青い日記帳 

  
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「ルドンー秘密の花園」
三菱一号館美術館で開催中の
「ルドンー秘密の花園」展に行って来ました。


http://mimt.jp/redon

日本国内に一体どうしてこんな西洋絵画の名作があるの?!と不思議に思ったことありませんか。

数多く作品を観ていると滅多矢鱈なことでは驚かなくなるのですが、それでも三菱一号館美術館にルドンの幻の大作「グラン・ブーケ(大きな花束)」が入ったと知った時はたいそうビックリしたものです。

それが今とは絵画の価格が桁がいくつも低かった昭和の時代ではなく、平成、西暦も2000年を過ぎてからのことでしたので、まさかまさかと頬を何度もつねりました。


オディロン・ルドン《グラン・ブーケ(大きな花束)》1901年 
パステル/カンヴァス 三菱一号館美術館蔵

縦2.5mもある巨大なパステル画です。何度も三菱一号館美術館で公開されているので目にされたことあるはずです。とにかく圧倒されます。

しかし、美しい色合いとは裏腹に近くで花のひとつひとつを観察してみると、決して美しいだけではないのです。逆にちょっと怖い感じさえ受ける不気味な花も含まれています。

単体でもご飯何杯でも食べられるほど見応えのある「グラン・ブーケ」ですが、この作品と同時に描かれた花の絵が他に15点あり、現在パリのオルセー美術館所蔵となっています。

そうなると他の15点も観たくなるのが人の心。震災後間もない、2012年に三菱一号館にて公開された「グラン。ブーケ」。それから6年が経過しようやくその夢が叶いました。

オルセー美術館から15枚の「兄弟たち」が遠路はるばるやって来てくれたのです。


「ドムシー男爵の城館の食堂壁画」展示風景

もともとこれらの作品は、フランス・ブルゴーニュ地方の美術愛好家のドムシー男爵が、自宅(お城)の食堂を飾る壁画として描かせたものです。

食堂の「欄間」のような部分にも描かれたので、細長いものも含まれており、実にバラエティーに富んでいます。てっきり「グラン・ブーケ」と同じような作品なのかと思っていましたが、良い意味で裏切られたのです。


「ドムシー男爵の城館の食堂壁画」《ひな菊》

花だけでなく、樹木や人物までもが描かれている作品群。ルドンが一括りの仕事として手掛けた作品たちは単品で観てはその魅力の半分も理解できないのではないでしょうか。

実際に食堂の壁をどのように飾っていたのかをスケールダウンさせ一部屋で見せています。



花や植物たちが呼応し、それぞれを高め合っていることが分かるはずです。そして食堂壁の設置位置が高かったこともあり、下から見上げると上手いこと観えるように描かれています。

さて、ドムシー男爵の城館の食堂壁画全点展示!!と『芸術新潮』などにこの展覧会の見どころとして紹介されていたので、そのことばかりが頭にあり、他にどんな作品があるのか全く予習せずに出かけてしまいました。


オディロン・ルドン《キャリバンの眠り》1895-1900年 
油彩/カンヴァス オルセー美術館蔵 
Paris, musée d'Orsay legs de Mme Arï en exécution des volontés de son mari, fils de l'artiste, 1984
Photo ©RMN-Grand Palais (musée d'Orsay) / Christian Jean / distributed by AMF

当然ながら「グラン・ブーケ」と残りの「ドムシー男爵の城館の食堂壁画」だけでは無かったのです。食堂壁画の涙の?!対面に惹かれて行ったら、あらビックリ!謎多きルドンを知るための名作がずらりと展示されていたのです。

しかも、漠然としがちなところを「花」の作品に絞っているところが、この展覧会の優れた点です。ルドンの花がこれまた千変万化するので、観ていて全く飽きないのです。


オディロン・ルドン《『起源』II. おそらく花の中に最初の視覚が試みられた》1883年 
リトグラフ/紙(シーヌ・アプリケ) 岐阜県美術館蔵

ルドン展の構成は以下の通りです。

1:コローの教え、ブレスダンの指導
2:人間と樹木
3:植物学者 アルマン・クラヴォー
4:ドムシー男爵の食堂装飾
5:「黒」に棲まう動植物
6:蝶の夢、草花の無意識、水の眠り
7:再現と想起という二つの岸の合流にやってきた花ばな
8:装飾プロジェクト


ルドンという絵描きは年を経るごとに作風を変えていったことで知られています。「黒の時代」だけの展覧会もかつてBunkamuraで行われました。

そうしたルドンの作風の変化を「花」をテーマに追って見ていける展覧会が「ルドンー秘密の花園」なのです。「グラン・ブーケ」兄弟展では決してありません。


オディロン・ルドン《青い花瓶の花》1912-1914 年頃
ひろしま美術館蔵
オディロン・ルドン《首の長い花瓶にいけられた野の花》1912年頃
ニューヨーク近代美術館(MoMA)蔵

見どころは多くありますが、この2点が並んで観られるのは、もうこの先ないかと思います。

同じ部屋に展示されているシカゴ美術館所蔵の《花:ひなげしとマーガレット》1867年頃やオルセー美術館所蔵の《花々(赤い芥子)》1895年以降といった、一見ルドン作品には思えない初期作品との比較も出来ちゃいます。


オディロン・ルドン《神秘的な対話》1896年頃 
油彩/カンヴァス 岐阜県美術館蔵

なんだかとても贅沢な気分にしてくれる展覧会でした。拝見する前は一切そんな展覧会だと予想していなかったのでプラスへのふり幅がとても大きく好印象を持ちました。きっと行かれるとそう感じるはずです。

そして、ひとつの美術館からざっくりと作品を借りてくるタイプの展覧会との違いがよく分かります。

「ルドンー秘密の花園」展は5月20日までです。これは人気となりそうです(もうなっているのかな?!)混雑する前に是非是非!


「ルドンー秘密の花園」

会期:2018年2月8日(木)〜5月20日(日)
開館時間:10:00〜18:00
※金曜日は20:00まで
※祝日を除く金曜、第2水曜、会期最終週平日は21:00まで
休館日:月曜日
会場:三菱一号館美術館(東京都千代田区丸の内2-6-2) 
http://mimt.jp/
主催:三菱一号館美術館、日本経済新聞社
後援:在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本
協賛:大日本印刷
協力:日本貨物航空株式会社、全日本空輸株式会社
公式サイト:http://mimt.jp/redon


もっと知りたいルドン―生涯と作品

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注:会場内の画像は主催者の許可を得て撮影したものです。
オディロン・ルドン(1840-1916年)は、印象派の画家たちと同世代でありながら、幻想的な内面世界に目を向け、その特異な画業は、今も世界中の人の心を魅了して止みません。なかでも本展は植物に焦点をあてた、前例のない展覧会となります。

本展の大きな見どころは、フランス・ブルゴーニュ地方に居を構えた美術愛好家のドムシー男爵が、ルドンに注文した城館の食堂の装飾画です。完成後、装飾画はドムシー城に秘蔵され、当館所蔵の《グラン・ブーケ(大きな花束)》を除く15点は食堂の壁から取り外され1980年には日本でも公開されましたが、1988年にフランスの相続税の美術品による物納制度により国家所有に帰し、現在はオルセー美術館の所蔵となっています。残された《グラン・ブーケ》は制作後110年目の2011年3月、パリで開催されたルドン展にて初公開され、今日まで当館の所蔵品として幾度か公開してきましたが、本展では、オルセー美術館所蔵の15点と合わせてドムシー城の食堂を飾ったルドンの装飾画が一堂に会す日本初の機会となります。

このほか、世界有数のルドンコレクションとして名高い岐阜県美術館をはじめ、国内の美術館、そして、オルセ美術館、ボルドー美術館、プティ・パレ美術館(パリ)、ニューヨーク近代美術館MoMA、ワシントン・ナショナル・ギャラリー、シカゴ美術館、フィリップス・コレクションなど海外の主要美術館から、植物をモティーフとするルドン作品が来日し、およそ90点により構成する大規模なルドン展となります。
| 展覧会 | 23:09 | comments(1) | trackbacks(0) |
ゴッホの向日葵を観ていて花が顔に見えたり眼に見えた事があります。今回ルドンの室内装飾用の大作ではモノクロームの目玉が描かれた作品と関連して花が眼の様に感じられました…。展覧会図版では版画家の恩地孝四郎の目玉の図像への影響に付いて触れられ、確か「眼に見えない世界を掴もうとするギリギリの眼差しとしての目玉」と云う表現でルドンの詩的世界観が述べられてもいるので興味を惹きました。
| pinewood | 2018/05/19 9:28 PM |










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