青い日記帳 

  
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『今井喬裕画集 Radical Classic』
芸術新聞社より刊行となった『今井喬裕画集 Radical Classic』を読んでみました。


今井喬裕画集 Radical Classic
今井喬裕 (著)

1986年群馬県生まれ、2009年多摩美術大学卒業、現在美術団体「白日会」会員の若手画家、今井喬裕(いまい・たかひろ)の初期作品から最新作まで10年間の画業がぎゅっと詰まった中身の濃い画集です。

今井氏の存在を知ったのも同じ芸術新聞社刊の『美人画ボーダレス』が最初でした。

『美人画ボーダレス』レビュー


今井喬裕画集 Radical Classic』より

野田弘志、五味文彦といったホキ美術館に常設展示されている写実絵画の大先輩方が属した名門白日会に属していながら、独自の世界観を作り上げることに見事成功しているのが今井氏です。

写実絵画の後追いを敢えてすることなく、独自路線を突き進んだ結果、今では若者を中心に今井氏の描く絵画は高い人気を博するまでになりました。

Twitterやpixiv、公式サイトに惜しげもなく自分の作品をあげることで、美術ファン以外の多くの人に彼の存在を知らしめることに見事成功しています。

今井喬裕公式サイト
http://www.art-jardin.com/imai/


今井喬裕画集 Radical Classic』より

webで画像はいくらでも観られるのですが、画集だと拡大図も掲載されており、これが彼の魅力を解明する手掛かりとなります。

背景や顔の肌の表現などから、しっかりとした油彩画の技量を有していることが窺い知ることが出来ます。と同時に大きすぎる目や他人行儀な仕草など、彼独特の不思議な可愛気のある女性たちにしばし困惑も。

ひと目で恋に落ちてしまう、池永康晟の描く女性とは違う色香があります。



ここ10年で人との付き合い方は大きく変化を遂げています。SNSや連絡手段の発達により他者といつでも繋がっていられるようでその実、以前とは比べ物にならないほど寂寥感に苛まれているはずです。

今井氏はそうした寂しさに満ち溢れた時代の美人を描いているのではないでしょうか。

幸せとか不幸せといった基準ではなく、心寂しさが指針となっているような気がしてなりません。だからこそ、現代の若者にこれだけ好かれカリスマ的な存在となっているのです。



男性ファンよりも、もしかしたら女性ファンの方が多いかもしれません。自分の周りにも今井氏が描く女性像に自身を投影し心酔している若い女性が何人かいます。

高校時代にカラバッジョの絵を観て衝撃を受け画家を志し、塩谷亮に挫折を覚えた今井氏が、たどり着いたのが現代人が心に抱える寂しさを女性で表現するという手立てだったのです。

メイド服のような衣装を身に纏っている女性像が多いのは非日常性をそこに表したい故でしょう。また描かれる女性たちの前頭葉が平べったいのもそうかもしれません。三次元的なリアルを決して追求していません。



スーパーリアリズムでも写実絵画でもなく、略するところはこのようにしっかりと略し画面にメリハリをつけていたりもします。

またすべての作品ではないのですが、背景の処理が自分の好きなキスリングと同じような点にも強く惹かれました。

人との接し方が色々と面倒で気難しくなってきた現代社会の要請を受けて描かれたかのような美しく謎めいた女性たちは、観る人の心の写し鏡のような存在なのかもしれません。


今井喬裕画集 Radical Classic
今井喬裕 (著)

名門白日会の異端児が描く美しくも謎めいた女性たち――
美術団体「白日会」において異彩を放ち続ける画家・今井喬裕の10年を振り返る初画集。クラシカルな技法、モチーフを駆使しながら、描き出される美しくも謎めいた女性像。美術ファンばかりか、ジャンルの垣根を越えて熱狂的な支持を集める今井作品の全貌に迫る。白日会の盟友・山本大貴との特別対談も収録。


今井喬裕(いまい・たかひろ)
1986年群馬県生まれ。2009年多摩美術大学卒業。2008年白日会展初出品、個展・グループ展多数。『写実画のすごい世界供戞愴人画ボーダレス』など書籍掲載多数。白日会員。
作家WEBサイト:http://www.art-jardin.com/imai/


今井喬裕画集 Radical Classic

今月20日に発売されるやいなや飛ぶように売れ、重版がかかったのも納得のいく画集です。ただ美しい女性だけが掲載されているのではないのです。

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