青い日記帳 

  
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「春日権現験記絵−甦った鎌倉絵巻の名品−」
三の丸尚蔵館で開催中の
第81回展覧会「春日権現験記絵−甦った鎌倉絵巻の名品−」(修理完成記念)に行って来ました。


http://www.kunaicho.go.jp/event/sannomaru/sannomaru.html

宮内庁のものでなければ、100%国宝指定されている「春日権現験記絵」が長期に渡る修復を終え一般公開されています。

場所は伊藤若冲の「動植綵絵」を所蔵しているので有名な三の丸尚蔵館。御所の中にある小さな美術館ですが、定期的にチェックし足繁く通う価値のある場所です。


入館は無料です。

藤原氏の守護神として古来より尊崇されてきた奈良・春日大社の草創の由来と霊験譚について、 全93段 、20巻 にまとめた絵巻である「春日権現記絵」。

絵は宮廷絵所預の高階隆兼が描き、詞吉を前関白鷹司基忠とその三人の子息である摂政冬平・権大納言冬基・興福寺別当良信が寄合書し、延慶2年3月に春日社に奉納された経緯も明確。

生まれも育ちも申し分のない、日本一と言っても過言ではない絵巻の名品中の名品です。


<巻十第七段> 教懐上人、春日明神に念じて極楽成仏を遂げる

これが描かれたのが驚くことなかれ延慶2年(1309)!それでいてこの発色と状態の良さ。目の前にしてもにわかに信じられないほど素晴らしい絵巻です。

眼福とはまさにこのこと。

15年間にもおよんだ修復の過程で判明したことなども、会場のパネルで紹介されています。

またこの絵巻、単に描いただけでないことも丁寧に解説。ちょっとちょっと待ってよ!と何度も連呼しちゃうはずです。


<巻七第四段> 春日社頭にて狛近真ら陵王の舞を奏す

人物の衣服や配置、周囲の小道具や景色などの背景など、微妙に細部を描き分けるなどの配慮がなされており、一体全体どれだけ時間を費やして描かれたのかただただ感心するばかりです。

また、全体を通じて季節の描写もはっきりとなされているのも見どころのひとつです。


〈巻第十九〉雪の御笠山と春日奥山

これは何が何でも本物を目にしておく必要があります。雪山の表現には鳥肌がたつほどでした。

若冲が「動植綵絵」を仏に捧げるために無心で描いたのと同じように、「春日権現験記絵」も高階隆兼が春日の神々に最高のお届け物をすべく全身全霊を傾けて描き上げたものだからこそ、現代の我々が目にしても鋭く心に刺さるものがあるのです。

安時代以来のやまと絵の伝統的技法をたっぷりと堪能できます。(ここは空いているのでとてもゆっくりと観られます。)

夏の暑さでまいった身体と心をやさしく労わってくれるような作品です。

「春日権現験記絵」展は10月21日までです。休館日と開館時間を確認して是非!無料です。


「春日権現験記絵−甦った鎌倉絵巻の名品−」

開催期間:平成30年8月18日(土)〜10月21日(日)
*休館日 毎週月・金曜日
但し、9月17日(月),10月8日(月)の祝日及び9月24日(月)の振替休日は開館し,翌火曜日が休館
開館時間:午前9時〜午後4時15分 (入館は午後4時まで)
会場:三の丸尚蔵館
http://www.kunaicho.go.jp/event/sannomaru/sannomaru.html


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鎌倉時代の絵巻の名品《春日権現験記絵》は,延慶2年(1309)3月の年記をもつ付属の目録によって,藤原氏一門の左大臣西園寺さいおんじ公衡きんひら(1264〜1315)がその制作と春日社への奉納を計画し,絵を宮廷絵所預の高階たかしな隆兼たかかねが担当,詞書を前関白鷹司たかつかさ基忠もとただの父子四人が記したことなど,制作時の事情が明確な絵巻です。また,詞書が記され,優れたやまと絵技法により色彩豊かに精緻な画面が描かれているのは高価な絹であり,その経年変化で劣化しやすい画面は,一場面も欠けることなくほぼ完全な姿で伝わっています。さらに表紙などの装丁,収納箱なども含め,総てが制作当初の姿を伝えており,数ある名品の中でもその貴重性は際立っています。伝来,絵巻の内容,描写技法など,いずれをとっても優れた芸術性,歴史性を示す本絵巻は,日本文化を代表する絵巻の名品として揺るぎないものと言えましょう。

ところで,本絵巻は,春日大社の重宝として厳重な管理を受けて伝えられていたもので,江戸後期に何らかの事情で鷹司家の所有となった後,明治初期に皇室に献納され,それ以降は御物の名品の一つとして保護されてきました。そして,平成に入ってその保存管理を担うことになった三の丸尚蔵館では,絵巻を後世へ継承していくには危険な状態になっていると判断し,専門家との調査,検討を経て,平成16年度から13カ年をかけて本格的な保存修理を行いました。この平成の大修理とも言える事業は,本絵巻の芸術性,歴史性とその貴重性を考慮し,それを損なわない形での修理方針を明確にした上で,絵具の光学的・科学的調査を加え,最も確かで安全な修理技術によって実施しました。また,絵巻の表紙裂の復元には,皇后陛下が紅葉山御養蚕所でお育ての小石丸の糸を頂戴しました。さらに,軸首の復元に関わっていただいた螺鈿らでん技術の重要無形文化財保持者(人間国宝)の北村昭斎氏をはじめとして,日本文化の伝統を継承されてきた方々の総力を結集した本事業は,技術や材料においても日本の伝統を後世へ伝えるという大きな意義を果たしました。

今後,本絵巻は,保存と公開のバランスをとりながら,多くの方々の目に触れる機会が増えることになります。日本人の優れた感性によって育まれたやまと絵のもつ繊細さ,鮮麗さ,優雅さを堪能していただくと共に,本絵巻が今日まで伝えられてきたその背景と保護の重要性にも触れていただければ幸いです。
| 展覧会 | 22:56 | comments(0) | trackbacks(0) |









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