青い日記帳 

TB&リンク大歓迎です!
<< July 2019 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>
<< 寺田倉庫「マイ・コレクション展2018」 | main | 生「フェルメール会議」を実施します。 >>

「フィリップス・コレクション展」

三菱一号館美術館で開催中の
「フィリップス・コレクション展」に行って来ました。


https://mimt.jp/

「○○コレクション展」「△△美術館展」と毎年何本か開催されているので、またか〜と新鮮味に欠けるように思われるかもしれません。が、しかし今回の「フィリップス・コレクション展」はこれまでとは大きな違いがあります。

それはズバリ、コレクターであるダンカン・フィリップス(1886−1966)が購入した順に作品が展示してある点です。



これがどれだけエポックなことなのか、展覧会によく行かれている方ならお分かりになるはずです。一般的には画家別や作品のテーマ別、はたまた時代順に展示して行くのが通例です。

それを敢えて破っての購入順の展示。これは今までこの手の展覧会では行われてこなかった斬新で意表を突く展示です。少し戸惑う方もいるかもしれませんが、慣れてしまうととっても楽しいです。

若い時と晩年に購入した作品の違いや、戦時中または世界恐慌前後での買い方の変化。もしくは自分と同じ年齢でこの作品を手にしたのか!といった驚きなど、作品の素晴らしさ以外にもそうしたこれまでの展覧会にはない新たな楽しみが得られます。



「またか〜」と思っている方にこそ逆にお勧めしたい展覧会です。

展覧会の構成は以下の通りです。

1:1910年代後半から1920年代
2:1928年の蒐集
3:1930年代
4:1940年前後の蒐集
5:第二次世界大戦後1
6:第二次世界大戦後2
7:ドライヤー・コレクションの受け入れと晩年の蒐集
8:ダンカン・フィリップスの遺志


ダンカン・フィリップス(1886−1966)が何歳の頃どんな作品に惹かれ購入していたのかを追いながら観ていくことになります。

また、お金持ちではあったことは確かですが、世界恐慌や戦争といった不安定な社会でしたので、好きな作品を好きなだけ買えたわけではない点も興味深い点です。


ポール・ゴーガン「ハム」1889年
1951年収蔵

解説を読んでいくと、ある作品が欲しいので、手元にある他の作品数点を売却し購入資金に充てたとか、ゴーギャンらしい作品は全て手放し「ハム」だけを残したなどなど、ダンカンさんと共にコレクションを築いていっているかのようにさえ感じワクワクしてきます。

独特な展示方法についてだけ延々と語ってしまいましたが、勿論出ている作品それぞれ「全員巨匠!」の名に相応しいものばかりです。

高橋明也館長がこのレベルの作品を借りられないのなら展覧会を開催しないと、これまで2度もお流れになったとのこと。三度目の正直でようやく実現した「フィリップス・コレクション展」はなるほど納得の作品揃いでした。


アルフレッド・シスレー「ルーヴシエンヌの雪」1874年
1923年収蔵

シスレーといえば川辺の景色ですが、敢えてフィリップスさんは雪景色を選んだのでしょうか。しかしよく見ると雪の表現に青色を用いており、どこか水辺の風景に通ずるものがあります。

さて、同時代を生きた作家は描かれてすぐ手に入れた作品も多くありました。


パウル・クレー「養樹園」1929年
1930年収蔵


ジョルジョ・モランディ「静物」1953年
1954年収蔵

フィリップスさんが、「今」を活躍する作家を積極的に支援した点も見受けられます。この辺が単なる「右から左まで全部買うぜ!」的な投機目当てのコレクターとは一線を画するところです。

とことん、絵画を愛した人であったことは間違いありません。我が子のように手に入れた作品を愛でたはずです。その光景が目に浮かんでくるのです。



さて展覧会の最後の部屋には、フィリップスさんが亡くなる直前に購入したブラックの作品が展示してあります。キュビズム的な作品ではなく、どこか緩い感じのこの鳥に導かれるように天国へ召されたのです。


ジョルジュ・ブラック「」1956年
1966年収蔵

ブラックの作品ではもう一点「驟雨」という素晴らしく素敵な小品が出ています。これが今回の展覧会で一番心にしみました。やはり晩年に手に入れた作品です。やはり年をとってくるとこうした地味な作品に惹かれるのでしょうね。「驟雨」お見逃しなく!

「フィリップス・コレクション展」は2019年2月11日までです。三菱一号館美術館は会期末になるに従い混雑が増していきます。今ならまだ快適に観られます。上野は後回しにしてこちらをまずチェックしておきましょう〜


「フィリップス・コレクション展」

会期:2018年10月17日(水)〜2019年2月11日(月・祝)
開館時間:10:00〜18:00 
※入館は閉館の30分前まで(祝日を除く金曜、第2水曜、会期最終週平日は21:00まで)
休館日:月曜日(但し、祝日・振替休日の場合、会期最終週とトークフリーデーの10/29、11/26、1/28は開館)
年末年始(12/31、1/1)
会場:三菱一号館美術館
https://mimt.jp/
主催:三菱一号館美術館、フィリップス・コレクション、読売新聞社、日本テレビ放送網
後援:アメリカ大使館
協賛:大日本印刷
協力:全日本空輸、日本貨物航空

そうそう、この展覧会めちゃいいボナールの作品が複数枚出ています!

『もっと知りたいボナール 生涯と作品』
高橋 明也 (著), 島本 英明 (著)

【次回展】

ラスキン生誕200年記念
ラファエル前派の軌跡展

会期:2019年3月14日(木)〜6月9日(日)
https://mimt.jp/ppr/

Twitterやってます。
@taktwi

Facebookもチェック!

この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=5280

JUGEMテーマ:アート・デザイン



注:会場内の画像は主催者の許可を得て撮影したものです。
米国で最も優れた私立美術館の一つとして知られるワシントンのフィリップス・コレクションは、裕福な実業家の家庭に生まれ、高い見識を持つコレクターであったダンカン・フィリップス(1886−1966)の旧私邸であった場所に位置しています。2018年には創立100周年を迎えます。1921年にはニューヨーク近代美術館よりも早く、アメリカでは近代美術を扱う最初の美術館として開館しました。フィリップスの常に鋭い取捨選択によって、コレクションの中核をなす作品群はいずれも質の高いものばかりです。本展では、この世界有数の近代美術コレクションの中から、アングル、コロー、ドラクロワ等19世紀の巨匠から、クールベ、近代絵画の父マネ、印象派のドガ、モネ、印象派以降の絵画を牽引したセザンヌ、ゴーガン、クレー、ピカソ、ブラックらの秀作75点を展覧します。
展覧会 | permalink | comments(0) | trackbacks(1)

この記事に対するコメント

コメントする









この記事のトラックバックURL
http://bluediary2.jugem.jp/trackback/5280
この記事に対するトラックバック
管理者の承認待ちトラックバックです。
- | - | 2018/11/08 10:13 PM