青い日記帳 

TB&リンク大歓迎です!
<< September 2019 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 >>
<< 冬季限定:千住博画伯が描く名画ラベル 「THE軽井沢ビール 冬紀行プレミアム」 | main | 植本一子『フェルメール』 >>

小学館文化講演会「フェルメールーバロック時代の『小さな巨人』」

小学館文化講演会「フェルメールーバロック時代の『小さな巨人』」に参加して来ました。



現在、上野の森美術館で開催中の「フェルメール展」の監修を務めるフェルメール研究の第一人者である千足伸行成城大学名誉教授による90分の講演会。

定員300人大入り満員。築地移転の話題から入り、フェルメールの特殊性やそれぞれの作品の魅力について、時折オヤジギャグを交えつつの講演。あっという間の90分でした。



主な講演内容をかいつまんでメモ的に記しておきます。

「バロック」芸術は、とにかく「重厚長大」を好んだ。言い換えるなら「足し算の美学」。大きな声で叫ぶような芸術がよしとされた。

ところが、フェルメールが活躍した17世紀オランダだけ違っていた。中でも特にフェルメールはその真逆を。

小さなサイズの作品の中に、日常の限られた世界を丁寧に描いた。


ヨハネス・フェルメール「手紙を書く女」1665年
ワシントン・ナショナル・ギャラリー

ハレの日の絵でなく、ケの日の絵(いわゆる風俗画)をオランダ市民は好んだ。王侯貴族ではなく一般の市民がこぞって買い求め自宅や店先に絵を掛けた。

フェルメールは、19世紀になってようやく日が当たるようになった。しかしまだまだマイナーで当時はホーホやメツーよりも下だった。


ヨハネス・フェルメール「絵画芸術」1666年頃

ウィーン美術史美術館の至宝であるフェルメール「絵画芸術」でさえ、ホーホの作品とされていた時期があったほど。

失われた作品を含め50点ほどしか生涯に描かなかったフェルメール寡作の理由はいくつか考えられるが、確証はない。

・描き直しが多い。ペンティメンテッド。凝り性。
・絵を描くのが副業的だった。


ヨハネス・フェルメール「牛乳を注ぐ女」1658-1660年頃
アムステルダム国立美術館

日常の小さな作業。一点集中。少し日焼けしたような顔、たっぷりとした腕。

今回のフェルメール展」では、「マルタのマリアの家のキリスト」と「牛乳を注ぐ女」のパンを見比べてみることをお勧めする。


ヨハネス・フェルメール「マルタのマリアの家のキリスト」1654-1655年頃
スコットランド・ナショナル・ギャラリー

「光の画家」と言われているフェルメールだか、印象派が描いた明るい光とは違う、穏やかで鈍い光の表現に長けたのがフェルメール。

フェルメールだけを観てはその良さは分からない。17世紀オランダ絵画をもっと見ないと、観る目を養わないといけない。


ヴィンチェンツォ・フォッバ「読書する少年

キケロの少年時代を描いたルネサンス期の作品。本を読めること自体が稀な現象だった。


オノリオ・マリナーレ「アレキサンドリアの聖女カタリーナ」

こちらは読書する聖女カタリーナ。つまり、17世紀オランダ絵画における風俗画の誕生までは、本(聖書)を読むのは哲学者であり聖女であり、一般人では決してなかった。

それが、オランダ絵画では、聖書を老婦人が読み、手紙の読み書きを一般の女性が普通に行っていた。


ヘラルト・ダウ「聖書を読む老婦人
フェルメール「手紙を読む女

ともに口がやや開いているのは、当時は音読していたから。識字率の高さは相当なものだった。

このように、フェルメール作品だけをただ観るだけでは、その本当の良さは分からない。少なくとも「フェルメール展」に展示されている他の同時代の作家と比較してみるとよい。

そうすることで、この講演会タイトル「フェルメールーバロック時代の『小さな巨人』」の意味も解ってもらえるあはずだ。

小学館文化講演会
「フェルメールーバロック時代の『小さな巨人』」


日時:2018年10月7日(日) 13時半開場 14時開演
場所:時事通信ホール(東京都中央区)
講師:千足伸行(成城大学名誉教授・広島県立美術館館長)


「フェルメール展」
Making the Difference:Vermeer and Dutch Art

会期:2018年10月5日(金)〜2019年2月3日(日)
※会期中、一部作品の展示替えがございます。「赤い帽子の娘」10/5(金)〜12/20(木)、「取り持ち女」1/9(水)〜2/3(日)
休館日:12月13日(木)
開館時間:開館時間は9:30〜20:30(入場は閉館の30分前まで)。※開館・閉館時間が異なる日があります。
会場:上野の森美術館
http://www.ueno-mori.org/
主催:産経新聞社/フジテレビジョン/博報堂DYメディアパートナーズ/上野の森美術館
後援:オランダ王国大使館
企画:財団ハタステフティング
特別協賛:ダイワハウス工業株式会社、ノーリツ鋼機株式会社
協賛:第一生命グループ/株式会社リコー
特別協力:NISSHA株式会社
協力:ANA/KLMオランダ航空/日本貨物航空/ヤマトグローバルロジスティクスジャパン
総合監修:アーサー・K.ウィロックJr.(元ワシントン・ナショナル・ギャラリー学芸員)
日本側監修:千足伸行(成城大学名誉教授 広島県立美術館長)
https://www.vermeer.jp/


フェルメール原寸美術館 100% VERMEER! (100% ART MUSEUM)

フェルメール全作品35点、すべて原寸!

『真珠の耳飾りの少女』『牛乳を注ぐ女』など、フェルメールの全作品35点を美しい図版で紹介するとともに、35点を6つのテーマに分け、すべての作品について原寸の図版とわかりやすい解説を掲載しています。
さらに、作品によっては150%、200%など原寸以上に拡大した図版を掲載し、繊細な描写と絵の中に秘められた数々の謎を読み解く楽しみも紹介。
フェルメールの作品を知る上でキーワードとなる6つのテーマに沿って原寸&拡大図版をじっくりと鑑賞することで、
作品の魅力が最大限に味わえる画集となっています。
監修は、この秋の「フェルメール展」の展覧会監修も務める千足伸行先生(成城大学名誉教授・広島県立美術館館長)です。




フェルメール全作品集: スタンダード・エディション
小林 頼子 (監修, 著)

Twitterやってます。
@taktwi

Facebookもチェック!

この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=5255

JUGEMテーマ:アート・デザイン



謎に包まれた奇跡の画家フェルメール。随所に描かれるフェルメールブルーや、静謐な光のしずくなど作品の特色から、神秘のベールに包まれたフェルメールの世界観の魅力に迫ります。

日本最大規模のフェルメール展が開催されている時期と重なります。その展覧会の監修を務めるフェルメール研究の第一人者である千足伸行成城大学名誉教授に語っていただきます。
講演会 | permalink | comments(0) | trackbacks(0)

この記事に対するコメント

コメントする









この記事のトラックバックURL
http://bluediary2.jugem.jp/trackback/5255
この記事に対するトラックバック