弐代目・青い日記帳 

  
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『美術館へ行こう: ときどきおやつ』
新潮社より刊行となった『美術館へ行こう: ときどきおやつ』を読んでみました。


美術館へ行こう: ときどきおやつ
伊藤まさこ(著)

美術館を紹介する本がここ数年何冊も出ています。以前ご紹介した『フランス人がときめいた日本の美術館』や『小さな美術館をめぐる旅』そして『カフェのある美術館 素敵な時間をたのしむ』などなど。

まさに美術館本戦国時代の真っただ中に、黄色地に黒のテキストだけのシンプルな表紙を引っ提げて新たに分け入って来たのが『美術館へ行こう: ときどきおやつ』です。

北は北海道から南は沖縄まで日本全国に一体どれだけの美術館があるのでしょう。それを満遍なく紹介するのではちっとも面白味がありません。

これまで出された本も、著者がどの美術館をセレクトしているのかも大事な魅力のひとつでした。今回紹介するこちらの本には24の美術館が掲載されています。

いずれも小さな美術館ばかりで、全部合わせてもトーハクに及ばないこじんまりした美術館ばかりです。



中には「あとりえ・う」や「かごしま近代文学館」なども混じっています。スタイリストでもある著者の伊藤まさこ氏の嗜好がとてもよく現れているセレクションです。

東京都心だとビルの一角を間借りするように美術館があったり、来館者に威圧感を与えるような巨大な建造物であったりしますが、『美術館へ行こう: ときどきおやつ』で紹介されている24館はその真逆。

美術館が建つ周辺と一体化しているような佇まいのものばかりです。邸宅やアトリエだった場所を美術館として公開しているそんなところが著者の琴線を震わすのでしょう。


朝倉彫塑館
http://www.taitocity.net/zaidan/asakura/


碌山美術館
http://www.rokuzan.jp/

こうした個性的で大勢の人が大挙してやって来るのを拒むかのような小さな美術館を、ガイドブックのように紹介しているのではありません。

どちらかと言うと、美術館を題材に軽快なエッセイをしたためているようです。

だから、形式ばった見どころを紹介したり、所蔵作品を解説したりすることが主ではなく、あくまでもその美術館自体が持つの魅力を伝えようとしています。

これは簡単なようでとても難しいと思います。「好き」と言ってしまえばそれだけで、では具体的にどこがどのように「好き」なのかをテキスト化するのは困難を極めるものです。

あなたの好きな人の魅力を他者に伝えるのが至難を極めるように。



それをさらりと軽妙な文体でやってのけるだけでなく、おまけとして美術館近くの美味しいお店も紹介してあります。

この本を片手に美術館へ出かけるのもよし、読んで空想で行ったつもりになるのもよし。GWどうせどこへ行っても人でごった返しているのなら、静かに家で『美術館へ行こう: ときどきおやつ』のページをめくりながら過ごすのが良いかもしれません。

想像の翼を羽ばたかせながら。


美術館へ行こう: ときどきおやつ

いつも通っているところ、気になっていたところ。北海道から鹿児島まで、個人美術館から文学館まで。人気スタイリストが、全国各地の、街に馴染んだ、居心地のよい、24の小さな美術館をご案内します。お土産やカフェなど、鑑賞後のおたのしみもあわせて。のんびりしに、気分転換に、元気をもらいに、ちょっと美術館まで。

伊藤まさこ(イトウ・マサコ)
1970年、神奈川県横浜市生まれ。文化服装学院でデザインと服作りを学ぶ。料理や雑貨、テーブルまわりのスタイリストとして、数々の女性誌や料理本で活躍。なにげない日常にかわいらしさを見つけ出すセンスと、地に足の着いた丁寧な暮らしぶりが人気を集める。著書に『あの人の食器棚』『台所のニホヘト』『家事のニホヘト』(以上新潮社)、『おいしい時間をあの人と』(朝日新聞出版)、『おいしいってなんだろ?』(幻冬舎)など。

イベントも行われるようです!


伊藤まさこ「思い立ったらぶらり、小さな美術館のたのしみ」 『美術館へ行こう ときどきおやつ』刊行記念イベント

開催日時:2018年5月22日(火)19:00〜20:30(開場18:30)
会場:la kagu(ラカグ)2F レクチャースペースsoko  東京都新宿区矢来町67
(東京メトロ東西線神楽坂駅矢来口出てすぐ)

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