弐代目・青い日記帳 

  
TB&リンク大歓迎です!
涙のじゃがいも物語
ブリヂストン美術館で催された土曜講座「バルビゾン芸術の歴史と遺産」
井出洋一郎先生ご自身が現地で撮影してきた写真をふんだんに使っての
レクチャーは時間の経過を忘れさせてくれるほど充実したものでした。

詳しい内容はこちら

バルビゾン派の旗手・ミレーJean-Francois Millet(1814-1875)についても
当然のことながら長い時間を割いて解説して下さいました。

ミレーといえば2003年04月から渋谷Bunkamuraで開催された
ミレー3大名画展」がいまだに記憶に新しいところです。


オルセー美術館が所有するミレーの3大名画「晩鐘」「落穂拾い」「羊飼いの少女」が一堂に会する画期的な展覧会でした。
本当かどうか定かではないですが「晩鐘」は保存状態の問題から今後海外に貸し出されることは無いとの触れ込みでした。

その所為もあってか大変な混雑だったこともまた覚えています。
2003年開催展覧会入場者数ランキングで堂々の3位でした)

さて、そんな「話題」?にもなった「晩鐘」のことも講演会で登場しました。

晩鐘」The Angelus 1857-59

私に限らずこの作品が好きという方多いのではないでしょうか?
異国の作品ながら日本人の心に響くものあります。

ところが本国フランスでは描かれた当時からしばらくは評判が悪かったそうです。
どうしてでしょう??

「晩鐘」に描かれた二人が祈りをささげています。
その二人の足元をよーく見て下さい。
籠に入ったあるものが描かれています。
これこそ悪評の原因物質だったそうです。

そこには「じゃがいも」が描かれています。

はて?どうしてじゃがいもが??
じゃがいもの歴史を調べてみると・・・
1530年頃、インカ帝国を滅ぼしたスペイン人によってヨーロッパに持ち帰られましたが、毒があるという噂が広まり、長い間食用にはされずに、観賞用や飼料用にしか使われませんでした。
じゃがいもの歴史・由来

今でこそ食用とされているじゃがいもですが
当時は人が食べるものとは一般には認知されていなかったそうです。

パリに住む都会人から見たら野暮天で洗練されていない印象を与えたのでしょう。

井出先生の講演を聞いたあとこの「じゃがいも」が気になり少し調べてみました。
そしてこの本を読んでみました。
じゃがいもが世界を救った―ポテトの文化史
じゃがいもが世界を救った―ポテトの文化史
ラリー ザッカーマン, Larry Zuckerman, 関口 篤

いやーーびっくりしました。
じゃがいもにこんな「過去」があったなんて知りませんでした。
想像していた以上に酷い扱いをヨーロッパでは受けてきたこと分かります。

例えば1618-48年に起きた30年戦争の後、荒れた葡萄畑にジャガイモを
農民が植えたところ、一般の人々はそれに対して
不快でぶざまなもの」「人間でなく動物が餌で食うどんぐりまがいのもの」と
冷たい目で見たそうです。

その後もじゃがいもに対する偏見は後を絶たず・・・たらーっ
「じゃがいもには毒がある」
「じゃがいもは病気のもとになる」
「じゃがいもはみっともない食べ物だ」
「じゃがいもを食べると人格が低劣になる」
「じゃがいもは動物のように暮らしている人しか食べない」

などなど枚挙にいとまがありません。

なにかキーボードを打っていながら
じゃがいもがあまりに不憫で可哀想に思えてきました。ポロリ

つまり「動物が食べていたものを人間が食べると生活水準が低下する」と
思われていたわけです。↑これは1770年に仏のある聖職者の言葉です。

まったくもって酷い話です。
これじゃ〜ミレーの絵が評価されないわけですよね。。。

ところが、捨てる神あれば拾う神ありで
フランスを初めとしたヨーロッパでは悪評高いじゃがいも君も
新天地アメリカではそんな冷遇を受けることなくごく普通に迎えられたそうです。

今でこそフランスのオルセー美術館所蔵となっている
「晩鐘」=「じゃがいもの絵」ですが、当時フランスでは
「気持ちの悪い絵」との評価が下されていたそうです。
1889年にアメリカへ一旦渡り、また買い戻されて現在に至っています。
(この辺の詳しい経緯は井出先生のサイトに詳しく書かれています。)

ついでに、ミレーの作品の中にじゃがいもが登場する絵は
「晩鐘」だけではなく探してみると他にも数点見つかりました。

馬鈴薯を植える人」Potato Planters 1861

そして、こういったミレーの「じゃがいも作品」の影響をもろに受けて
あのゴッホはあの有名な作品を描いたそうです。
じゃがいもが世界を救った―ポテトの文化史
『じゃがいもが世界を救った―ポテトの文化史』ラリー ザッカーマン

↑先ほどの本の表紙にも使われているこの作品です。↓

ジャガイモを食べる人たち」 The Potato Eaters 1885
(「馬鈴薯を食べる人々」)

じゃがいもを美味しそうに食べる一家団欒の絵ではなく
じゃがいもしか食べることができない家族の絵です。

自分が今おかれている場所の価値観でしか物事を捉えることが出来ないと
誤った「解釈」をしてしまうという典型的な例が
「ジャガイモを食べる人たち」であり「晩鐘」であり、
そして「じゃがいも」だと
一枚の絵から学び取ることが出来ました。ラッキー

明日の晩ご飯はかみさんに
肉じゃがにポテトサラダ、
それにコロッケと温かいポトフでも
作ってもらうように頼んでみますイケテル

追記:もう一つのブログ「Blue Heaven annex」には
   「美味しいじゃがいも物語」upしました。
| 講演会 | 21:12 | comments(8) | trackbacks(1) |
大好きです!
ジャガイモ、ドイツ、ソーセージ(違?)
とにかく大好きです!

ミレーの絵も好きです。
ゴッホも以前より好きになりました^^

ところで、Takさんの入れる絵(顔)文字は管理人さんしか使用できないのですか?
| すぴ | 2006/01/31 10:19 PM |

@すぴさん
こんばんは。

じゃがいも美味しいですよね〜
ジャーマンポテトつまみに
ビールをぐいっと飲んだら最高です。

ゴッホの絵もミレーの絵もそんな
「物語」が背後にあるなんて知りませんでした。

>Takさんの入れる絵(顔)文字は管理人さんしか使用できないのですか?
そうなんです。コメント欄には絵文字使えないんです。
すみません。。。
| Tak管理人 | 2006/01/31 10:27 PM |

じゃがいもでこんなに語れるのすごい!!


そして、ジャガイモがこんなにつらい人生を送ってきたなんて・・・。

最近野菜が高いですが、ジャガイモは高騰せず・・・。

ジャガイモを見直しました。
| | 2006/02/01 8:29 AM |

とても楽しい興味深い話有難うございます。私もそんなような話は聞いた事がありました。飢饉になってようやく食べて見たらあれ美味しい、と言うことになったのでしょうか。私は食の歴史みたいなものが好きで、幾つか本を持っていますが、後で調べてみようとおもいます。ドイツもオランダもフランスも食べるとなったら、今では皆ジャガイモ大好きですからね!ものすごい種類があるし、ものすごい消費量!実際私の年上の友人はジャガイモ主食で育った様子です。
| seedsbook | 2006/02/01 3:18 PM |

いやぁ毎回、毎回本当にヴァリエーションに富む話題の数々、敬意を表します。
ずいぶんと勉強になるブログです♪
| シルフ | 2006/02/01 7:45 PM |

@| | 2006/02/01 8:29 AM | さん
こんばんは。

井出先生のお話でこのじゃがいものことが
妙に気になって気になって仕方なかったので
ついつい調べてしまいました。

でも、カレーに入っている大きなジャガイモは
嫌いだったりもします。何故か。。。

@seedsbookさん
こんばんは。

階級差の問題もあったようです。
特にイギリスでは階級によって食べる食べないが
はっきりと分かれていたそうです(今でもそうでしょうか)
有名なフィッシュ&チップスの話も本には紹介されていました。
今ほど誰でも同じようにジャガイモを食べる時代が来るとは
ゆめゆめ思わなかったでしょうね、きっと。

フランスではナポレオンが随分貢献したそうです。
それにしても時代によって国によって一つの野菜でも
捉えられかた様々ですね。今度「晩鐘」やゴッホの作品を
観る時は感じ方もきっと変わってくるはずです。

@シルフさん
こんばんは。

勢いで書いてしまいました。。。
もっと手短にまとめないといけませんよね。
ネタがいつつきてしまうか心配です。毎日(^_^;)
それまで頑張ります!
| Tak管理人 | 2006/02/01 8:38 PM |

Takさん

コメント&TBを有難う御座いました〜♪

大きな声では言えないのですが、家のダンナが作る
じゃがいもを拍子切りにして炒めて、お酢を多めに
かけるのが絶品なんです〜☆

当時はアメリカ人がじゃがいもを食していて、
子沢山のミレーさんは助かりましたよね〜(^_-)-☆
| Julia | 2006/02/02 11:05 PM |

@Juliaさん
こんばんは。

いいだんな様ですね。
料理上手なんて羨ましい!
私も見習わないと。

ジャガイモ一つで
これだけ「物語」があるとは思いませんでした。
| Tak管理人 | 2006/02/03 11:19 PM |










http://bluediary2.jugem.jp/trackback/529
バルビゾン芸術の歴史と遺産 - 井出洋一郎氏
先週の土曜日(1/28)に、ブリヂストン美術館の土曜講座で東京純心女子大学の
| Floral Musée | 2006/02/02 11:01 PM |
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