青い日記帳 

  
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「没後50年 藤田嗣治展」
東京都美術館で開催中の
「没後50年 藤田嗣治展」に行って来ました。


http://foujita2018.jp/

2006年に大規模な回顧展が東京国立近代美術館他で開催されました(「生誕120年 藤田嗣治展」)。干支も一周し今年(2018年)に再びの藤田展。

待ちに待っていた方、もう見飽きという方、実はあの「乳白色」は好きになれないという方、戦争画(作戦記録画)はどうしても今だからこそ観たいという方。

「藤田嗣治展」ほど魅力や見どころを一つに絞れない展覧会はありません。そうそう猫好きな方にとっても藤田展は見逃せません。


藤田嗣治 《争闘(猫)》 1940年 油彩・カンヴァス 東京国立近代美術館蔵 © Fondation Foujita / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2017 E2833

12年前と今とで大きく変わったのは、藤田君代夫人がもうこの世にいないという点でしょう。著作権の生きている藤田作品の扱いにくさは今でも難しいものがありますが、以前は書籍に画像の掲載さえ許されなかったことを考えると…

「日本を捨てたのではない、捨てられたのだ」という藤田の有名なことばの語り部としての君代夫人は、もういないのです。


藤田嗣治 《エミリー・クレイン=シャドボーンの肖像》 1922年 油彩、銀箔、金粉・カンヴァス シカゴ美術館(アメリカ)蔵 © The Art Institute of Chicago / Art Resource, NY
 © Fondation Foujita / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2017 E2833

2006年の「藤田嗣治展」は開催自体がひとつの事件であると同時に、これ以上はないのではという藤田の画業を網羅する充実した展示内容でした。

ポスター画像も同じだし、あらためて観に行かなくてもいいかな〜と思っていたら大間違い。12年も経てば絵の見方も変わっているのは当然ですし、これまで観たことのない藤田作品が相当数出ていました。

この「エミリー・クレイン=シャドボーンの肖像」は日本初公開作品だそうです。「乳白色」の婦人像を絵描く前の女性像により魅力を感じてしまうのは自分だけではないはずです。


足元で丸くなっている黒猫がいいアクセントになっていますね。

展覧会の構成は以下の通りです。

1:風景画ー家族と風景
2:はじまりのパリー第一次世界大戦をはさんで
3:1920年代の自画像と肖像ー「時代」をまとうひとの姿
4:「乳白色の裸婦」の時代
5:1930年代・旅する画家ー北米・中南米・アジア
6−1:「歴史」に直面するー二度の「大戦」との遭遇
6−2:「歴史」に直面するー作戦記録画へ
7:戦後20年ー東京・ニューヨーク・パリ
8:カトリックへの道行き


3章構成という大まかな展示だった2006年の「藤田嗣治展」をより細分化した点と、戦争にポイントを置いた展が2018年度版「藤田嗣治展」です。


藤田嗣治 《二人の少女》 1918年 油彩・カンヴァス プティ・パレ美術館(スイス・ジュネーヴ)蔵 Photo: Studio Monique Bernaz, Genève © Fondation Foujita / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2017 E2833

また、マリー・ローランサンやスーティン、モディリアーニとの交友や影響関係などが直に見て取れる作品も何点か出ています。「はじまりのパリ」はある意味で最も見応えのある章となています。

そして、やはり「アッツ島玉砕」をはじめとする作戦記録画(戦争画)を藤田が描いたことでしょう。2006年2月号の『文藝春秋』に藤田君代夫人が書いた「祖国に捨てられた天才画家」という文章があります。あらためて一部掲載しておきます。
今も忘れられないのは、あの戦争が終わって、画家の戦争責任が囁かれていた頃のことです。あの人は陸軍美術協会の中心となって戦地に出向き、おそらく最も多くの戦争画を描いています。その為か戦後は画家仲間からの誹誘や中傷にさらされる日が続いていました。そんな中、江古田のアトリエに、日本美術会の要職にあった内田巌さんが訪ねてみえたのです。親しい友人だっただけに笑顔で迎えたのですが、内田さんは、戦争画を描いた画家の代表として責任をとって欲しいと、告げに来たのでした。
戦争画は多くの人たちが描いていたのに、何故あの人だけが責任をとらなければならないのか、私には理解できませんでした。また、「アッツ島玉砕」などの絵は戦意高揚の為だけに描かれたものとはとても思えません。しかし、あの人は、「いつでも監獄にはいります」ときっぱりと答えたのです。絵を描いたことが良くないのならどのような責任でもとると考えていたのでしょう。その毅然とした姿を今も憶えています。

藤田嗣治 《礼拝》 1962-63年 油彩・カンヴァス パリ市立近代美術館(フランス)蔵 © Musée d' Art Moderne / Roger-Viollet © Fondation Foujita / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2017 E2833

日本を追われるように去り、再びパリの地に立った藤田は洗礼を受け、晩年はもっぱらキリスト教を主題としたこうした作品や無邪気な子どもたちを描くようになります。

乳白色の裸婦像にシッカロール(ベビーパウダー)を「隠し味」として用いていたことが近年明らかになったり、戦争画が変に注目される藤田ですが、こうして回顧展を通して見ると最後に行き着いた宗教画が最も心が込められているように感じます。

時代に翻弄されながらも手先の器用さでうまく渡り歩いてきた藤田が、心血注いで晩年に手掛けた作品こそ時間をかけじっくりと観るべきかと。


藤田のぎこちない手の合わせ方が愛らしく見えてきます。

生涯数多くの作品を残した藤田。どうしても既視感があるように思ってしまうかもしれませんが藤田の全貌を知る初めての展覧会が今回の「藤田嗣治展」です。

フジタの新たな魅力に触れてみて下さい!(多分人として付き合うには難しい人物だったように思えます。そんなエゴの強さも絵によく現れています。)

「没後50年 藤田嗣治展」は10月8日までです。是非是非!

「藤田展」の見どころについては『OZmagazine 2018年 9月号No.557 アートが楽しい!』や情報誌『ぴあ』の公式アプリにも書いています。


「没後50年 藤田嗣治展」
Foujita: A Retrospective ― Commemorating the 50th Anniversary of his Death

会期:2018年7月31日(火)〜10月8日(月・祝)
休館日:月曜日、9月18日(火)、25日(火)
※ただし、8月13日(月)、9月17日(月・祝)、24日(月・休)、10月1日(月)、8日(月・祝)は開室
開室時間:9:30〜17:30(入室は閉室の30分前まで)
夜間開館:金曜日は9:30〜20:00(入室は閉室の30分前まで)
※ただし、8月3日(金)、10日(金)、17日(金)、24日(金)、31日(金)は 9:30〜21:00
会場:東京都美術館
https://www.tobikan.jp/
主催:東京都美術館(公益財団法人東京都歴史文化財団)、朝日新聞社、NHK、NHKプロモーション
後援:在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本
協賛:損保ジャパン日本興亜、大日本印刷
特別協力:国際交流基金
協力:東京美術倶楽部、日本航空、日本貨物航空
公式サイト:http://foujita2018.jp


藤田嗣治作品集

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http://bluediary2.jugem.jp/?eid=5189

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注:会場内の画像は主催者の許可を得て撮影したものです。
明治半ばの日本で生まれ、80年を超える人生の約半分をフランスで暮らし、晩年にはフランス国籍を取得して欧州の土となった画家・藤田嗣治(レオナール・フジタ 1886-1968)。2018年は、エコール・ド・パリの寵児のひとりであり、太平洋戦争期の作戦記録画でも知られる藤田が世を去って50年目にあたります。この節目に、日本はもとよりフランスを中心とした欧米の主要な美術館の協力を得て、画業の全貌を展覧する大回顧展を開催します。
本展覧会は、「風景画」「肖像画」「裸婦」「宗教画」などのテーマを設けて、最新の研究成果等も盛り込みながら、藤田芸術をとらえ直そうとする試みです。藤田の代名詞ともいえる「乳白色の下地」による裸婦の代表作、初来日となる作品やこれまで紹介されることの少なかった作品も展示されるなど、見どころが満載の展覧会です。
| 展覧会 | 22:32 | comments(1) | trackbacks(0) |
こんにちは、
私も『没後50年 藤田嗣治展』を見ましたので、画像と詳しく丁寧なブログを読ませていただき、この美樹展を再体験させていただきました。世界から乳白色の下地により描かれた裸婦のうち、最盛期の作品が10点以上見ることができ、作品を堪能出来て大変良かったと思いました。「パリの冬の真珠のような空」を描いた初期のモノクロームの風景画や、中南米の各地を旅行していた時期のエキゾチックで鮮烈な色彩が印象的な作品なども多数出品されていて、藤田作品のイメージが広がりました。この展覧会では芸術と生活、芸術と人生が一体だった藤田の世界の全体像を知ることができたような気がしました。


私は、かねてから疑問に思っていました、日本人の藤田嗣治だけがフランスで高い評価を受けたのか? 戦争に協力した画家はたくさんいたのになぜ藤田嗣治だけが日本を追われたのか? 今まであまり紹介されていなかったフランス帰国後の画家としての活動も含めて、画家・藤田嗣治をたくさんの作品を通して整理してみましたので、ご一読ください。
ご感想・ご意見などありましたら、ブログにコメント頂けると感謝いたします。


| dezire  | 2018/10/11 4:33 PM |










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