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「琳派 ―俵屋宗達から田中一光へ―」
山種美術館で開催中の
特別展「琳派 ―俵屋宗達から田中一光へ―」へ行って来ました。


http://www.yamatane-museum.jp/

あらためて考えてみると琳派という流派は実にユニークです。桃山時代から江戸時代初期に活躍した俵屋宗達(生没年不詳)や本阿弥光悦をいわば「心の師」と仰いだ、尾形光琳や酒井抱一らによって大成された時空を超えた繋がりで成り立っています。

本阿弥光悦(1558年〜1637年)
尾形光琳(1658年〜1716年)
酒井抱一(1761年〜1829年)


生没年がはっきりしない宗達の代わりに光悦で琳派を代表する三絵師の生没年を見てみると、活躍していた時代どころか生きていた時代すらそれぞれ全く違うことが分かります。

現代のように故人に関するデータや書籍、作品などが体系的に整っていなかった時代において、この関係性はまことに奇妙と言わざるを得ません。


伝 俵屋宗達「槙楓図」17世紀
尾形光琳「白楽天図」18世紀
酒井抱一「秋草鶉図」19世紀

直接指導を受けたわけでもなく、尊崇の念により数百年と継承された琳派。「心」の繋がりによる絵画の流派は世界でも極めて稀なことです。

【関連エントリ】
とにかくカッコいい。デザイン好きは必見、それが琳派!

展覧会の構成は以下の通りです。

第1章:琳派の流れ
第2章:琳派へのまなざし
第3章:20世紀の琳派・田中一光


この琳派の展覧会は大小様々なものが、これまでに数多く開催されてきました。つい先日まで近くの根津美術館で開催されていた特別展「光琳と乾山―芸術家兄弟・響き合う美意識」も直球勝負の琳派展でした。

【関連エントリ】
これぞ金メダル級…!日本美術史上最も有名な芸術家兄弟とは


奥村戸牛「南瓜」昭和23年
安田靫彦「うさぎ」昭和13年

今回の山種美術館での「琳派展」には、おや?と一瞬思わせる作品が出ています。例えばこの2点。明治から昭和にかけて活躍した日本画家の奥村土牛と安田靫彦の作品です。

何故彼らの作品が展示されているのでしょう。それは共に琳派から大きな影響を受けているからに他なりません。モティーフや図様をこの2点は琳派から受け継いでいるのです。


速水御舟「翠苔緑芝」昭和3年

国宝指定されてもおかしくない御舟の傑作「翠苔緑芝」は構図がそのまま琳派です。因みに白い兎は宗達モティーフだとされています。

こうした視点で拝見すると、近代日本画の新たな魅力に気が付かれるはずです。と同時に違ったアプローチの仕方が可能になり鑑賞の幅がぐんと広がります。

第2章:琳派へのまなざしは、琳派から影響を受けた近代日本画を次の4つに分けて展示してあります。

・構図の継承
・モティーフと図様の継承
・トリミング
・装飾性とデザイン性


福田平八郎「芥子花」がどこに展示されているか想像つきますよね。



そうそう、オリジナルグッズで「芥子花」をデザインに用いたTシャツが販売されています。山種美術館でTシャツ見かけたことが無かったのでとても新鮮でした。そしてやっぱり活きますね〜琳派テイストは意匠として。

さてさて、展覧会タイトル「琳派 ―俵屋宗達から田中一光へ―」にもあるように、琳派の影響を20世紀最大のデザイナー田中一光にまで連ねる展示が、今回の展覧会の大きな見どころとなっています。


俵屋宗達(絵)・本阿弥光悦(書)「鹿下絵新古今集和歌巻断簡」17世紀


田中一光「JAPAN」昭和61年
東京国立近代美術館蔵

20世紀を代表するグラフィックデザイナー田中一光も今でこそ、日本の古典文化に惹かれそれを自分の作品に取り入れたとして高い評価を受けていますが、高度成長期からバブル景気の日本においてかなり異端児扱いされたのではないでしょうか。

何故、今更そんな琳派など埃を被っているようなものをリスペクトするのかと。

しかし、田中一光が最も惚れ込んだのは西欧のデザインではなく、脈々と私借され続けてきた琳派のエッセンスだったのです。

言葉で説明するよりも「第3章:20世紀の琳派・田中一光」で直に見て頂く方が早いので、是非会場へ足を運んでみて下さい。

田中一光が琳派の影響を受けていたことは知っていましたが、まさかこれほどまでとは!まだまだもっともっと両者の関りを調べたくなります。


俵屋宗達「烏図」17世紀

特別展なので図録も販売されています。また「烏図」のような個人蔵の貴重な作品も展示されており、非常に見ごたえのある展覧会となっています。

山種美術館は会場もさほど広くないので、じっくりと一点一点鑑賞できるのが良い点です。そして何より疲れない!これ最近思うのですが大事なポイントですよね。

楽しみにしていた展覧会に限り期待外れだったりすることよくありますが、特別展「琳派 ―俵屋宗達から田中一光へ―」はその逆。期待値以上の内容でした。

新しい発見の連続でワクワクする展覧会です。山種美術館「琳派展」は7月8日までです。是非是非!!


特別展「琳派 ―俵屋宗達から田中一光へ―」

会期:2018年5月12日(土)〜7月8日(日)
*会期中、一部展示替えあり(前期: 5/12〜6/3、後期: 6/5〜7/8)
開館時間:午前10時〜午後5時(入館は午後4時30分まで)
休館日:月曜日
会場:山種美術館
主催:山種美術館、日本経済新聞社
http://www.yamatane-museum.jp/

山種美術館から歩いてすぐの國學院大學博物館も一緒に!
http://museum.kokugakuin.ac.jp/


特別展「狂言―山本東次郎家の面―」

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大学でアートを楽しもう!〜無料で楽しめる大学ミュージアムガイド〜

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江戸琳派-花鳥風月をめでる-
宮崎 もも (著), エリック・ルオン (翻訳)

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注:会場内の画像は主催者の許可を得て撮影したものです。
2018(平成30)年は、江戸へ琳派を根付かせた酒井抱一(さかい ほういつ・1761-1828)の没後190年、およびその弟子である鈴木其一(すずき きいつ・1796-1858)の没後160年にあたります。当館ではこれを記念し、俵屋宗達(たわらや そうたつ)・尾形光琳(おがた こうりん)・抱一を中心に花開き、近代・現代の日本画家やデザイナーに受け継がれた琳派の伝統をたどる特別展を開催いたします。

17世紀、京都で活躍した俵屋宗達は、やまと絵の様式を基盤としながら、デフォルメやトリミングといった斬新なアレンジにより、装飾性と意匠性に富んだ独自のスタイルを確立しました。また、宗達が下絵を描き、本阿弥光悦(ほんあみ こうえつ)が書を記した一連の作品では、平安時代の料紙装飾をモデルとしながら、書と絵が見事に響き合っており、グラフィックデザインに通じる感性をみてとることができます。こうしたデザイン性豊かな造形は、18世紀の光琳に継承され、19世紀に入ると、大名家出身の抱一がさらなる洗練を加え、いわゆる江戸琳派の様式を確立しました。本展では、当館が所蔵する琳派コレクションを中心に、宗達(絵)・光悦(書)《鹿下絵新古今集和歌巻断簡》(山種美術館)、光琳《白楽天図》(個人蔵)、抱一《秋草鶉図》【重要美術品】(山種美術館)、其一《四季花鳥図》(山種美術館)をはじめとする琳派の画家の優品を一堂に展示します。特に、近年、修復を行った当館所蔵の伝 宗達《槙楓図》(山種美術館)は、本展が修復後初のお披露目となります。

また、本展では、近代・現代における琳派の継承のあり方にも注目します。日本画では、菱田春草(ひしだ しゅんそう)や速水御舟(はやみ ぎょしゅう)、福田平八郎(ふくだ へいはちろう)、加山又造(かやま またぞう)など、琳派に影響を受けた名だたる画家たちの作品を通じて、装飾性や平面性など、琳派の造形をいかにとらえ、自己の画風に取り入れていったのか、その過程を見つめます。さらに、「琳派は〈日本のかたち〉の原型だ」と述べ、琳派のエッセンスを随所に散りばめた作品を数多く発表したグラフィックデザイナー・田中一光(たなか いっこう)のポスターもあわせて展示し、17世紀の宗達・光悦に始まり、20世紀の田中一光へと受け継がれた琳派の造形の魅力に迫ります。
| 展覧会 | 23:30 | comments(0) | trackbacks(0) |









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