![]() 2018.08.26 Sunday
「琉球 美の宝庫」
サントリー美術館で開催中の
「琉球 美の宝庫」展に行って来ました。 ![]() https://www.suntory.co.jp/sma/ 沖縄観光に訪れる人や沖縄料理、沖縄出身の芸能人を目にする機会はたくさんありますが、沖縄の文化を紹介する展覧会は非常に少なく、地理的距離よりもはるかに文化的距離を感じさせられます。 そんな中でサントリー美術館は定期的に沖縄文化を紹介する貴重な展覧会を開催してきました。6年前の2012年に話題となった「沖縄復帰40周年記念 紅型 BINGATA―琉球王朝のいろとかたち―」はまだまだ記憶に新しいところです。 ![]() 白地流水蛇籠に桜葵菖蒲小鳥模様衣裳 19世紀 沖縄県立博物館・美術館 まずは、琉球王国の美の多様性を最も視覚的に表す、琉球の染物と織物がずらりと並びます。梅や竹といった日本的な意匠に混じり、鳳凰や龍など大陸由来のものも見て取れます。 紅型に絣(かすり)などパッと見の華やかさだけでなく、実は細かな部分の装飾も施されていることが分かります。 「紅型展」の興奮がよみがえってきます。 展覧会の構成は以下の通りです。 第1章 琉球の染織 第2章 琉球絵画の世界 第3章 琉球国王尚家の美 第4章 琉球漆芸の煌き 新たな「琉球の美」の発見として漆芸の美しさがありました。 ![]() 黒漆雲龍螺鈿大盆 18〜19世紀 浦添市美術館 朱漆塗椿密陀絵沈金椀、黒塗菊花鳥虫沈金丸外櫃、緑塗鳳凰雲沈金丸内櫃といった優品に用いられている、沈金、螺鈿、箔絵、顔密陀絵(みつだえ)といった技法。 とりわけ注目なのが、漆と顔料をまぜた材料を貼って立体的に文様を表す堆錦(ついきん)という技法です。これは琉球特有のものだそうです。 ![]() 座間味庸昌(殷元良)「雪中雉子之図」18世紀 沖縄県立博物館・美術館 そして何と言ってもこの展覧会の白眉となる章が「第2章 琉球絵画の世界」です。正直これだけまとまった数の琉球絵画を観られる機会はまずないと思います。 首里王府には国際的なネットワークを通じて中国や日本絵画の優れたコレクションが集められていました。王府の貝摺奉行所に所属した絵師は、中国や薩摩藩の絵画から刺激を受けながら独自の作品を描くとともに、染織・漆芸・室内装飾のデザインを担当したといわれています。また、貝摺奉行所に属さず、王府直属のお抱え絵師(宮廷画家)として活躍するものもいました。第二次世界大戦により壊滅的な被害に遭い現存する作品は少ない中でよくぞまぁこれほどまで多くの作品を集めたものかと感心してしまいます。 ![]() 山口宗季(呉師虔)「花鳥図」1715年 大和文華館 中国に絵師を派遣し絵画を学ばせていただけあり、作品の質も非常に高くこの章だけでもひとつの展覧会が立派に成立するだけのボリュームを備えています。 また、未知の絵師の前に立ちあれこれ考えを巡らす愉悦が何ともたまりません。 雪舟なら夏珪や李唐、若冲なら沈南蘋といった具合に影響を受けた絵師の名前が頭に浮かんできますが、琉球絵画の前では真っ白な状態で絵画と向き合えます。 知識があることは絵画鑑賞で大事なことですが、時にこうして何も持たずに真っ新な気持ちで対峙することも悪くありません。出来そうで実は中々出来ない絵画体験です。 ![]() 国宝 琉球国王尚家関係資料 玉冠(付簪) 18〜19世紀 那覇市歴史博物館 8月22日から9月2日までの限定展示である国宝 琉球国王尚家関係資料 玉冠(付簪)も今なら本物が観られます。 会期が迫っていますが、暑い夏の締めくくりはサントリー美術館で琉球王国の未知の美と向かい合うのはいかがでしょう。 「琉球 美の宝庫展」は9月2日までです。是非!! ![]() 「琉球 美の宝庫」 会期:2018年7月18日(水)〜2018年9月2日(日) 時間:10:00〜18:00(最終入場時間 17:30) ※金・土は10:00〜20:00 休館日 火曜日 ※8月14日は18時まで開館 ※shop×cafeは会期中無休 会場:サントリー美術館 https://www.suntory.co.jp/sma/ 主催:サントリー美術館、読売新聞社 協賛:三井不動産、三井住友海上火災保険、サントリーホールディングス 協力:日本航空 後援:沖縄県、沖縄県教育委員会、那覇市歴史博物館 助成:芸術文化振興基金 マンガ 沖縄・琉球の歴史 Twitterやってます。 ![]() Facebookもチェック! この記事のURL http://bluediary2.jugem.jp/?eid=5209 JUGEMテーマ:アート・デザイン 多くの島々からなる沖縄は、かつては琉球と称され、独自の美が生み出された海上王国でした。15世紀に統一王朝が成立し、400年以上にわたって東アジアを舞台に“万国津梁(世界の架け橋)”として繁栄した琉球王国は、諸国の至宝で満ちていたといわれています。 ![]() |