青い日記帳 

  
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『寺山修司 時をめぐる幻想』
東京美術より刊行となった『寺山修司 時をめぐる幻想』を読んでみました。


寺山修司 時をめぐる幻想
寺山 修司 (著)

寺山修司(てらやま しゅうじ、1935年(昭和10年)- 1983年(昭和58年))の名前すら知らない人が増えてきているのは、時代と言ってしまえばそれまでですが、とても寂しい気持ちにさせます。

平成の世も終わることが決まった今、二世代前の「昭和」という遠い時代に綺羅星の如く活躍した寺山修司について、あらためて見直しても良いのではないでしょうか。

47歳の若さでこの世を去ったとは思えないほど、実に膨大な作品を寺山は残しています。歌人、劇作家、詩人、俳人、映画監督、脚本家、作詞家、評論家とこれだけマルチに才能を発揮した人もいません。


寺山修司

作品数が多すぎてどこから寺山について手を出したらよいのか、分からないという方にこれまでは『ポケットに名言を』を薦めていました。

でも、今日からは『寺山修司 時をめぐる幻想』を紹介することに決めました。それには幾つかの理由があります。

まず一つ目として、寺山作品の真骨頂は散文調のエッセイにあるからです。

寺山修司 時をめぐる幻想』は時(「時計」)に関する掌編15編が収録されています。これはシチズン(CITIZEN)の広報誌「Citizen Sales News」にかつて連載した「時計」にまつわる幻想的な物語15編です。

1967年2月から1970年9月まで27回の連載は、「時計幻想館」(1〜9)、「時計の歴史」(1〜6)の計15編と、12編の「サラリーマン博物誌」から成り立っています。まさに至極のエッセイでありこれまで、一般の人の目に触れる機会がほとんどなかったものです。

筋金入りの寺山ファンにとっても、とても嬉しい一冊なのです。



二つ目の理由として、寺山の15編の時計にまつわる文章にそれぞれ、豪華アーティスト陣が挿画を描き下ろしている点があげられます。

北村麻衣子、山科理絵、小川香織、水野恵理、奥村彰一、北見隆、川口起美雄、塩月悠、田嶋香里、智内兄助、谷村友、伊豫田晃一、山本タカト、菅野まり子、浅野勝美、阿部千鶴。

50年前に書かれた寺山のテキストと現代アーティストの作品が時を超えて競演しているのです。

三つ目として、寺山の文章をあらためて読むと、古臭さを全く感じないばかりか、逆にとても瑞々しく新鮮なものとして感じられる点です。

まさにそれはタイトル通り「時をめぐる幻想」を体感しているような気分です。それに負けじと現代アーティストたちも挿絵を添えていますが、さぞかし大変だったのではないでしょうか。

下手な絵を描いたら完全に寺山のテキストに飲み込まれてしまいますからね。



その寺山と現代アーティストのせめぎ合いをも楽しめてしまうのですから『寺山修司 時をめぐる幻想』を薦めない訳にはいきません。

この本で初めて寺山の文に触れる方もいるかもしれません。それはとても刺激的な体験になるでしょう。そして往年の寺山ファンにとっても新たな知見が開けるはずです。

日本人だけがこんな素敵な本を愉しんでは罰が当たりそうです。すぐにでも多国語版を出し世界中の人に手に取ってもらいたい珠玉の一冊です。

入学や入社、新しい生活をスタートする人たちへのプレゼントとしてもとても喜ばれると思います。この本貰ったら嬉しいだろうな〜


寺山修司 時をめぐる幻想
寺山 修司 (著)

言葉の魔術師・寺山修司が30代に遺した、時計と時にまつわる珠玉の掌篇15篇に、豪華アーティスト陣が挿画を描き下ろした、異色のファンタジー画集愛蔵版!

【目次】
・はじめに
知られざる貴重な作品群との思いがけない邂逅によせて 青森大学社会学部教授 久慈きみ代
・I 時計幻想館
魔女時計       絵 北川麻衣子
花時計        絵 山科理絵
だまし時計      絵 小川香織
見えない時計     絵 水野恵理
少女の時計      絵 江奥村彰一
天文時計       絵 北見隆
天文時計 リフレイン 絵 川口起美雄
時計牢        絵 塩月悠
猫時計        絵 田嶋香里
蝶時計        絵 智内兄助
・甦る寺山さんの言葉 映像作家 萩原朔美
・II時計の歴史
日時計   絵 谷村友
方柱碑   絵 伊豫田晃一
火時計   絵 山本タカト
焔時計   絵 菅野まり子
振り子時計 絵 浅野勝美
小型時計  絵 阿部千鶴
・制作を終えて
・特別付録『セールスマン博物誌』

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