青い日記帳 

  
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「ピエール・ボナール展」
国立新美術館で開催中の
オルセー美術館特別企画「ピエール・ボナール展」に行って来ました。


http://bonnard2018.exhn.jp/

ピエール・ボナール(1867年〜1947年)は実に不思議な画家です。現在ではナビ派のひとりとしてカテゴライズされていますが、当の本人はその気があったかどうか定かではありません。

そのことに薄々気付いていましたが、今回の展覧会を観てそれは確信に近いものとなりました。


ピエール・ボナール《庭の女性たち》1890-91年 デトランプ、カンヴァスで裏打ちされた紙(4点組装飾パネル) 160.5×48cm(各) オルセー美術館
© RMN-Grand Palais (musée d'Orsay) / Hervé Lewandowski / distributed by AMF

ボナールが生きた時代のヨーロッパは第一次世界大戦、第二次世界大戦と立て続けに勃発しとても不安定な時代でした。ところが彼の作品からは全くそうした暗い部分が見えてきません。

まるで、同時代を生きつつも戦争とは無関係の「安全地帯」でのんびりとキャンバスに向かっていたかのような明るい色彩の作品が多く見られます。


ピエール・ボナール「食卓の母と二人の子ども」1906年
個人蔵(京都国立近代美術館寄託)

ピエール・ボナール(1867年〜1947年)の活躍したパリでは、印象派が成熟期を迎え、新しい流派が次々と誕生して行きました。

同時代の主な作家を並べてみましょう。

ポール・セザンヌ(1839年〜1906年)
クロード・モネ(1840年〜1926年)
ピエール=オーギュスト・ルノワール(1841年〜1919年)
ポール・ゴーギャン(1848年〜1903年)
フィンセント・ファン・ゴッホ(1853年〜1890年)
ジョルジュ・スーラ(1859年〜1891年)
フェリックス・ヴァロットン(1865年〜1925年)
アンリ・マティス(1869年〜1954年)
パブロ・ピカソ(1881年〜1973年)


時代的にはヴァロットンやマティスと活動の時期が被ります。「ゲルニカ」で有名なピカソはもとより、この二人の画家も多かれ少なかれ暗い作品も描きました。


ル・グラン=ランスの庭で煙草を吸うピエール・ボナール》1906年頃 モダン・プリント 6.5×9cm 
オルセー美術館 © RMN-Grand Palais (musée d'Orsay) / Hervé Lewandowski / distributed by AMF

二度の世界大戦のど真ん中を生きたとは思えない作品が会場を埋め尽くしています。会場を通して暗澹とするような作品がないことは悪いことではありません。

それだけでなく、日本画や浮世絵などから大きな影響を受けたボナールの初期の作品は親近感さえ覚えるほどです。ボナールを積極的に嫌いになる理由が見つかりません。

何かどこかで引っ掛かるのです。


ピエール・ボナール「ボート遊び」1907年
オルセー美術館

複数の平面をひとつに集約する奥行きのない遠近法が「日本かぶれのナビ」と称された所以です。それはこうした大画面作品でも大胆に用いられています。

ただ、ここでは掲載できない小さな小さな作品にもとても惹かれるものが数多くありました。ジャポニスムの文脈に乗せずともその良さはぱっと見で分かります。

展覧会の構成は以下の通りです。

1.日本かぶれのナビ
2.ナビ派時代のグラフィック・アート
3.スナップショット
4.近代の水の精(ナーイアス)たち
5.室内と静物 「芸術作品―時間の静止」
6.ノルマンディーやその他の風景
7.終わりなき夏



「3.スナップショット」展示風景

1898年にコダック社が発売した蛇腹式のポケットカメラを真っ先に買い求めたのもボナールでした。そして自分で撮影した写真を絵画を描く際に積極的に用いました。

真実をありのままに映し出す写真を画家の敵と見做すどころか、逆に積極的に利用しようとした心意気に驚かされます。そして写真も誰に習うこともないにも関わらず上手いのです。

ここのセクションはスルーせずにじっくりと観た方が得策です。次のセクションの絵画を観るのにとても参考になります。


「7.終わりなき夏」展示風景

晩年の作品は更に明るさを増します。マティスの影響もあるのでしょうか。また印象派(ルノワール的な)表現も見え隠れしています。

好きなものを好きなように一生涯描き続け、生活も全く苦労しなかった実に恵まれた画家です。「ボナール展」は、この秋最も多幸感を得られる展覧会です。

こんな生き方、人生が送れたらいいな〜


ピエール・ボナール《フランス=シャンパーニュ》1891年 多色刷りリトグラフ 78×50cm 
川崎市市民ミュージアム

そうそう、この有名なポスターもボナールが手掛けたものです。ロートレック(1864年〜1901年)の作品じゃありませんよ。

先祖返りではありませんが、この明るくて楽しそうなポスターがボナールを最も象徴している一枚に思えてしまうはずです。

「ピエール・ボナール展」は12月17日までです。予備知識が無くても十分に楽しめるとても良い展覧会です。是非是非!


オルセー美術館特別企画
「ピエール・ボナール展」


会期:2018年9月26日(水)〜 12月17日(月)
毎週火曜日休館
開館時間:10:00〜18:00 
毎週金・土曜日は20:00まで。ただし9月28日(金)、29日(土)は21:00まで
※入場は閉館の30分前まで
会場:国立新美術館 企画展示室1E
〒106-8558 東京都港区六本木7-22-2
http://www.nact.jp/
主催:国立新美術館、オルセー美術館、日本経済新聞社
後援:在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本
協賛:花王、損保ジャパン日本興亜、ダイキン工業、大日本印刷、BIGLOBE、ブシュロン ジャパン、三菱商事
協力:日本貨物航空、日本航空、BSジャパン
http://bonnard2018.exhn.jp/


ボナール展オリジナルグッズ。やっぱりボナールと言えばお風呂でしょう〜


もっと知りたいボナール 生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション)

【追記】
一押しの作品掲載するの忘れてました!


ピエール・ボナール《花咲くアーモンドの木》1946-47年 油彩、カンヴァス オルセー美術館(ポンピドゥー・センター、国立近代美術館寄託)
© RMN-Grand Palais (musée d'Orsay) / image RMN-GP / distributed by AMF

これめちゃめちゃ良い作品です。是非実物をその目で!!

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注:会場内の画像は主催者の許可を得て撮影したものです。
19世紀末のフランスでナビ派の一員として出発した画家ピエール・ボナール(1867‐1947年)は、浮世絵の影響が顕著な装飾的画面により「日本かぶれのナビ」の異名を取りました。20世紀に入ると、目にした光景の印象をいかに絵画化するかという「視神経の冒険」に身を投じ、鮮烈な色彩の絵画を多数生み出します。本国フランスでは近年ナビ派の画家たちへの評価が高まり、2015年にオルセー美術館で開催されたピエール・ボナール展では51万人が魅了され、2014年のゴッホ展に次ぐ、歴代企画展入場者数の第2位を記録しました。
本展覧会は、オルセー美術館の豊富なコレクションを中心に、国内外のコレクションのご協力を仰ぎ、130点超の作品で構成されるボナールの大規模な回顧展です。油彩72点、素描17点、版画・挿絵本17点、写真30点といったさまざまなジャンルを通じて、謎多き画家ボナールの魅力に迫ります。
| 展覧会 | 23:50 | comments(0) | trackbacks(0) |









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