997

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注:会場内の画像は主催者の許可を得て撮影したものです。
16、17世紀のヨーロッパにおいてもっとも影響力を持った画家一族のひとつであったブリューゲル一族。一族の祖であるピーテル・ブリューゲル1世は、現実世界を冷静に見つめ、人間の日常生活を何の偏見もなく、ありのままに表現した革新的な画家でした。この観察眼は、子から孫、ひ孫へと受け継がれ、一族の絵画様式と伝統を築き上げていくことになります。
父の作品の忠実な模倣作(コピー)を手掛けた長男のピーテル2世。父の自然への関心を受け継いで発展させ、多くの傑作を残したヤン1世。そして、ヤン2世やアンブロシウス、アブラハムといったヤン1世の子孫たちが、一族の作風を受け継ぎ、「ブリューゲル」はひとつのブランドとして確立されていくのです。
本展は貴重なプライベート・コレクションの作品を中心とした約100点の作品により、ブリューゲル一族と、彼らと関わりのある16、17世紀フランドル絵画の全体像に迫ろうという挑戦的な展示になります。
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