青い日記帳 

  
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「東西美人画の名作 《序の舞》への系譜」
東京藝術大学大学美術館で開催中の
「東西美人画の名作 《序の舞》への系譜」展に行って来ました。


http://bijinga2018.jp/

昭和11年(1936)に上村松園の円熟期に描かれた「序の舞」(重要文化財)。

松園自身も「この絵は、私の理想の女性の最高のものと言っていい、自分でも気に入ってゐる『女性の姿』であります。」と語っています。『青眉抄

松園渾身の力作も描かれてから80年が経過し、作品の保存状態に所々問題が生じてしまい展覧会に積極的に出せない状況が続いたそうです。軸装であったことも大きく影響しています。

そこで、2015年「序の舞」をバンクオブアメリカ・メリルリンチ文化財保護プロジェクトの支援を得て修復することに。この度晴れて修復も完了しお披露目とあいなりました。(詳しくは→上村松園《序の舞》修理について


上村松園「序の舞」重要文化財 昭和11年(1936)
東京藝術大学蔵
上村松園「序の舞 下絵」昭和11年
松柏美術館蔵

軸装の時も大きく感じましたが、今回額装となりより迫力が増した感があります。実際にサイズも300.0×209.0と美人画としては異例の大きさを誇ります。

4つのセクションから構成される今回の展覧会のトリを飾るのが、上村松園が描いた美人画の優品たちです。チラシもポスターも「序の舞」一点推しですが、他にも観るべき粒ぞろいの作品が出ています。

尚「東西美人画の名作」とは日本と西洋ではなく、関東と関西の美人画という意味です。

展覧会の構成は以下の通りです。

美人画の源流
東の美人
西の美人
美人画の頂点



舞踊図」重要美術品 六面のうち一面 江戸時代(17世紀)
サントリー美術館蔵
展示期間:3/31-4/15

まず最初のセクション(美人画の源流)では、江戸時代初期に描かれた「舞踏図」をはじめとし、鈴木春信、鳥居清長、喜多川歌麿が手掛けた美人画浮世絵が並びます。

三畠上龍(みはたじょうりゅう)という本名も正確な生没年も不明な天保期に活躍した絵師の作品が2点出ています。京都で活躍したらしく上村松園にも影響を与えている絵師です。これ必見です。


松岡映丘「伊香保の沼」大正14年(1925)
東京藝術大学蔵

群馬の榛名湖(伊香保沼)に入水したとされる木部姫。入水後龍に変化する木部姫の思いつめた表情は得も言われぬ妖艶な美しさを湛えています。

2番目のセクション(東の美人)の中ではダントツで好きな作品です。「伊香保の沼」をあらためてじっくり見ると姫の左右の目の位置がずれていたり、何かを口ずさむかのように、口を少し開いているのが分かります。

死を覚悟し、思いつめた美人の顔を是非間近でじっくりと!



野口小蘋、山田敬中、勝田蕉琴、三浦孝、池田蕉園、水谷道彦、山川秀峰、金子孝信といった普段あまり見る機会のない画家の作品に混じり、鏑木清方や山本丘人、菱田春草らの作品がしっかりと脇を固めています。

さて、3番目のセクション(西の美人)へ移ると、これまでに無かった個性的な美人が目に付きます。

その代表格は甲斐庄楠音で間違いないでしょう。


甲斐庄楠音「幻覚」大正9年(1920)頃
甲斐庄楠音「秋心」 大正6年(1917)
共に京都国立近代美術館蔵

甲斐庄楠音や北野恒富、島成園といった西の絵師たちの美人画は、クセのある一筋縄で「きれい〜」と言えないところがまた魅力でもあります。

そこまで直接的にデロリ系ではなくても、中村大三郎「読書」、菊池契月「友禅の少女」、西山翠嶂「槿花」、伊藤小坡「歯久ろめ」などの作品も西ならではの独特の個性が光ります。

この流れで最後のセクション(美人画の頂点)で上村松園の描いた美人画がどーんと並びます。


上村松園「母子」重要文化財 昭和9年(1934)
東京国立近代美術館蔵


上村松園「虹を見る」昭和7年(1932)
京都国立近代美術館蔵

完全に「松園シフト」が敷かれた展覧会であることがお分かりかと思います。しかし、松園作品だけではこれだけの感動は得られないはずです。

江戸初期から昭和まで日本で描かれた美しく時に妖しい女性たち。西洋画でしたら間違いなくヌードが数点入ってくるはずです。女性美の追求のポイントが日本と西洋では明らかに違うことを強く感じた展覧会でもありました。

「東西美人画の名作 《序の舞》への系譜」は5月6日までです。約60点の美人画が待っています。必ずや幸福感に満たされます。


「東西美人画の名作 《序の舞》への系譜」

会期:2018年3月31日(土)〜5月6日(日)
開館時間:午前10時 - 午後5時(入館は閉館の30分前まで)
休館日: 月曜日(※4月30日、5月1日は開館)
会場:東京藝術大学大学美術館
http://www.geidai.ac.jp/museum/
主催:東京藝術大学、読売新聞社
公式サイト:http://bijinga2018.jp/

この展覧会の担当学芸員である古田亮氏が世に放った近代日本画の通史。


日本画とは何だったのか 近代日本画史論
古田 亮 (著)

伝統絵画と西洋画の接触が産み落とした、近代日本画という新たな表現。それは明治以後の画家たちに、近代とは、西洋とは、国家とは何かという不断の問いを突きつけることとなった。国家主義を揺籃とした明治期、皇国感情のなか成熟を迎えた大正・昭和初期、そして戦後に浮上する日本画滅亡論を超えて、日本画はどこへ向かうのか──。その成り立ちと多様性を時代ごとの様式の変遷から描ききる、圧巻の百年史。

詳細はこちらのコラムで!→近代日本画の世界へようこそ

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この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=5062

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注:会場内の画像は主催者の許可を得て撮影したものです。
このほど、近代美人画の最高傑作である上村松園作《序の舞》(重要文化財)の修理が完成し、本展にてはじめて一般に公開される運びとなりました。上村松園(1875-1949)は、京都に生まれ鈴木松年や竹内栖鳳らに学びながら、独自の美人画様式を確立。官展を中心に活躍し、昭和23年(1948)、女性としてはじめての文化勲章を受章しました。昭和11年(1936)作の《序の舞》は、松園のもっとも充実した時期に制作された代表作のひとつです。
本展では、この機に、江戸時代の風俗画や浮世絵に近代美人画の源流を探りながら、《序の舞》に至る美人画の系譜をたどります。明治中期から昭和戦前期までの、東京と関西における美人画の展開を、松園をはじめ菱田春草、鏑木清方、菊池契月、北野恒富ら著名作家たちの名作を中心に俯瞰いたします。
| 展覧会 | 22:50 | comments(1) | trackbacks(0) |
「…この度晴れて修復も完了しお披露…」
修理であり、修復ではないのでは?
私、素人が申し上げるのも憚られますが
失礼がありましたらご容赦くださいませ。
| chio | 2018/04/06 4:50 PM |










http://bluediary2.jugem.jp/trackback/5062
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