弐代目・青い日記帳 

  
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「暁斎・暁翠伝」
東京富士美術館で開催中の
河鍋家伝来・河鍋暁斎記念美術館所蔵「暁斎・暁翠伝 ─先駆の絵師魂!父娘で挑んだ画の真髄─」展に行って来ました。


http://www.fujibi.or.jp/

没後120年を記念して2008年に京都国立博物館で「絵画の冒険者 暁斎 Kyosai -近代へ架ける橋-」展が開催されてから早10年が経ちました。

この当時はまだ、河鍋暁斎(1831〜89)という日本美術史上類まれなるマルチな才能を持った絵師について、まだまだ広く知られていませんでした。

その後、三菱一号館美術館で「画鬼・暁斎」展、Bunkamuraザ・ミュージアムで「これぞ暁斎! 世界が認めたその画力」展他が、立て続けに開催され知名度も上昇。

そして我々は暁斎の真の実力、マルチな才能を展覧会を重ねるごとに、思い知らされてきた10年でもありました。


河鍋暁斎「竹虎之図」明治21年(1888)

ようやく、落ち着いて本当の意味で、河鍋暁斎という絵師と向かい合える時が来ました。京博の衝撃から10年が経過して…

これまで、暁斎展を幾つもご覧になられた方にこそ、足を運んで頂きたいのがこの「暁斎・暁翠伝」展です。理由はいくつもありますが、まず一つ大きなものとしてあげるとすると展示構成でしょう。

展覧会の構成は以下の通りです。

プロローグ 絵師・暁斎の源流
第1幕 暁斎伝
暁斎「伝」説〜エピソード「画鬼暁斎」
絵師の魂、下絵の線に宿る
骨から描く、骨格〜肉付け〜着付けの画法
絵師・暁斎
 1動物画
 2美人画
 3道釈人物画
 4幽霊・妖怪変化図
 5風俗画・物語絵
 6風景・山水画
暁斎の戯画・風刺画
暁斎の浮世絵版画
暁斎のデザイン
暁斎の本の仕事
間奏 暁斎・暁翠、父娘二代の能・狂言画
第2幕 暁翠伝
「伝」承・絵師の魂、暁斎から暁翠へ
絵師・暁翠
 1動物画
 2美人画
 3神仏画
 4風俗画
暁翠の戯画
暁翠の浮世絵版画
暁翠の本の仕事
女子教育の先駆者・暁翠
エピローグ 現代に「伝」えられる暁斎
暁斎・暁翠の足跡
河鍋家「伝」来!秘蔵の暁斎・暁翠アーカイブズ
KYOSAI LOVE! 現代から見る暁斎の魅力



河鍋暁斎「新富座妖怪引幕」(複製)
明治13年(1880) 早稲田大学演劇博物館蔵 

ただ漫然と暁斎作品に触れるのではなく、事細かに分類されたジャンルごとに見せてくれます。中でも「暁斎のデザイン」や「暁斎の本の仕事」といったセクションでは一体何が展示されているのか、想像がつきません。

美人画や妖怪画だけが暁斎ではないのです。

また貴重な下絵もまとめて観ることが叶います。本画は未だどこにあるのか行方知らずの作品の下図を前にすると自然と想像力が働き脳内再生をしてくれます。


河鍋暁斎「風流蛙大合戦之図」元治元年(1864)

もうひとつの大きな見どころとして、娘・暁翠の作品をかなりの割合で出していることです。これまでで最も暁翠作品をまとめて観られるチャンスです。

暁翠は父・暁斎に師事していましたが、彼女が20代のころ暁斎は他界してしまいます。その後の仕事を一手に引き受けたのが暁翠です。

流派を聞かれると「狩野派です」とキリッと答えたそうで、父の仕事だけでなく精神性も引き継いで絵筆を走らせていたことが分かります。


河鍋暁翠「寛永時代美人図」大正5年(1916)

父・暁斎の美人画と比べると、線が繊細で表情や仕草も柔らかい印象を受けます。暁斎を「ますらをぶり」とするなら、暁翠は「たおやめぶり」と言えます。

男性、女性だからという訳ではなく、仮にキャプションが無かったとしてもきっとそのように感じられるはずです。

『万葉集』と『古今和歌集』の歌の違いよりも、はるかに分かりやすいものがあります。


河鍋暁翠「百猩々

さて、暁斎や娘・暁翠の美術史上での評価が、これほどまでに高まったのは、ひとえに河鍋楠美氏(河鍋暁斎記念美術館 館長)の尽力によるものです。

河鍋暁斎の曾孫、暁翠の孫にあたる河鍋楠美氏は、埼玉県にある蕨眼科の院長でもあります。病院長の仕事の傍ら、歴史に埋没しかけていた暁斎を再び表舞台に引き上げたのです。

と言っても、容易なことではなく40年という長い長い歳月をかけ、研究論文を書き、海外へ流出してしまった暁斎作品を買い戻すなど、獅子奮迅の活躍をなされてきたのです。

公益財団法人 河鍋暁斎記念美術館


河鍋暁斎「横たわる美人と猫

こちらの作品は『ONE PIECE 尾田栄一郎画集』に同じ構図のイラストがあります。「KYOSAI LOVE! 現代から見る暁斎の魅力」のセクションで紹介しています。

河鍋暁斎記念美術館に初めから暁斎の本画があったわけではなく、河鍋楠美氏の働きにより一点一点増えていったのです。

今回の「暁斎・暁翠伝 ─先駆の絵師魂!父娘で挑んだ画の真髄─」展では、展示替えはありますが、河鍋暁斎記念美術館所蔵作品をこれまでにない規模で展示しています。

尚、新たに「発見」された暁斎作品など、初めて展覧会に出される個人蔵の作品もありまました。

もうひとつこの展覧会に行くべき理由を加えるとするならば、圧倒的な量の作品を観られることとなります。八王子まで行く価値十分過ぎるほどあります。自分もまず行って驚いたのがこの点でした。

「暁斎・暁翠伝展」は6月24日までです。今年の日本美術展で5本の指に入る見応えのある展覧会です。是非是非!


河鍋家伝来・河鍋暁斎記念美術館所蔵
「暁斎・暁翠伝 ─先駆の絵師魂!父娘で挑んだ画の真髄─」


開催期間:2018年4月1日 (日)〜6月24日 (日)
休館日:月曜日(祝日の場合は開館。翌日火曜日が振替休館)ただし、4月2日(月)は開館。
開館時間:10:00〜17:00(16:30受付終了)
会場:東京富士美術館:本館・企画展示室1〜4
http://www.fujibi.or.jp/
主催:東京富士美術館、河鍋暁斎記念美術館、トランズパシフィックエンタープライズ
後援:八王子市、八王子市教育委員会、八王子商工会議所
監修:河鍋楠美(河鍋暁斎記念美術館 館長)

「暁斎・暁翠伝展」の図録はKADOKAWAより一般書籍としても出ています。


河鍋暁斎・暁翠伝 ─先駆の絵師魂!父娘で挑んだ画の真髄─
河鍋 楠美 (著)


東京富士美術館
http://www.fujibi.or.jp/

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 近年人気を集め、話題の展覧会も次々開催されている河鍋暁斎。本展では幕末から明治前半の画壇において、狩野派絵師として、また様々な画派を貪欲に学びながら幅広い作風と領域で活躍した暁斎と、その長女で、柔らかで色彩豊かな美人画や小児図を得意とし、時には父・暁斎と同様の勇壮な、あるいはユーモラスな作品をも描いた女流画家・暁翠に焦点を当てます。
 河鍋家には暁斎の非凡な技量をうかがわせる3000枚を超える貴重な下絵を始め、江戸末期から「伝」来している作品・資料が多く残っています。暁斎の曾孫である河鍋楠美氏が河鍋暁斎記念美術館を設立して以来、研究の進展とともに暁斎の多彩な画業の有り様があきらかになってきました。本展は暁斎を暁斎たらしめた「伝」説的なエピソードとともに、本画や浮世絵、挿絵や能・狂言画、席画などこれまで部分的に紹介されてきた暁斎を改めて総合的に展望し、娘・暁翠に受け継がれ伝えられたその画業の「伝」承までを網羅していきます。
 絵師・暁斎は伝統的な狩野派修業を自らのものとしながら、新しい画法や表現、主題にも積極的に取り組んでいく先取の気風に溢れていました。弟子にイギリスの建築家コンドルがいたことも有名ですが、暁斎の絵師としての活発で先駆的な活動が同時代に海外で一躍有名になった一つの要因でしょう。娘・暁翠が初期の女子美術教育に携わっていたことも暁斎の多方面での活動と通じる部分があるようにも思えます。本展の最後には、「現代に『伝』えられる暁斎」としてエピローグを設けます。暁斎が創造した多彩な作品は現代の私たちや子どもたちに豊かなインスピレーションを与えてくれます。実際に1993年に大英博物館で開催された暁斎展の折に子どもたちがワークショップで制作した作品の記録などの紹介も含め、暁斎から暁翠、河鍋家に受け継がれ、そして近年再認識され伝えられている暁斎の魅力を幅広くご紹介します。
| 展覧会 | 23:14 | comments(0) | trackbacks(0) |









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