青い日記帳 

  
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「ヌード NUDE」
横浜美術館で開催中の
「ヌード NUDE ─英国テート・コレクションより」展に行って来ました。


http://nude2018.yomiuri.co.jp/

英国を代表する国立美術館「TATE」。テート・ブリテン、テート・モダン、テート・リバプール、テート・アイヴスの4つの美術館から成るアートの「巨大組織」です。コレクション数7万点!入館料無料という英国スタイルをTATEも踏襲しています。

常設展示だけではく、魅力的な企画展も年に何度も開催しており、2001年にテート・ブレイテンで開催された「The Victorian Nude」は世界巡回展として、2003年に「ヴィクトリアン・ヌード展」(藝大美術館、神戸市立博物館)として日本でも開催されました。


フレデリック・レイトン「プシュケの水浴」1890年発表


ハーバート・ドレイパー「イカロス哀悼」1898年
アンナ・リー・メリット「締め出された愛」1889年

今回、横浜美術館「ヌード展」の初めのセクションにこの3点が出ていました。最近物忘れが激しくなってきた自分ですが、2003年に藝大美術館「ヴィクトリアン・ヌード展」でもこれらを目にした記憶はしっかりと残っています。

と同時に、もしかしてこれは2003年の「ヴィクトリアン・ヌード展」の焼き回し的な展覧会なのではないか…との心配が頭を過ぎりましたが、答えは「NO」でした。

「ヴィクトリアン・ヌード展」がラファエル前派から印象派のヌード作品で構成されていたのに対し、横浜美術館の「ヌード展」は時代の幅がぐっと現代にまで広がり、21世紀になってからの作品も含まれています。


バークレー・L・ヘンドリックス「ファミリー・ジュールス:NNN(No Naked Niggahs[裸の黒人は存在しない)])」1974年

要するに、神話になぞらえた理想的な女性の裸体だけの展覧会では決してないのが「ヌード NUDE」展の一番の魅力となっているのです。

男性目線のアンバランスな伝統的なヌード表現を打ち破るようなフェミニズムの画家たちによる刺激的な男性ヌード作品も観られます。

展覧会の構成は以下の通りです。

1:物語とヌード
2:親密な眼差し
3:モダン・ヌード
4:エロティック・ヌード
5:レアリスムとシュルレアリスム
6:肉体を捉える筆触
7:身体の政治性
8:儚き身体



〈7:身体の政治性〉展示風景

「ユートピア、すなわち完全な平等、言うなれば平等が無意識に実現している世界では、女性のヌードが問題になることはなかろう。しかし、現実には、女性のヌードは問題を引き起こしている」―リンダ・ノックリン

ヴィクトリア朝の理想化されたヌードから、ポスト印象派、ピカソ・マティスそしてシュルレアリスムへと連なる美術史の流れを「ヌード」を軸に観られるのは、とても新鮮です。

軸が変われば見え方も変化するもので、例えばボナールのこの作品も普段の何十倍も美しく且つ親密な作品として捉えることが出来ます。


ピエール・ボナール「浴室」1925年

しかし、美術史だけで俯瞰すると、展覧会自体が何だか綺麗に収まり過ぎてしまうきらいがあります。

その辺は英国テート発とあって、ちゃんとフォローされており「4:エロティック・ヌード」「6:肉体を捉える筆触」の章など後半は敢えてテーマ別として上手く趣向を変えて魅せています。

今回の「ヌード NUDE」展が、あちこちで評判が良いのは、ここに大きな要因があるのではないでしょうか。

4章にこの作品があったのには驚きました。


ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー「ベッドに横たわるスイス人の裸の少女とその相手」「スイス人物」スケッチブックより 1802年

英国で最も有名なターナーが描いたヌードです。ターナーといえば映画にもなりましたが、専ら風景画オンリーというイメージが強くあり実際に飽きるほど風景画を残していますが、時にこんな覗き見的な男女の営みの様子を描いていたのです。

ロートレックが描いたとなれば別段何も驚くことはありませんが、ターナーにもこうした創作意欲があったとは…水彩でさらさら〜と描いているのもまた雰囲気があります。


フランシス・ベーコン「横たわる人物」1977年
富山県立美術館
フランシス・ベーコン「スフィンクス―ミュリエル・ベルチャーの肖像」1979年
東京国立近代美術館

テート所蔵の作品で構成された「ヌード展」ですが、特別出品として国内にある2枚のベーコンが観られたのも(しかも並べて!)大きな収穫でした。

最終章「儚き身体」にシンディ・シャーマンが出ていたことも嬉しく、そしてあらためて自分の身体というものについて考えさせられるきっかけとなりました。自分自身の身体は、他人しか観ることが出来ないものなのです。大事な顔さえも鑑を通してしか見られません。


ジョン・エヴァレット・ミレイ「ナイト・エラント(遍歴の騎士)」1870年

最後にシドニー、オークランド、ソウルと世界巡回してきた「ヌード NUDE」展ですが、横浜美術館だけでしか味わえないお楽しみもあります。

ミレイの「ナイト・エラント(遍歴の騎士)」を英国へ留学した下村観山がテイトで模写した作品が、横浜美術館のコレクションにあります。


下村観山「ナイト・エラント」1904年

同時開催中の横浜美術館コレクション展「人を描く―日本の絵画を中心に」で、その作品が出ているのです!

これを同じ美術館で観られる機会が来ようとは!長生きはするものです。横浜美術館コレクション展は特別展のチケットでそのまま観られます。「ヌード展」で疲れていてもこちらもお忘れなく。


〈1:物語とヌード〉展示風景

一度で消化しきれないほど多様な作品とそれと考えられた章立てで、立体的に西洋美術におけるヌードを魅せる展覧会です。混雑する前にお早めに。もう一度観に行きます。横浜まで。

ところで、「ヌード展」誰と行きます?!

「ヌード NUDE ─英国テート・コレクションより」展は、6月24日までです。是非!!音声ガイドは人気声優の斎賀みつきさん!


「ヌード NUDE ─英国テート・コレクションより」展 

会期:2018年3月24日(土)〜6月24日(日)
会場:横浜美術館(横浜市西区みなとみらい 3-4-1)
http://yokohama.art.museum
主催:横浜美術館、読売新聞社、テート
協賛:DNP大日本印刷
協力:日本航空みなとみらい線横浜ケーブルビジョンFMヨコハマ首都高速道路株式会社
後援:ブリティッシュ・カウンシルJ-WAVE
展覧会公式サイト:http://nude2018.yomiuri.co.jp/


「ヌード展」特設ショップもヌーディーです!


ART GALLERY テーマで見る世界の名画 5 ヌード かぐわしき夢 (ART GALLERYテーマで見る世界の名画 5)
中野京子

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注:会場内の画像は主催者の許可を得て撮影したものです。
ヌード ─ 人間にとって最も身近といえるこのテーマに、西洋の芸術家たちは絶えず向き合い、挑み続けてきました。美の象徴として、愛の表現として、また内面を映しだす表象として、ヌードはいつの時代においても永遠のテーマとしてあり続け、ときに批判や論争の対象にもなりました。

本展は、世界屈指の西洋近現代美術コレクションを誇る英国テートの所蔵作品により、19世紀後半のヴィクトリア朝の神話画や歴史画から現代の身体表現まで、西洋美術の200年にわたる裸体表現の歴史を紐ときます。フレデリック・ロード・レイトンが神話を題材として描いた理想化された裸体から、ボナールらの室内の親密なヌード、男女の愛を永遠にとどめたロダンの大理石彫刻《接吻》[日本初公開]やシュルレアリスムの裸体表現、人間の真実に肉迫するフランシス・ベーコン、さらにはバークレー・L・ヘンドリックスやシンディ・シャーマンなど、現代における身体の解釈をとおして、ヌードをめぐる表現がいかに時代とともに変化し、また芸術表現としてどのような意味をもちうるのか、絵画、彫刻、版画、写真など約130点でたどります。

| 展覧会 | 23:29 | comments(0) | trackbacks(0) |









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