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『切手で仏像』
講談社より刊行となった『ARTBOX 切手で仏像』を読んでみました。


切手で仏像
山本勉(著)

メールやSNSでやり取りすることが主流となった今、手紙を書いて切手を貼りポストに投函といった一連の動作はとても畏まったことのように感じてしまいます。

しかし、逆に手紙でしか出来ないことが明白になってきたとも言えます。

大事なこと、感謝の気持ち、お祝いを伝えるなどなどここぞという時にこそ手紙は、効力を発揮してくれます。「電子」花盛りの今だからこそ手紙の持つ力にあらためて目が向けられているのです。



さて、心を込めて手紙をしたため、お気に入りの封筒に入れ封をしたら最後の仕上げとして切手を選びます。

「貼る」よりも前に「選ぶ」のが切手です。

例えばこれは以前、実際に自分宛てに届いた手紙に貼られていた切手です。



自分がアート好きということをご存知の方が、わざわざ選んでこうした切手を貼ってくれたのです。

勿論、どんな切手でも手元には届きますが、こんな切手で受け取る手紙には数値化できない嬉しさがあります。

便箋と書き易いペンを選びしたため始め、書き終えるまでに四苦八苦・悪戦苦闘の連続です。封筒に正しく相手先の住所を記入し、封をして切手を貼る。

最低限の仕事量でもこれだけ手間がかかるのです。もうこれだけでも、相手に十分気持ちは伝わっています。そして更に出来る人は切手までも選ぶのです。相手が喜ぶであろう絵柄のものを。


Google画像検索結果

さて、今回手に入れた『切手で仏像』は郵便切手のモチーフとなった仏像から、仏像の世界を読み解くこれまでありそうで無かった一冊です。

しかもです、著者があの山本勉先生なのです!仏像と言えば山本先生。山本先生と言えば仏像。

山本 勉
1953年神奈川県生まれ。清泉女子大学教授。東京芸術大学大学院博士後期課程中退。東京国立博物館彫刻室長、同教育普及室長などを経て現職。東京国立博物館名誉館員。著書に『日本彫刻史基礎資料集成 鎌倉時代造像銘記篇』(共編著・中央公論美術出版)、『仏像のひみつ』『続 仏像のひみつ』(以上、朝日出版社)、『日本仏像史講義』(平凡社新書)、『運慶大全』(監修・小学館)などがある。


山本勉先生講演会「運慶のまなざし−全作品47体と眼の表現」


切手で仏像

これまで切手のモチーフとなった仏像を、如来、菩薩、明王、天に分類しそれぞれひとつずつ丁寧且つマニアックに解説しています。

下手な仏像の本よりも何十倍も詳しくためになります。

山本先生の凄いところは、初心者から上級者まで幅広い層の読者を前提にした文を書けてしまうことです。


切手で仏像

それにしても、これまで切手となった仏像は何体あるのでしょう。この本を読んで知ったのですが過去に発売になった仏像切手もリニューアルされていたりするのですね。

記念切手(特殊切手)だけでなく、通常の切手や中々お目にかかれないレアなものまで全35体が網羅されています。

以前に比べて切手も入手しやすくなっているようです。プレミア度が下がってきているのか切手蒐集マニアが減ったのか定かではありませんが、素人にとっては嬉しいことです。


切手で仏像

そうそう、もうひとつ『切手で仏像』で注目すべきは、「切手の博物館」学芸員の田辺龍太氏がコラムを担当されている点です。

切手にまつわる蘊蓄超満載!愛が感じられます。こういうの読むと集めたくなってしまうのですよね…



手間暇かけることなく、思い立ったらすぐに相手に自分の気持ちや要件を伝えられる便利なツールが主流の世の中にあって、手紙は何とものろ間で時代遅れの感じがします。

他者とのコミュニケーションには「面倒な手続き」が本来必要です。

思いついてすぐ相手に連絡が出来てしまうという利便性の高いツールの登場によりその「面倒な手続き」を踏まずとも相手に自分の気持ちや要件を伝えられるようになりました。

しかし、物事には一長一短があるものです。即時性・利便性に優れている半面、コミュニケーションで最も大事な要素である、十分な思考と相手への思いやりが欠如しています。

手紙やはがきと言った、ある意味のろまで面倒な伝達手段が現在でも立派に生き残っているのには、こんな理由も僅かながらあるのかもしれません。

とても良いタイミングに良い内容で出た『切手で仏像』。色々な意味で必読です!


ARTBOX 切手で仏像
山本勉(著)

切手という極小の画面からのぞく「仏像のひみつ」

郵便切手のモチーフとなった仏像は、日本人から長く愛されてきた名品ばかり。
本書では、その仏像切手を題材にして仏像の歴史や特徴をやさしく解説する、ひと味違った仏像入門書です。

切手の薀蓄コラムは、「切手の博物館」学芸員・田辺龍太さんが担当。
懐かしの切手や珍しい切手を原寸と拡大図版で紹介しているので、切手ファンの方にもおすすめです。



横山大観ART BOX
佐藤 志乃 (著)

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