青い日記帳 

  
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「糸のみほとけ」
奈良国立博物館で開催中の
「糸のみほとけ―国宝 綴織當麻曼荼羅と繡仏―」に行って来ました。


https://www.narahaku.go.jp/

とても鑑賞しきれないほど数多くの展覧会が開催される東京を抜け出し、観ておかねばならない展覧会が年に何本か京都・奈良で開催されます。

昨年(2017年)の「国宝展」や、今秋開催予定の「京(みやこ)のかたな」などを観るために、京都国立博物館へは年に何度か足を運んでいます。

京博はトラりんを前面に出し客層を増やすことに躍起ですが、相も変わらず地道に渋い展覧会を続けているのが奈良国立博物館です。



「糸のみほとけ展」と目にして、行かねば!!これは!!!とは思いませんよね。まず。特設サイトを作るわけでもなく淡々と奈良博のサイトで情報を公開しているだけ。

運慶・快慶といったビックネームも登場しない展覧会ですが、実はこの展覧会滅茶苦茶スゴイ内容です。多分もう今後できないでしょう。ある意味で「フェルメール展」よりも激レア展示です。

では、一体何が「糸のみほとけ展」では観られるのか?それは石仏でも木彫でもない、糸で作り出された仏さまの姿です。


国宝 天寿国繡帳 飛鳥時代(7世紀)
奈良・中宮寺
紫羅地・紫平絹地 部分刺繡 縦88.8cm 横82.7cm

何とも映えない画像ですが、目の前にすると膝まづきたくなる他の何物とも比べものにならない荘厳なオーラを放っています。

聖徳太子が亡くなった後に、推古天皇の采女たちにより刺繍されたまさに祈りの結晶のような作品です。高温多湿の日本でよくぞ今まで残っていたものです。600年代に作られた作品ですのでゆうに1200年の歳月を経ています。それを思っただけでも何だか恐ろしくなりますよね。

江戸時代に断片化されてしまい、今目にしているのはそれを鎌倉時代に制作された模本とミックスし織り交ぜた状態です。と聞くと、てっきり下三分の一の色がほとんど抜け落ちている部分が、飛鳥時代から残る本体と思ってしまいますが、豈図らんやその逆なのです。


国宝 天寿国繡帳(部分)

色や形がはっきりと今での残ってる中段や上段右が600年代に刺繍された部分なのです!!!!!これを極至近距離で観られるのですから、身震いして立っていられなくなるのも決してオーバーなことではないと信じてもらえるはず。

これを東博でNHKさんや朝日さんが主催でやったら大変な騒ぎになることでしょう。「立ち止まらないでくださ〜い」の声を耳にしながら観るのはちょっとね。やっぱり年に一度は奈良でお宝展覧会観ないと。

展覧会の構成は以下の通りです。

第1章 飛鳥時代―日本最初の仏像は繡仏だった
第2章 綴織當麻曼荼羅―奇跡の綴織
第3章 奈良時代―巨大な繡仏の時代
第4章 平安時代から鎌倉時代へ―美麗の繡仏
第5章 中国の繡仏―多彩かつ緻密
第6章 浄土に続く糸―刺繡阿弥陀来迎図
第7章 髪を繡い込む―種子と名号
第8章 近世の繡仏―繡技の到達点


さて、仏像というと廬舎那仏像から阿修羅像まで様々なものがあり、根強い人気を誇っています。展覧会も毎年開催され自分も大好きです。

でも刺繍仏って…とまぁ普通は思いますよね。

それが歴史的に見ると刺繍仏の方がある面では「先輩」にあたるのです。日本最初の仏像は繡仏だったと第一章にあるように。


国宝 刺繡釈迦如来説法図 奈良時代または中国・唐(8世紀) 
奈良国立博物館
白平絹地 総繡 縦211.0cm 横160.4cm

天寿国繡帳(国宝、中宮寺)、綴織當麻曼荼羅 (国宝、 當麻寺)、刺繡迦如来説法図 (国宝、 奈良国立博物館)の3点を揃って観られることがまずこの展覧会の絶対的な魅力です。(国宝指定されている刺繍仏はこの3点のみです)

国宝 刺繍釈迦如来説法図(ししゅうしゃかにょらいせっぽうず)は奈良博の収蔵品データベースにあります。とても細かなとことまで画面でも見られ、その作った人々の祈りを感じることが出来るはずです。是非チェックしてみて下さい。

勇ましい運慶仏などを見慣れたしまった目には非常に地味に感じるかもしれませんが、木や石を削り落として形にしていく一般的な仏像と違い、刺繍仏は一本一本縫い合わせていくことを思うとそこに託された祈りが直接的に伝わってきて魅力あるものに見えてくるはずです。


「刺繡當麻曼荼羅」(部分)

こうした想いが、込められるからこそ、中世以降は故人の髪を繡い込んだ刺繍仏も現れてくるのでしょう。

絵画や一般的な仏像よりも何倍も作った人の想いが感じられるのが刺繍仏です。非常にデリケートなものなのでこうして大々的な展覧会をやるには相当の気苦労があったかと。

国内だけでなく海外からも作品「刺繡霊鷲山釈迦如来説法図」(大英博物館)を借りて作り上げた、ちょっとあり得ない内容と規模の展覧会です。

奈良駅から奈良博までの道のりが異常に遠く感じる暑さの中、這う這うの体で辿り着けば、そこには人びとの祈りの結晶である刺繍仏がわんさかと待っています。

「いとのみほとけ展」は8月26日までです。今年のベスト10入り決定です!


「糸のみほとけ―国宝 綴織當麻曼荼羅と繡仏―」

会期:2018年(平成30年)7月14日(土)〜8月26日(日)
会場:奈良国立博物館 東新館・西新館
休館日:毎週月曜日 ※ただし7月16日・8月13日は開館
開館時間:午前9時30分〜午後6時
※毎週金・土曜日と8月5日(日)〜15日(水)は午後7時まで
※入館は閉館の30分前まで
会場:奈良国立博物館
https://www.narahaku.go.jp/
主催:奈良国立博物館、読売テレビ、日本経済新聞社
後援:文化庁、NHK奈良放送局、奈良テレビ放送
協賛:ライブアートブックス
特別協力:當麻寺、川島織物セルコン
協力:繡匠 樹田紅陽、凸版印刷、日本香堂、日本航空、仏教美術協会


「糸のみほとけ」展を最新テクノロジーで!


心やすらぐ ご利益別仏像なぞり描き
田中ひろみ(著)

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日本では刺繡(ししゅう)や綴織(つづれおり)など「糸」で表された仏の像が数多く作られました。とりわけ、古代では大寺院の一堂の本尊とされる花形的存在でした。綴織當麻曼荼羅(つづれおりたいままんだら)(国宝、奈良・當麻寺蔵)や刺繡釈迦如来説法図(ししゅうしゃかにょらいせっぽうず)(国宝、奈良国立博物館蔵)は、その隆盛のさまを伝える至宝です。また、糸を縫い、織る行為は故人の追善につながり、聖徳太子が往生した世界を刺繡で表した天寿国繡帳(てんじゅこくしゅうちょう)(国宝、奈良・中宮寺蔵)が生み出されました。鎌倉時代以降、刺繡の仏は再び隆盛を迎えますが、その背景には綴織當麻曼荼羅を織ったとされる中将姫に対する信仰がありました。極楽往生を願う人々は中将姫(ちゅうじょうひめ)に自身を重ね刺繡によって阿弥陀三尊来迎図(あみださんぞんらいごうず)や種子阿弥陀三尊図(しゅじあみださんぞんず)を作成しました。
 この展覧会は綴織當麻曼荼羅の修理完成を記念し、綴織と刺繡による仏の像を一堂に集める特別展です。天寿国繡帳、綴織當麻曼荼羅、刺繡釈迦如来説法図の国宝3点が一堂に会する空前の企画です。本展を通して絵画とも違う「糸」の仏の世界の魅力をご鑑賞いただければ幸いです。
| 展覧会 | 22:19 | comments(0) | trackbacks(0) |









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