青い日記帳 

  
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植本一子『フェルメール』
ナナロク社+ブルーシープより刊行となった植本一子『フェルメール』を読んでみました。


フェルメール
植本 一子 (著)

世界7ヵ国、17の美術館に点在するフェルメール作品を全て鑑賞することは、フェルメールファンの大きな夢です。

自分も約10年前に全てのフェルメール作品を観終えましたが、全て「現地で観た」わけではありません。例えば一番最後の作品となった「手紙を書く婦人と召使い」は上野の東京都美術館で目にしました。

コンプリートの旅終焉の地がアイルランド・ナショナル・ギャラリーではなく上野であったというちょっと間抜けな面も自分らしくていいかな〜と今では思っています。


ェルメールの筆遣い、息遣い。(「手紙を書く婦人と召使い」アイルランド・ナショナル・ギャラリー)

ナナロク社+ブルーシープが世に放った、植本一子『フェルメール』は全体を通して凛とした美しさに満たされています。

現地で撮影した写真と紀行文で構成されており、読んだだけでフェルメール作品コンプの旅を追体験できます。

(紀行文より抜粋)
20時を過ぎると、トンネルの中を走っているかのように外は真っ暗になった。それでも暗闇を凝視していると、たまに一点の光が見える。目をこらすと、窓から漏れる家の明かりだった。小さな町の、名もなき人の生活の光。
光があるということは、そこには人が生きているということなのだ。
———2018.3.22 曇りのち雪 ドイツ フランクフルトからウイーンに向かう車中にて



フェルメール「取り持ち女」

一体現地の美術館はどんなところなのだろ。展示室でどんな風に飾られているのだろう。そもそもどんな額縁に入れられているのだろう。などなど、この本がほとんど解決してくれます。これはこれまでのどの「フェルメール本」になかった要素です。

小林頼子先生や朽木頼子さんの著書を既にお持ちの方も、今回出た『フェルメール』を強くお勧めします。なによりこの私が心底惚れ込んだのですから!


絵を見るまなざし。(「牛乳を注ぐ女」アムステルダム国立美術館、オランダ)

家庭の事情もあり、ここ何年かは長期間の海外旅行は不可能となってしまいました。同じく様々な理由でヨーロッパやアメリカの美術館でフェルメールに会いたいとけど残念ながら行けない…そんな方は大勢いらっしゃるはずです。

同じ目、同じ耳、同じ感覚でとは行きませんが、かなりの高確率で植本一子さんのテキストと写真にシンクロ出来ます。我を前面に強く出していないでスッと繋がれるのです。


フェルメールのある場所、その空気、名画を巡る旅。(アムステルダム市街)

上野の森美術館で開催中の「フェルメール展」に来ている作品が、現地ではどのように、どんな場所に展示されているのかをリサーチする楽しみもこの本にはあります。

ワシントン・ナショナル・ギャラリーまで行かずともこの本で「全点踏破」した気分を味わえます。存分に。


フェルメール「赤い帽子の娘」

(紀行文より抜粋)
ちっちゃなデジカメをこれでもかと近づけて撮っている日本人のおばさんが「どこにフェルメールって書いてあるの?」と旦那さんに聞いている。フェルメールはVermeerの英語表記が読めなかったのだろう。ここに書いてあるでしょ、と絵の下のキャプションを指差す。「フルートを持つ女」の下に「A TRIBUTED TO〜」とあるのを見て、これは確証がないって意味だよ、と説明している。こんなにちっちゃかったんだねえ、と二人で感想を言い合っているが、確かに私もここまで小さいとは思っていなかった。きっと家族旅行で、フェルメールを楽しみにしていたのだろう。いつまでも部屋にとどまり、時間をかけてじっくりと見ている。「手紙を書く女」の前で旦那さんが立ち止まり、まじまじと眺めながら「普通はこんなに近くで見せてくんないよ、素晴らしい」とつぶやいた。気づけばここには制止線がなかった。
———2018.5.14 アメリカ・ワシントンD.C. ワシントン・ナショナル・ギャラリー


アムステルダム、ウィーン、ベルリン、パリ、ロンドン、ダブリン、ニューヨーク、ワシントン−−−。7カ国17の美術館を飛行機と鉄道でめぐる約3週間の度の記録として読むだけでも十分面白くワクワクします。

この本をバイブルに追体験するのもよし、がっつり読み込んで行った気分に浸るのもよし。読書の秋と芸術の秋を同時に満喫できる類書の無い一冊です。


フェルメール
植本 一子 (著)

判型:B6判変形、仮フランス装、288ページ(予定)
発行:ナナロク社+ブルーシープ
発売:ナナロク社(ISBN)
アートディレクション:TAKAIYAMA inc.
制作:村井光男(ナナロク社)+草刈大介(ブルーシープ)
http://bluesheep.jp



植本一子『フェルメール』10の魅力
1 世界最新のフェルメール全集
2 気鋭の写真家・文筆家、植本一子によるアートプロジェクト
3 世界初、欧米7カ国17の美術館を取材し、1人の写真家が全作品を撮り下ろし
4 絵画を見た感動を共有し、「絵を見ること」を問いかける、新しい画集
5 フェルメールの筆使い、息遣いを感じる斜めや正面からのクローズアップを収録
6 各地でのフェルメール作品の展示方法、個性的な壁の色や来場者の様子を収録
7 フェルメール作品を所蔵する世界的な美術館の外観、街の空気感を収録
8 エッセーで定評のある植本一子の、3週間に5万字の及ぶ紀行文を収録
9 マウリッツハイス美術館修復家サブリナ・メローニ氏の寄稿文収録
10 出版業界の常識を破る、ナナロク社とブルーシープの強みをかけあわせた共同制作。


フェルメールのある場所、その空気、名画を巡る旅。(ケンウッド・ハウス、イギリス)

写真家で文筆家の植本一子が、フェルメールの筆遣いと息づかい、名画のある場所とその空気、絵を見る千差万別のまなざしを、美しい写真と言葉で記録した新しい美術書『フェルメール』。良い本を手に入れました。

「フェルメール展」に行かれる方、必携ですよ!


Kenko 単眼鏡 ギャラリーEYE 4倍 12mm口径 最短合焦距離19cm 日本製 001400

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